ウェルカムランチで事件は起きた…
初めての転職。新しい環境で、緊張と不安が入り乱れた2021年の夏のある日。部長から呼ばれてウェルカムランチに連れ出された田中に突然の悲劇が起こった。
部長:「実はうちの会社、移転するんだー」
田中:「へぇ…そうなんですねー」←他人事。
部長:「でさ、田中くんに移転プロジェクトを担当してもらうから!!」
田中:(?!)「へっ!」
入社初日のウェルカムランチ。放送業界の営業職から転身し、ITスタートアップでキャスティングディレクターとして新しい番組をたくさん立ち上げるチャレンジに胸を踊らせていた田中。最初に任されたプロジェクトは、まさかの移転プロジェクトだった。
田中:「場所は決まってるんですか?」
部長:「決まってないよ!遅くとも年内には移転したいんだよね!コロナで物件空いてるからチャンスだし!」
田中:(?!?!?!?!?!?!?!)「えっ、僕、そういう経験ないですよ?」
部長:「大丈夫!みんな経験ないから!あと、ただのオフィスじゃなくて、観覧スタジオ併設ね!」
すごいフットワークの軽い会社だなと思った…と当時を振り返る田中。チャレンジしたい人が活躍できる会社ということは入社前に聞いていたが、ここまで大胆だとは流石に予想はできなかった。まさかの展開に驚きはしたが、やってみたいという気持ちの方が勝り、やってみることを決めた(他に選択肢がなかった)。
これまで放送業界での広告営業を担当してきた田中にとって、不動産などの知識はほぼ皆無。文字通り、手探りで入社当日から移転プロジェクトが動き出した。
実は、社運をかけたプロジェクトだった!
実際にプロジェクトが動きはじめ、プロジェクトチームに社長も加わるようになり、よくよく話を聞いた田中は、このプロジェクトが2021年で最も大きな投資を行う社運をかけたプロジェクトであることを知る。
事業を拡大している「cookpadLive」の新たな柱を作るべく、2020年12月から大阪心斎橋パルコでトライアルを続けていたLive配信の観覧プランを大幅に拡張し、東京の一等地で展開する計画が2021年春頃からスタートしていた。投資シュミレーションを終えて、いざ実行というタイミングで田中が入社してきたのであった。
新拠点では、「cookpadLive」で配信している人気のアイドルや声優、お笑い芸人などのレギュラー番組(一部の大型番組を除く)をユーザーが実際に観覧しながら、キャストが作っているメニューと同じメニューを一緒に食べることができるという「推しゴハン」体験が一番のウリとなる。
社長:「ユーザーが大好きなキャストと一緒にゴハンを楽しめる場所にしてね!」
とはいえ、世の中は収まらないコロナ禍の最中…キャストとお客様がこの環境下で安心して一緒にゴハンを食べる…兎にも角にもまずは、物件を決めないと…
ピンチはチャンス!
とにかく前に進むしかない!田中は新拠点の物件選定をするために出店条件を整理しはじめた。
・キャストとユーザーの両者にとってアクセスがよい場所
・40-50席程度の客席を確保できる
・キッチンスタジオ2つと厨房設備を設置できる
・年内に入居できる
・投資コストは●●●円以内
田中は思った。無理じゃね…目の前が暗くなっていく…
チームメンバーや関係部署のメンバーに話を聞いたり相談したりはしたものの、社内に知見が全くないので自分で決めるしかないことばかり。前職との環境の違いや新しいことにチャレンジすることの苦しみを存分に体験しながら、手当たり次第、都内の物件を探し回った。
数十件の物件を回っている中、突然飛び込んできた朗報!
予算が合わないだろうと早々に対象エリアから外していた表参道エリアに優良空き物件が出たとの情報が飛び込んできた。様々なデベロッパーや商業施設、仲介会社に手当たり次第相談をしていたため、出店の本気度が上手く周知されていたこともあり、新しい物件情報がすぐに入ってくるようになっていた。
秒で社長と部長を連れて内見に!足繁く近隣エリアの空き物件を回っていたことで近隣エリアの条件が手に取るように把握できていたことや、コロナで急遽退店が決まった店舗であったため、物件オーナーと直接交渉できたことにより、なんとか予算に収まる契約に目処が立った。
絶望を感じたあの日から約2ヶ月、都内の一等地である表参道への移転が決まった。
※cookpadLiveの新拠点が入居している表参道駅徒歩1分のAoビル
なんとか物件が決まり、ほっと一安心していた田中にまたもや難題が降りかかる…
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