”保険システムのWEBデザインで未来の形を創り出す”　デザイナーの仕事内容とは

ー保険会社ではどんなことをデザインするのでしょうか？

　直感的に操作できる保険システムのUIをデザインすることはもちろんのこと、保険販売の新たなビジネスモデル検討に企画段階から携わることもできます。

ーこれまで担当したデザインで印象的なお仕事を教えてください。

　デザイナーとして初めて一人で担当した案件は、代理店さんが利用する管理画面のデザイン改修です。改修前の画面はスケジュールとコスト重視で作られていたため、UI/UXが全く考慮されずユーザーの利便性は度外視のシステムでした。

　不揃いに並べられた項目や長すぎるスクロールを解決するために、まずはユーザのエクスペリエンス向上について考えました。損保ジャパン社のビジネス担当とMTGを重ね、代理店さんが普段どのように入力しているのかを見せてもらうこと(フィールドワーク）を行い、業務理解から入りました。

　その上で、項目のカテゴリー分けを行い、最適なUIパーツを用いてデザインしました。またデザイン合意したあとはHTMLコーディングまで行い、開発部門と密に連携を取りながらシステムリリースすることができました。

　しかしながら案件を振り返ってみると、私にはビジネス部門に対して、なぜこのようなデザインにしたのかを「言語化する力」が足りなかったと痛感しています。デザイナーはデザインするだけでなく言語化する力やお客さまの想いに遡及しながら交渉していくスキルも必要だと感じました。自分に足りないものを認識でき、デザイナーとしてもっと成長していきたいと思った瞬間でした。

ーエンジニアとしての知見が活かされたと思う瞬間はありましたか？

　はい、ありました。ユーザにとってストレスのないデザインの提供が求められますが、システムのコストや効率性も意識しないといけません。そういったときに開発チームでの保守性も考慮することでランニングコストを抑え、はじめて費用対効果のあるシステム改善に繋がります。

　またその逆もしかりで、普段はエンジニアとして保険システムの開発・保守を担っていますがその中で「なんでこんなデザインになっているんだろう？」や、開発の依頼があった際にはビジネス部門は「なぜこの依頼をしてきたのだろう？」ということを常に意識できるようになりました。言葉ひとつひとつをとっても、よりお客さまに分かりやすく伝えたい！と思うようになり開発現場と協業し品質向上に取り組んでいます。私の”思い”や”行動”で、ユーザー視点に立って考える人がSOMPOシステムズに増えてくれるといいなと思いました。

　私自身の主観ではなく、ユーザー、ビジネス部門、開発者の視点にたち最適なデザインをこれからも描きけていくことが目標です！

私たちが会社に求めらる”自由な発想とビジネスへの真剣な貢献”

ーエンジニアからデザイナーへキャリアチェンジされるとのことですが、何かきっかけはあったのでしょうか？

　元々学生時代にHPを自前で作っており、ものづくりが好きでした。そのためUI/UX発足時に声がかかった時には「ぜひやってみたい！」と手を挙げました。ただし開発部門との兼業でUI/UXユニットを成長させていく必要がありました。発足して２年経ち少しずつデザインのお仕事が増え、デザインしたアプリが社内のシステム満足度ランキングで総合１位を獲得したりと成果も見えるようになってきました。エンジニアとしての仕事もやりがいはあったのですが、UI/UXユニットを組織として大きくしていく目標に向け、デザインの方向へキャリアチェンジすることを決めました。

ーチーフデザイナーとしての今後のビジョンを教えてください。

　それはずばり今後の保険の在り方（ユーザ体験）に変革を起こしたい、ということです。保険とはお客さまにとってまず、「面倒な手続き」というイメージが払拭できないと思っています。保険の最大の価値発揮は保険金のお支払いをし、お客さまの生活を支えるというところにあるのではないでしょうか。つまり「面倒な手続き」をしていただいても、お客さまとの接点がなく価値発揮をするまでに時間がかかる、もしくは価値を発揮しないままになってしまうという課題があります。それをUI/UXデザインの力で抜本的に変えることを目標にしています！

ービジョンを実現するために必要なスキルやマインドセットはどのようなものでしょうか。

　まず、保険業界特有のビジネス理解とデザインツールを使うスキルはもちろんのこと、新しいことに興味をもって取り入れていく柔軟性や、UXを重視しユーザが製品やサービスを利用する際のユーザの課題に遡及したデザインに情熱をもって取り組めることが重要です。また、デザインを説明するための言語化能力や様々な立場（システムオーナー、開発部門）の関係者を巻き込みながら進めていく力が必要だと考えています。

　興味のある方はぜひ一緒に変革を起こしていきましょう！

ユーザー系IT企業における「UI/UX」専門組織の"在り方"とは

ー当社に「UI/UXユニット」を発足した経緯を教えてください。

　ユーザー系IT企業である当社のミッションは、損保ジャパン社をはじめとしたSOMPOグループ、そしてその先にいるお客さまの「安心・安全・健康」を、高いIT技術力・ソリューションで支えることです。

　これまで当社にはお客さまのと接点であるユーザーインターフェース・エクスペリエンスに関する専門家がおらず、デザイン領域は外部会社（WEBデザイン業者など）に頼った企画・開発が中心となっていました。お客さまを最優先に理解し、それを具現化する必要がある当社において、自前でのUI/UXの開発ができていない、という課題を解決するため新組織の発足を提言しました。

そして、2022年4月より
　①デザイン ～ システム開発のシームレス・ワンストップな開発による効果創出
　②デザイン知識のSOMPOグループ内への蓄積
　③UXの重要性が急速に広がっている世の中へのキャッチアップ
を目指し、WEBデザイン・システムデザインに特化した「UI/UXユニット」を立ち上げました。

ー2024年4月でUI/UXユニットの発足後2年が経過します。手応えはありますか。

　従来のシステム開発は「ビジネス」×「エンジニアリング」で成り立っていたため、「デザイン」の領域がここに参画していくのは苦労しました。
　保険ビジネスは「VUCA」の言葉に示されるように流動的で、短期間でクイックに商品・サービスを世の中にローンチすることが求められるため、従来の思考では「デザイン」は二の次となりがちで、案件への参画すら困難な状況が最初は続きました。

　そのような状況で、メンバーが一丸となったUI/UXスキルアップと提案活動が徐々に実を結び、発足してから半年後にWEBシステムの新規開発案件にデザイン構想から参画することができました。画面構成・レイアウトまでをすべて内製で製作することができ、大きな一歩となりました。

　もともとユーザー系IT企業のSEとしてシステム開発をしていたメンバーが中心ですので、「エンジニアリング」と「ビジネス」に寄り添った進め方や提案ができることから、評判が社内に広がり、今では二桁を超えるデザイン案件を受注し、実績を積むことができています。損保ジャパン社の案件だけでなく、海外グループ会社や当社の公式ウェブサイトなど幅広い案件の依頼をもらっています。

　発足から3年目となる24年度は、新しい仲間を加えてさらなる飛躍を目指していきたいですね。

ーSOMPOシステムズにおけるUI/UXデザイナーとは？

　ユーザー系IT企業としての当社のミッションは、ITのプロフェッショナルであることに加えて、損保ジャパンのビジネス・システムを理解し、具現化していくことです。

　「ビジネス」と「システム」の両者を理解した上で、最適なUI/UXを提案・実現できることが我々の強みでもあり、コアコンピテンシーとなります。そのため、UI/UXデザインの知識や、IllustratorやFigmaなどのツールを活用できるのみならず、保険ビジネスやエンジニアリングの知識も大切になってきます。

　逆に言えば、損保ジャパン社のビジネス部門や当社のエンジニアとの接点が多い組織ですので、さまざまな職種の人たちと一緒に企画段階から仕事を行い、多くの経験・スキルを学ぶことができるのもUI/UXユニットの長所だと考えています。

　また、当社全体で行っている保険ビジネス研修やシステム開発研修、さらにはUI/UXユニットとして独自に行っているデザイン研修など、この2年間で教育体制を整えることできたため、新しいメンバーが迅速にキャッチアップできる環境も用意しています。
（2年間でしっかりと教育体制を作りあげてくれたユニットのメンバーに感謝です！）