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文字の歴史と、動画のこれから

人類の限りある時間を解放する──
見たい情報へ瞬時にアクセスできる未来を創り、
すべての人が本当に大切なことに専念できる社会を実現する。


まず、CLIP社の創業者である私が注目しているのは、今後世界中でますます動画が普及していくという未来像です。なぜそのように考えるのか、その背景をひもとくために、まずは文字の歴史について少し振り返ってみたいと思います。

文字の誕生と機械化への歩み

文字の起源は、紀元前3万年頃のフランス・ラスコー洞窟壁画に記された絵とされています。当時はまだ「文字」とは呼べない段階でしたが、視覚的な記号によって情報を伝える試みが人類社会に根付きはじめた最初の例といえるでしょう。

そこからさらに1万年ほど経ち、シュメールの粘土板で有名な世界初の絵文字が登場します。これは現代の文字文化の原型ともいうべきものであり、粘土板に刻まれた記号が、徐々に音声や概念を表す「文字体系」へと発展していきました。


誕生からおよそ3万2千年にわたって、文字は手書きという手段を中心に成長を続けてきたわけですが、19世紀に入るとタイプライターやワードプロセッサーが発明され、文字を書く方法に大きな変化が生まれます。



さらに21世紀に入り、Unicodeの採用によって世界中の言語がデジタル化され、インターネットとスマートフォンが急速に普及。



いまや日常の文字入力はIME(Input Method Editor)を通じた予測変換が主流で、手書きで文字を書く機会は大幅に減少しました。私たちの日常生活においては、漢字の読み書きを覚える必要ですら薄れ、現代の人間の語彙力はn-gramモデルや機械学習によって“操作”されているとも考えられます。

手書きからn-gramモデルや機械学習への移行は、私たちの語彙力や文章構造の理解を徐々に薄れさせました。200文字を超える長文では、活字の文章構造を理解できない人々が増え、SNSの台頭もこの傾向を加速させています。メールが主流だった時代は、ある程度の文章量を構造的にまとめる能力が求められましたが、SNSでは短文でのやり取りが大半を占めるため、文章を体系的に組み立てる必要性が希薄になっています。

また、口述入力のさらなる高精度化も近い将来実現されるでしょう。キーボードに触れることなく言葉を発するだけで、機械学習により正確な文章が生成される時代は、そう遠くありません。こうした背景のもと、いま私たちはある意味、文字を読むことができないが話すことはできる、かつての教育アクセスが限られた社会層と似た状況に近づいていると言えます。

文字文化から離れ、活字の文章構造を理解しなくなると、情報伝達の手段は動画へと急速に置き換わっていくでしょう。たとえば、AIが文章を読み上げ、人間のように自然に話す技術が進むにつれ、「活字は理解できないが音声や動画ならわかる」という人が増えると考えられます。

ただし、法律・医学・政治・学術など文明の根幹を支える高度専門領域では、正確な読み書きや厳密な記録が必須となります。したがって、大衆向けのコミュニケーションは動画・音声が主流になり、一方で専門領域や公的文書は依然として文字ベースが不可欠という二極化が今後さらに進行していくでしょう。

現代のインターネットを見渡すと、既にTikTokの急成長やX(旧Twitter)、Facebookなど、あらゆるプラットフォームで動画を優先表示するアルゴリズムが作動していることに気づきます。その背景には広告というビジネスモデルが深く関わっています。動画は広告をよりリッチに表現し、人々の射幸心を煽るのに適した媒体だからです。

特にYouTubeでは、動画広告によって莫大な利益が生まれています。動画の尺が長ければ長いほど、差し込まれる広告の数が増えるため、単調な動画が量産され、その合間に広告が挿入され続けるという状況が生まれています。結果として人々は「自分が本当に見たい情報」に辿り着く前に、多くの広告や余計なコンテンツに時間を奪われているのが現状です。

こうした世界の趨勢の中で、CLIP社が目指すのは、まさに「本当に見たいものに最短距離でたどり着ける」システムを構築することです。日常に溢れる過剰な情報や長尺の動画からユーザーを解放し、必要なエッセンスを切り抜いた動画を最適な形で提供する。これは“切り抜き動画”の活用によって実現可能だと考えています。

切り抜き動画の利点は、長時間のコンテンツの中から重要な部分だけを短くまとめており、視聴者が時間を節約できる点にあります。広告の乱立に疲弊し、本当に得たい情報を手軽に得たい人々の需要は高まる一方です。そこで、情報を「適切に編集し、わかりやすく提示する」ことで、新しい時代の動画コミュニケーションをさらに豊かにしていきたいと考えています。

文字を取り巻く環境は数万年にわたって人類の思考や社会の発展を支えてきましたが、19世紀の機械化と21世紀のデジタル化により、私たちの文字との関わり方はかつてない勢いで変化を遂げています。そしてこの変化はAI技術のさらなる普及とともに、加速度的に進んでいくでしょう。

動画・音声コミュニケーションの拡大は、ある側面では文字文化の衰退をも意味しますが、一方で視覚と聴覚に訴える新たなコミュニケーション様式を発展させるチャンスでもあります。CLIP社としては「切り抜き」という要素を活用し、動画の時代の情報伝達をより効率よく、かつ価値あるものに変えていきたいと強く願っています。広告まみれの冗長な動画に埋もれず、本当に必要な情報を手早く得られる世界へ──私たちはそこにこそ次のイノベーションの種があると考えています。

新たな動画の未来を共に作っていきませんか?ここまで読めた方はぜひ、CLIPへ。

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