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株主インタビュー #02 | 豊田通商 松﨑 英治氏・平田 雅史氏・山根 理嗣氏「私たちが出会った“リアルと志が共存するチーム”」

こんにちは、ゼロボード広報の太田です。ご好評につき第2弾です。
2月15日のシリーズA 1stクローズと2ndクローズの資金調達発表に続いて、3月24日には3rdクローズの追加調達とシリーズA総額25億円での資金調達完了を発表をしました。本シリーズで新たに株主となってくださった事業会社の1社、総合商社の豊田通商さま。出資いただく前から協業をさせていただいた同社に、ゼロボードの印象をはじめ、出資に至った背景や今後の連携で目指すことを伺いました。

写真中央:
豊田通商株式会社
執行幹部 化学品・エレクトロニクス本部COO エレクトロニクスSBU担当
兼 CDTO補佐
松﨑 英治氏

写真右:
カーボンニュートラル推進部 部長
平田 雅史氏

写真左:
デジタル変革推進部 DX戦略G
兼 カーボンニュートラル推進部 グリーンマネジメントG
山根 理嗣氏

※豊田通商さまのご紹介は末尾にあります。

ー 本日はよろしくお願いします。まずは弊社との出会いを教えていただけますか。

松﨑:はい、豊田通商では4年前から全社的にDXを推進していて、社員に世の中のDXの動きを知ってもらうための取り組みをしています。その取り組みのひとつであるキュレーションメディアにピックアップされていたのが、2021年にCO2可視化ツール「zeroboard」をゼロボードさんが初めて発表された記事でした。ニュースを見て気になった企業に僕は会いに行くようにしていて、脱炭素もそうですがDXという視点でも興味を持ったので、すぐにゼロボードさんにアポを取りました。当時は我々を含めScope1-3がどういった内容であるか分かっている人はほぼいなかった時代ですし、ゼロボードさんのようにScope3を含めて可視化するサービスは他には無かったと思います。

ー そうだったんですね。当時はまだ前身となるスタートアップのオフィスにおりました。

松﨑:そうそう、オフィスに伺ったら真ん中にドローンのようなバイクがあったのをよく覚えています。どうしてこれがあるんだろう?と思ったのですが、後々ゼロボードさんはハードテックスタートアップの一部門であると知りました。

ー スタートアップが発表したCO2算定ツール。御社の課題感と合っていましたか。

松﨑:カーボンニュートラルに対して、最初はCO2の排出量管理をするという発想はありませんでした。我々はグローバルで1,000社近くの関連会社があります。これまで省エネ法にはほぼマニュアルで対応しており、DXを推進する上で、その対応をいかに効率化するかを考えていました。商社がサプライチェーン(以下、SC)のデータを収集するために、ツールを最適化することは絶対必要になると思っていたところに、ゼロボードさんのサービスの発表がありました。ピンポイントでCO2排出量管理をするために探していたわけではなかったのですが、今後さらにSC管理が重要になると考えて、CO2排出量管理そのものとDXの両面の課題感を持っていました。

大事なのは渡慶次さんのパッション。これが一番の理由。

ー 弊社代表である渡慶次本人やサービスについてはどのような印象を持たれましたか。

松﨑:渡慶次さんは三井物産様に在籍されていた時代に、エネルギー関連の事業を担当されていましたよね。その点において商社同士の感覚に親和性がありました。カーボンニュートラルに向けて、欧州が戦略的にルールメイキングに関わっていることへの危機感にも共感しました。だからこそ、今後商社にとってしっかりとしたSC管理が必要になることが想定されていて、サービスに最初からScope3までが盛り込まれていることが凄いな、と。当時はまだ他になかったと思います。商社のSC排出管理はこれからカギになると思います。
当時は開発メンバーが5〜6名の頃だったと思いますが、そのベンチャースピリットもいいなと思いました。

ー 協業はすんなり決まったのでしょうか。

松﨑:待ったなしで決まったと記憶しています。ゼロボードさんも自動車業界を重要領域として位置付けていると思いますが、当時は金融機関を中心にパートナーを組んでおられていて、まだ自動車領域には当時は手を出せていなかったとのことで、我々豊通グループと組んでいただくことになりました。

インタビューに答えてくださる松﨑さん

ー 豊田通商さまの中で、国内外含めてさまざまなサービスを調査・検討して来られたと思います。「zeroboard」を選んでくださった理由とはなんでしょうか。

松﨑:まずはLCA*(ライフサイクルアセスメント)の構想が最初から入っていたことが大きいですね。自動車業界にとってLCAは非常に大事ですから。また金融機関のみならず多様な業種のパートナーが多く集まっていることも信頼に繋がりました。

次に、サービスの中立性です。特定の業界や会社の色が付いていないサービスは、我々のビジネスと親和性があると感じていました。

また、大事なのが渡慶次さんのパッションです。実はこれが一番の理由かもしれません。彼のパーパスが素晴らしいし、我々も賛同できた。言うなれば渡慶次さんに投資したと言っても過言ではないです。

平田:ゼロボードさんはシステム・サービス提供に特化して、削減ソリューションは提携するパートナーが提供するという潔さも、決めた理由として大きかったです。

松﨑:他にも、ゼロボードさんが様々な団体に参画していたり、渡慶次さんが経済産業省のCFP*(カーボンフットプリント)算定の検討委員を務められていたりと、ルールメイキング側の最先端の情報、特にLCAの情報を持っていらっしゃることは本当に頼りになります。

平田:これは御社と組むことの本当に大きなメリットです。まずScope1-3があり、その先にあるCFPは自動車業界では非常に重要になります。CFPをみんなで共通のシステムで管理していこうという時に何をデファクトとするか?と考えた結果、我々の理想に一番近いものが「zeroboard」でした。

ー そして出資の検討に至った理由はなんでしょうか。

松﨑:トヨタグループの一員として、当社が強みのある自動車業界に「zeroboard」を広めていくことは従来から考えていたのですが、自動車業界は細かい要望が多いので、資本関係がある事業パートナーということであれば、機能や要件の追加などが出しやすいという利点を加味し、出資に至りました。当社はキャピタルゲイン目的の出資は原則しませんので、事業パートナーとして一緒に世の中に貢献していきたいと思ったことが出資の理由です。

山根:システム開発を我々が想像している以上のスピードで進めてくださっていることもポイントでした。一方、実務ベースで使っていくためには、国内法対応など、今後も順次機能追加をしていただけるとありがたいです。

平田:ゼロボードさんはユーザーの意見を非常に良く聞いてくださっています。自分たちの製品は完成品ではないというスタンスをお持ちで、ユーザーの要求に合わせて、「いつまでにこの機能を実装します」と提示してくださいますので、常に改良していこうと向き合っておられるのが分かります。

ー 御社は物流や貿易、モビリティの会社に出資されていますよね。弊社は毛色が違うように思いますが、投資決定までの壁はありませんでしたか。

松﨑:正直壁はありました。我々は先ほども申し上げた通り、SaaSそのもので利益を得ようというわけではなく、「zeroboard」は当社のカーボンニュートラルに関連する様々なソリューションを下支えするツールという位置付けでした。しかし社内では、そうした考え方が理解されづらく賛同を得るまでに時間を要しました。

平田:製品のスペックだけで各社を比較すると、Scope1・2の算定に限っては差別化が難しい状況にあります。その先にScope3があり、CFPがあり、それをデファクトにしていこうと考えた時、今後発展していくだろう「zeroboard」の素晴らしい将来性について、投資を審査する方々を説得するのに苦労しました。私たちは渡慶次さんと直接話しているので「zeroboard」の良さを分かっているのですが…。

山根:社内でも経営層は将来性を見据えた投資であるという理解は初期段階から得られましたが、それ以上に投資を審査する実務者からは「なぜ『zeroboard』なのか」という質問を受けるケースが多かったです。その時は、先ほど松﨑や平田が申したことを噛み砕いて話し、実務者レベルでも理解を得られるように努めました。

平田:今ある製品ではなく、これからやろうとしていくことに対する投資ですね。

松﨑:スタートアップへの投資は、ビジネスモデルの新規性や技術の革新性は当然考慮されると思いますが、それだけでは無いと思っています。今回は渡慶次さんの人間性が大きいですね。ゼロボードで働くメンバーの皆さんも、渡慶次さんの志に惚れて集まって来られたと感じています。

脱炭素は僕らだけでやるより、賛同するみんなでやった方がいい。その方がメリットは大きいから。

ー 今後両社の連携によって目指すものを教えてください。

松﨑:当社が注力している自動車業界はサプライチェーンが長く裾野が広いため、信頼性の高いシステムを作ろうとすると、どうしてもスピード感が落ちてしまうので、そうならないようにして欲しいですね。我々のお客様がカーボンニュートラル対応で遅れてしまわぬよう、業界のさまざまな要求に対して応えていきたいです。
また、欧州と同じことやっていても勝てないという思いはありつつも、最低限揃えておかなければならない機能はあるように思います。システムを世の中に提供しながら改善し、世の中の流れを取り入れていく、というアプローチを他社や海外から遅れをとらぬように連携していきたいです。
「zeroboard」は必ずしも全業種のデファクトとなるわけではなく、API連携することによって既存のシステムにも柔軟に繋がりつつ、物理的なビジネスのネットワークにも繋げていきたいと思っています。地域を特定するのではなく、当社の業務、排出量の管理、それを用いたビジネスにおいて全てに「zeroboard」を使っていきたいと思っています。

山根:現在、タイで一部のお客様と協働して「zeroboard」を利用したSC排出量可視化の実証実験を現地で行っています。我々としてはその結果をもとに、タイではどういったシステムの使い方をし、どうやってデータ連携をして当社のビジネスに繋げていくかを検討していきたいと考えています。

平田:自動車業界は日本のビジネスモデルをそのまま海外で展開していくということではなく、世界中で完成品や部品が流通しています。アジアで部品を製造して、ヨーロッパで組み立てられて、アフリカで売られるというように、多くの国とサプライチェーンが複雑に繋がっています。それを考えると、グローバルで共通のシステムを使っていただかないと成り立たないシチュエーションもあります。どこの国でも使えるツールになるようにゼロボードさんと一緒に取り組みたいです。

ー ゼロボードのパートナー戦略をどう思いますか?

松﨑:非常に良いと思います。競合である商社同士もサプライチェーンの中で繋がっているケースもあるので、可視化ツールはみんなで共有していけばいいですし、ゼロボードさんがパートナーとしてどこと組むかをこちらが制限する必要はないと思います。当社は可視化ツールと別のところで付加価値を出していきたいと思っています。

平田:豊田通商はカーボンニュートラル実現に向けて「未来の子供たちに、よりよい地球環境を」というビジョンを掲げています。カーボンニュートラルは当社だけで推進するより、賛同する全ての会社と取り組んだ方がいいですし、同業他社も同じように思っていらっしゃると思います。当社だけが儲けようというわけではなく、みんなで取り組む方がメリットは大きいのではないかと思っています。

ー 御社のエネルギー関連とのシナジーは?

松﨑:顧客側が排出量管理をできていない場合に「zeroboard」を提供して可視化を行い、エネルギー関連は勿論、当社が持つ削減に対する様々なソリューション提供につなげることができると考えています。

平田:自動車SC上にいる各企業において、どの国のどのプロセスで削減ができるか、または削減をしなければならないかが分かると、我々も提案するソリューションのオプションは変わっていきます。それを知ることができるのが、「zeroboard」の良いところだと思います。

ー 自動車業界の脱炭素経営支援をリードして行かれますね。

松﨑:CO2削減に対する、様々なソリューションを手段として提供して脱炭素を牽引していくつもりです。そこには可視化ツールが必要ですので、「zeroboard」をフル活用します。豊田通商は総合商社なので自動車のみではありません。あらゆる分野に使っていきたいですね。

平田:先ほども申し上げましたが、いかなる商品を扱うにしても、今後は本当にCFPが大事になります。車1台に約3万点の部品、数百社のサプライヤーさんがいる自動車業界はもちろんのこと、長く広く繋がるSC上で、どの会社でも使いやすい同じシステムを使うことが重要です。

リアルと志の両輪があるのがゼロボードの魅力

ー SCの算定と可視化は今後の課題ですね。最後にゼロボードメンバーとこれからジョインされる方へのメッセージをお願いします。

松﨑:渡慶次さんのパーパスが素晴らしいと思いますので賛同する人に加わって欲しいですね。ゼロボードさんのメンバーは、ゼロボードという組織を良くしながら、世の中を良くしたいと考えられているように思います。

平田:最近の若い方は非常に志が高く、世の中を良くしていきたいと思っている方が多いです。ゼロボードさんはそのような方が入社して間違いない会社だと思います。世の中を良くしていくのに1人ではできないところをみんなで協力していかなければなりませんよね。ゼロボードさんに入れればそういった仕事ができると思います。

山根:大企業から転職してゼロボードに来られた方に何人かお会いしましたが、皆さん同じ志を持って集まっていると感じますし、非常に真摯に仕事されています。大企業のスピード感や現実を理解してくださった上で連携をしてくださっているので、我々としては非常にありがたいです。

平田:確かに、産業界の現実を知っている方々が集まっていますよね。

山根:本当にそうなんです。ゼロボードさんは、リアルと志の両輪があるというポイントが凄いなといつも驚かされます。ぜひ引き続き私たちと一緒に脱炭素のための支援を進めてさせて下さい!

ー リアルと志の両輪!確かにそれはゼロボードの持つ特徴のひとつだと思います。
引き続きよろしくおねがいいたします。本日はありがとうございました。

ゼロボードへの期待をお話ししてくださる平田さん

豊田通商さまとは、2021年8月にASEAN展開の第1弾として共にタイへ進出しています。現地の日系企業に「zeroboard」をトライアル導入しScope1-3の算定に取り組むなど、スタートアップ1社では難しい海外への事業拡大に多大なご尽力をいただいています。重厚長大産業の筆頭である自動車業界を中心に、連携して脱炭素化を推進していきます。

ゼロボードは、カーボンニュートラル実現に向けて企業の脱炭素経営を支援しています。一緒に頑張ってくださる仲間を募集中です。海外事業でも活躍できるポジションもあります。ゼロボードが気になった方は、ぜひWantedlyからお問い合わせください。

■豊田通商さまのご紹介

豊田通商株式会社は、日本のトヨタグループの一員であり、世界中で事業を展開している総合商社です。同社は、自動車部品、自動車販売、自動車製造、産業機械、エネルギー、化学品、食品、住宅・不動産など多岐にわたる商品やサービスを扱っています。
豊田通商は、1948年に設立され、本社は愛知県名古屋市にあります。同社は、世界中に多数の子会社や関連会社を有し、特にアジアやアフリカ地域において強い存在感を持っています。また、環境保護にも力を入れており、再生可能エネルギー事業やリサイクル事業などにも取り組んでいます。
ホームページ:https://www.toyota-tsusho.com/

*LCA:Life Cycle Assesmentの略。原料採掘から廃棄まで、全体の環境負荷を数値化し、定量的に評価する手法。
*CFP:Carbon Footprint of Productsの略。商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量を CO2に換算したもの。

<参考プレスリリース>
【2023.03.24】脱炭素経営支援ソリューション提供のゼロボード、総額約25億円でシリーズAの資金調達を完了
【2023.2.15発表】脱炭素経営支援ソリューション提供のゼロボード、シリーズAで24.4億円の資金調達を実施
【2022.08.24発表】ゼロボード、パートナー5社とともにタイでの脱炭素経営支援を開始
【2022.03.15発表】ゼロボードと豊田通商、サプライチェーン全体の排出量算定に向けた協業を開始

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