「自分の手で世界を創っていくクリエイターを増やしたい」ミャンマーでSTEAM教育事業を創業した女子大生|TIAM Inc.代表 三橋咲
はじめまして、TIAM Inc.です!
弊社は2018年9月に創業し、STEAM教育事業をミャンマーで行っているベンチャー企業です。記念すべき初投稿記事は、代表・三橋に創業ストーリーについてインタビューをしました。どのような想いで事業を立ち上げ、日々奮闘しているのかをお届けします。
幼少期に感じた疑問「なぜ人と違うことがいけないのか」
ー TIAM創業から3ヶ月が経ちました。今回はTIAMがどのようにして生まれたのか聞いていきたいのですが、まずは、三橋さんの人生について聞いてみたいです。簡単に自己紹介をお願いします。
はい、私はアルゼンチンで生まれてから3才までを過ごし、小学校5年生まで日本で過ごして、その後の4年間はパナマにいました。大学は、東京外国語大学スペイン語専攻で、現在3年次休学中です。昨年の9月に創業メンバーの岩佐(CTO・42歳)と田村(COO・33歳)と、40代、30代、20代の3人でTIAMを共同創業しました。大学は一昨年から休学をしていて、TIAMの活動に専念しています。
私は幼稚園と小学校5年生まで日本にいたのですが、ひたすら学校が嫌だった時期がありました。なぜ嫌だったかというと、私は昔から性格的に一人で遊ぶことがで好きだったのですが、幼稚園の時に他の人と遊ばずに一人でいたら先生に「どうしてみんなと遊ばないの?」と心配されたり、小学校の時に他の子たちが外で全員遊んでいる中、一人で教室で絵を描いていたら先生に怒られたり、それを聞いたクラスの子からも「仲間に入ってこない変なやつ」という印象を持たれたりしていて、「どうして人と違うことでこんなに言われないといけないのか」と感じていました。
こういう経験に対して、順応していくために自分の感情を徹底的に殺しました。その結果どうなったかというと、自分が何が好きで何が嫌いか、ということが分からなくなってしまったんです。このままいくとまずいと思い、ちょうどその頃父親の赴任でパナマに行くことが決まったので、環境を変えるためについていくことにしました。このような経験から教育に対しては、あまり良いイメージをもっていなかったんですよね。
創業メンバー3人の共通点であった教育への問題意識から始まった事業
ー そうだったんですね。そんな幼少期を過ごした三橋さんが、どのような経緯でミャンマーで起業することになったんでしょうか?
ミャンマーに来たのは2年ほど前にNGOでインターンをしていたことがきっかけでした。その後将来のキャリアを考えた時に「自由に生きていたいな」と思いました。そうすると、選択肢は ①フリーランスになる ②自由な社風の会社で働く ③経営者になる、の3択で、①と②に関しては経験済みだったので、「在学中に経営をやってみたいな...じゃあやってみるか!」という気持ちになりました。経営者になるには、自分で起業するか、すでにある会社の経営メンバーになるかの2択だと思うのですが、実績のない大学生にとって後者は難しすぎるので、起業することを決めました。そのタイミングで岩佐と田村に出会いました。
なぜミャンマーで創業したのか、というのはよく聞かれるのですが、「創業メンバー3人がここで出会ったから」です。CTO岩佐は、小学生時代からプログラミングを始めたエンジニアで、ミャンマーでIT企業を経営。COOの田村は、人材会社のミャンマー法人の代表です。岩佐には、4才になるお子さんがいるのですが、「自分の子供に受けさせたいと思う教育がない」と。田村は、「人材会社を経営しているけれど、人材云々の前にそもそも教育システムが圧倒的に足りていない」と。そして私は、幼少期の経験から「自分が受けたかった教育を創りたい」と。この、たまたまミャンマーで出会った3人が教育に対する課題意識を持っていたことから、TIAMを立ち上げました。
ちなみにTIAMという社名はペルシア語「双眸(そうぼう)」から来ていて「その人に初めて会ったときのわたしの瞳の輝き」というニュアンスが含まれています。「新しいものに出会い、目をきらきらさせる子ども」を想像して選びました。ちなみに裏話があって、「This Is Also Myanmar」「Tamura Iwasa And Mitsuhashi(創業メンバーの頭文字)」という意味も込められています。(笑)
自分の手で世界を創っていくクリエイターを増やしたい
ー なるほど、では教育事業の中でもなぜSTEAM教育だったのか気になります。
私たちは現在ミャンマーで「自分の手で世界を創っていくクリエイターを増やしたい」という想いの下、STEAM教育事業を行っています。具体的には子ども向けのプログラミングスクールを行っていて、現在25名近くのお子さんが通ってくれています。また、インターナショナルスクールとの提携も先週から始まりました。
TIAMが大切にしている価値観の一つに「Hack the Box」というフレーズがあります。Hackは、「たたき切る」という意味や「高い技術を持ってシステムを操ること」、「完璧ではないけどアイディアを駆使してかろうじてうまく行なっていること」と言った意味があります。Boxはシステムや、既存のモノの象徴です。箱のイラストで表現していて、その箱の中には何でも入れられます。要するに、既存の枠組み、固定観念にとらわれず、世界を自分で編集し、デザインして、作り出していく人を増やしていきたい、そして自分たちもそうでありたいという想いが込められています。
私たちが採用しているSTEAM教育という教育手法は、①化学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Art)、数学(Mathmatics)の教科を分断せずに統合して ②自分の手を使って、現実世界と関係を持ちながら学んでいくことができるという点で非常に価値があると思っています。
教科書上の学びだけでは、あらゆるレイヤーを通しているため現実世界に触れていません。そうではなくて、自分で手を動かしてみようよ、分からないならどうやってやれば上手く行くか試行錯誤してみようよ、というのがSTEAM教育の主張です。結果だけを知るのではなく、自分でしっかりプロセスを踏んでいくことが大切だと思っています。
その中でなぜプログラミングだったのかというと、1つはCTOの岩佐がプログラミングのプロフェッショナルだったから。もう1つは、プログラミングには失敗がないからです。プログラミングでは、ゴール設定→作ってみる→間違っていたら直すというプロセスが非常にシームレスに実践でき、失敗=「修正点が見つかった」に繋がるのです。
パソコンを初めて触ってみた子どもが、コードを間違えてしまった時に「パソコンが壊れちゃう」と言ってびくびくしていたのが、次第に「間違えても修正すれば大丈夫」という「失敗を恐れない」マインドセットに変わっていくのです。
私はクリエイターは才能ではなく、どれだけ失敗を恐れずに作ってこれたかが重要だと思っています。プログラミング教育はまさにクリエイターを生み出す上で最適な方法だと思っています。
広義での「教育」をアップデートし続けたい。より大きなインパクトを与えていきたい。
ー これからが楽しみなTIAMですが、今後どんな取り組みをしていきたいですか?
広義では、一生の中で教育に関わらない人はいないと思っています。学校だけにとどまらず、家庭での親御さんとのコミュニケーションや、広く「大人」との触れ合いも大事ではないかと思っています。そのような所まで踏み込んでいきたいと思っています。
でもまずは、私たち自身が子どもたちと実際に触れ合い、その実感値を通して「この教育っていいよね」という確信を持つことが目標の一つです。「人が学ぶってどういう現象だろう」「知識と経験ってなんだろう」といった「そもそも論」から考えて事業を創っているので、前提を常にアップデートしながら足場固めをしてきたいです。
また、今は塾モデルでやっていますが、よりインパクトを出すためには、ebookなどを使って視線の動きを計測して子供たちがテキストのどういうポイントでつまずくのかというデータを取り、ゆくゆくはITサービスを提供したいと思っています。まだまだ事業がスタートしたばかりで具体的な絵は描けていませんが、コンピューターと子どもとの間で完結するものではなく、オンラインとオフラインの両輪で隣の人との新しいコミュニケーションを生み出せるようなサービスを創っていきたいと思っています。そこまでいけばミャンマー以外にも展開していきたいです。
TIAMではミャンマーから次世代教育事業を一緒に創っていくメンバーを募集しています
ー 最後に、これからのTIAMを創っていくメンバーとしてどんな方と一緒に働きたいですか?
私たちは創業3ヶ月の出来立てほやほやの企業です。TIAMの理念や事業に対して共感してくれることが一番大事ですが、付け加えるなら、新しいことや変化に対する順応性のある方と働きたいなと思っています。まだまだ組織として整っておらず、想いだけがある会社です。抽象的なものに対して自分で考えて行動に移していくことが好きな人、大きな裁量を持って会社を創っていく手触り感を持ちながら働きたい人にはぴったりだと思います。
また、今後多様なメンバーが増えていくにあたって、文化的な背景の違う人と働くことになります。そのため、何も共有していないことを前提としてコミュニケーション をとることを楽しめる人には向いているかもしれません。
とはいえ、組織のかたちは出会う人によって無限に変わり続けていくと思っています。TIAMという会社も、社内外の枠を超えて様々に関わってくれる人たちによって日々変化しています。まずは何も気にせず、少しでも「おもしろそう」と思ったら気軽に応募してもらえると嬉しいです。