<プロフィール> 株式会社さくらコマース 代表取締役社長 全 彰 碩 2009年モランボン株式会社入社。2011年株式会社さくらコマースへ転籍。 2019年代表取締役就任。
「正直に」「まじめに」は、今なお受け継がれる創業の精神
――全(ジョン)社長の生い立ちや、社長就任までの道のりを教えてください。
さくらコマースは祖父が創業した会社です。私はさくらコマース三代目社長で創業者の孫にあたります。
私は大学を卒業後、アメリカ留学を経て、東京コカ・コーラボトリング株式会社へ入社し、営業や企画に関する仕事をしました。
その後、2009年にグループ会社であるモランボン株式会社に入社します。モランボンでは約2年、生産現場に従事し、2011年にさくらコマースへ転籍しました。さくらコマースでは様々な事業部で下積みをしました。食品スーパーの魚売り場や、野菜売り場、新規事業でお寿司の宅配プロジェクトの発案、パチンコ店の店長まで経験しました。その後、営業本部長、常務を経て入社8年目の年に代表取締役になりました。家業といえど、様々な仕事を経験して今に至っています(笑)。
――歴史あるさくらコマースですが、創業時から受け継がれている想いや理念はあるのでしょうか。
さくらグループの創業の精神は “生きること生活することを愛し、お客様の立場に立ってこそ真に役立つものが生まれる。さくらグループは、正直にまじめに額に汗して働き、儲けることよりも永続きを求める。”
です。
この中で特に、「正直に」「まじめに」というキーワードは脈々と創業から受け継がれていると感じています。社員の中でも合言葉のように使われていて、全員が親しみを持っている言葉です。
コリアンである創業者は、創業当時、周りの人より信頼を勝ち取るために、「正直に」「まじめに」生きることを何よりも大切にしていました。例えばズルをすると、その一瞬はどうにかうまくいくかもしれませんが、永く関係性を続けることは難しいはずです。この考え方は、今なお受け継がれています。私がこの会社に入って間もない頃に働く仲間たちを見て、「なんて真面目な考え方をする人たちなのだろう」と思ったほどです(笑)。
目標に向かってまっすぐに努力し、本気で取り組む社員の多さがさくらコマースの特徴だと思います。そもそも創業者は大変真面目な人間でしたから、そのDNAが二代目にも受け継がれ、風土として今も残っています。不器用かもしれないですが、決してズルはせず、「正直に」「まじめに」を全社員が体現しながら働いています。
多種多様な人材が活躍できる場所「Mtone」
――新規事業Mtone(エム・ティ・ワン)はどんな想いから始めたのでしょうか。
Mtoneとは、ITエンジニアに特化した人材派遣事業で、2018年にスタートしたばかりの新規事業です。アミューズメント事業を主力とするさくらコマースにおいて、人材派遣、しかもITに関連した事業をなぜ始めたのかと不思議に思う方も多くいらっしゃるかもしれません。実は、さくらコマースは創業当初からチャレンジ精神旺盛な会社で、これまでも数多く、新規事業の立ち上げを行なってきました。焼肉のたれでお馴染みの「モランボン」も元々は新規事業の一つとして誕生しました。現在もデザイン・印刷事業、就労移行支援事業など多角的な事業展開を行なっています。
再び新たな事業にチャレンジしたい、どうせやるのであればさくらコマースが一貫して大切にしてきた「人」を軸に据えたビジネスを展開したいと以前から考えていたところ、これからITエンジニアの人材派遣業は社会的な需要が高まっていくということを知りました。更に調べたところ日本のITエンジニアの数は世界的に見てもまだまだ足りていないということがわかりました。エンジニアに関わる事業をすることは今後の日本の国力を引き上げていくためにも良いと思いました。また、エンジニアになりたいという意欲はあるけれど、チャンスや経験がない方にも幅広く門戸を開くことでその意欲を応援し、どんな方でも活躍できる環境を生み出していきたいと考えています。
――Mtoneは事業として好調に成長していると伺いました。成功要因は何でしょうか。
基本的に、エンジニアを採用する際は「笑顔が素敵か」「さくらコマースの創業の精神や経営理念を理解し共感してくれるか」その2点を特に気を付けて見ています。ITに関する専門知識や経験、学歴や年齢はそれほど重視していません。
事業立ち上げの初年度に採用した2名の社員も創業の精神や人を大事にする考え方に大変共感してくれました。入社後は研修期間中にさくらコマースの社員としてどうあるべきかという事を多く学びます。派遣先でそれらを実践し、2名とも高い評価を頂いております。
採用基準として技術面で多少不安要素があっても、素直さや正直さ、まじめさや明るさなどの強みを重視しています。 このようなメンバーがどんどん増えていることも一つの成功要因だと考えています。
さくらコマースの社員は、新人がオフィスにいると気軽に話しかけたり、良い意味でのちょっかいを出したり、すぐにコミュニケーションをとります。そういった日常の何気ない社員の言動を見て、彼らは良好な人間関係の築き方を自然と身につけているのだと思います。マニュアルが存在しているわけではないのですが、これまで社員が積み上げてきたDNAというものが受け継がれているのを改めて感じています。
――これからMtoneはどう事業展開していくのでしょうか?
2020年度は若干足踏みしましたが、2021年は大きく拡大していく予定です。派遣先とエンジニアをつなぐ役割である営業担当も2名から4名に増やし、アクセル全開で挑んでいきます。これからも採用の機会を増やして多くの方にお会いしたいと思います。
また、一人ひとりの「こんな仕事にチャレンジしてみたい」という想いに寄り添い、応援したいと思っていますので、ジャンルや業界を限定せずに、将来的には最先端のAIやIoT、ロボットなどにも取り組める環境をつくる予定です。
現在は派遣先に行って仕事をしてもらうかたちをとっていますが、一人ひとりが様々な現場を経験しスキルを身に着け、ゆくゆくはさくらコマース社内で自社開発や受託開発の仕事をしてほしいと願っています。エンジニア業界は転職が多い業界ですが、彼らにはさくらコマースでできるだけ長く仕事をしてほしいというのが私の想いです。そのためには彼ら一人ひとりと心で繋がり、喜びを分かち合いたいです。IT企業はどちらかというとドライな企業が多いと思うのですが、私が目指しているのはかなりアットホームでウェットな組織です(笑)。例えば、先ほどの2名の社員は入社した年、お正月に営業担当の家でおせち料理を食べて過ごしたと言っていました。人間関係においてプライベートとの線を完全にひかず、温かい家族のように、働く仲間の域を超えて心の底から大切にしたいと思っています。
未経験でも、熱意のある方をお待ちしています
――最後に、これを見ている方へのメッセージをお願いします。
さくらコマースの採用基準は、他の企業と少し違うかもしれません。いくら学歴が素晴らしい方でも、不採用にさせていただく可能性が大いにあります。一方で、未経験で学歴がない方でもどんどん採用しています。
スキルや経験は大切な要素ではありますが、それよりも人柄、考え方、熱意を重視しています。なぜなら、技術力はもちろん重要ですが、それよりも、熱意がある方の方が2〜3年後には良いエンジニアになると思っているからです。人間、何かを始めるのに遅すぎることはないですし、熱い想いさえあれば駆け上がっていけるはずです。
何よりも我が社の創業の精神、経営理念に共感してくださる方であれば、ぜひ一度お話をしてみたいです。