株式会社スタジアムエクスペリメントの「Stadium App™」開発で、プロジェクトマネージャーおよびUXデザインを担当している阿久津と申します。
今回は、Stadium Experimentが提供する「スタジアムアプリ」の機能に触れながら、それを支える設計の思想について、ご紹介していきます。
阿久津 達彦 (Tatsuhiko Akutsu)
Project Manager/Information Architect
Webサイトやアプリ、サービス開発における情報アーキテクチャ設計やUXデザインを専門とする。主な仕事に「ArtSticker(アートスティッカー)」、「UNIQLO / IQ」、「TOYOTA / FV2」などがある。同時に、プロジェクトマネージャーとして「あらゆるチームでどう最適な手法を生み出していくか」というクリエイティブプロセスづくりに関心がある。ハリネズミ好き。
する・観る・支える
スポーツ産業を取り巻く要素として、「する・観る・支える」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。
クラブとサポーターの関係性に当てはめると、「する」は主にクラブや選手の役割になりますが、「観る」・「支える」というのがサポーター側に当てはまる要素になります。
私個人のサッカーへの興味は、ワールドカップがある時期には、ニュースを見ながら勝敗に一喜一憂するくらいで、特定の選手やチームを熱く応援しているということは特に無いような人間でした。
しかし、国内外のスタジアムを視察したり、ご協力頂いているJリーグクラブのゲームを観戦する中で驚いたのは、スタジアム空間が持つ圧倒的な熱量です。
多くのサポーターが、応援するクラブのユニフォームやグッズを身にまとい、スタジアム空間に一箇所に集まり、全力で声を出して、一つ一つのプレーに一喜一憂する。そんな機会が年間を通して、毎週のように起こっている空間があることが、一番のカルチャーショックでした。
そして、この熱量こそが国内サッカーにおいて、サポーターが「ファン」ではなく「サポーター」と呼ばれ、「観る」だけではなく12番目の選手としてチームを「支える」存在である所以です。
スタジアムアプリでは、この「観る」・「支える」体験をさらに進化させるべく、日々プロダクトの開発を行っています。
「支える」を進化させる
スタジアムアプリのコアな機能が、「サポーティング」です。
「サポーティング」とは、サービス内通貨である「サポート」を購入し、選手やプレーの⼀つ⼀つに対して、デジタルグッズを介した応援を届ける機能です。
スタジアムで、もしくはDAZNで試合を観ながら、お気に入りの選手や素晴らしいプレーにサポートグッズを贈ることで、選手に応援をとどけることができます。
金額をただ表示するような、単なる「投げ銭機能」では難しい。
「応援する気持ち」をデジタルグッズやUIで可視化し、アイテムのグラフィックや演出で、楽しい体験にすることでサポーターに使ってもらう機能になるように、クリエイティブを詰めていきました。
もちろん、サポーティングで集まった資金は、特定の比率でクラブとStadium Experiment社がレベニューシェアするビジネスモデルとなっており、サポーターの応援が、そのままクラブの活動の資金源となります。
「観る」を進化させる
スタジアム観戦については、以下のようなデータがあります。
「家族」と一緒に観戦する観戦者が54.3%で最も多く、
次いで「友人」とが31.6%である。
「ひとり」で来場する割合は全体の17.3%である。
※出典「Jリーグ スタジアム観戦者調査2019 サマリーレポート」
https://www.jleague.jp/docs/aboutj/funsurvey-2019.pdf
家族や仲間と来場するにせよ、一人で来場するにせよ、スタジアムには熱量が溢れています。サポーター一丸となってチームを応援する体験は、サッカーならではのカルチャーです。
しかし、アウェイのゲームの場合、サポーターがなかなか足を運びづらかったり、このコロナ禍の状況でスタジアムへの来訪が制限されている状況のなかで、「仲間とともに観る・応援する体験」には課題が多い現状です。
スタジアムアプリでは、この「仲間とともに観る・応援する体験」を、デジタルで実現します。
【サポーティング】
サポーティングでは、自分だけでなくほかのサポーターが誰にどの瞬間にサポーティングしているかが可視化されます。
ゴールシーンでは、ゴールを決めた選手にサポーティングが集まるのは当然ですが、一方でそれをアシストした選手や、ゴールを導くためによい動きをした選手にサポーティングがおくられるのも注目。初心者のサポーターにとっては「この選手も注目なんだ!」というラーニング的な側面もあります。
【ピッチの周りのサポーター】
ピッチの周りには、サポーティングが多いサポーターのアイコンが並び、ほかのサポーターと一緒に応援している体験を味わうことができます。
【コメント機能】
もちろん、サポーター同士でコメントのやりとりをすることもできます。
【グループ作成・ボイスチャット】
そして、次回の大型アップデートではグループ機能が搭載されます。
仲間とともにボイスチャットをしながらサポーティングをしたり、「SAPOFIGU(サポフィグ)」と呼ばれる自分の3Dアバターのコスチュームを変えて個性を表現したり、「サポートアクション」と呼ばれる機能でアバターに動きをつけたりすることが可能になります。
クラブ・サポーターが「自分のアプリ」と思えるアプリを
「スタジアムアプリ」は設計当初、あらゆるクラブをアプリ内で内包するプラットフォーム型にするか、基本機能を共通化した上で、各クラブごとに個別のアプリを展開するソリューション型にするかについての議論がありました。
クラブのカラーやエンブレムは、まさにクラブとサポーターにとっての「シンボル」です。
参画クラブとの会話を通じて、クラブ担当者の方は、独自のブランディングやアイデンティティを非常に大事にしており、アプリとしてクラブごとの個性をどう表現できるか?が非常に大きなポイントとなることが分かりました。
ソリューション型の場合、アプリ開発としては、参画クラブが増えていくごとにアプリ数が増えていき、開発や管理・運営のコストが増えていくことになりますが、それを差し置いても、クラブの皆さんに「自分たちのアプリとして運用してもらうこと」「サポーターのみなさんに、自分にとってのアプリと思ってもらうこと」を最優先に、結果的には、後者のソリューション型を選択しました。
アプリのアイコンはもちろん、アプリ全体のテーマカラー、フォント、サポートグッズ、アバターのコスチュームなど、あらゆる部分でクラブの独自のブランディングができるようなプロダクトになっています。
より具体的な開発の工夫は、別のメンバーが記事化しますので、お楽しみに!
マッチデーだけじゃないUX
これまで、「スタジアムアプリ」の機能や思想についてお話させていただきました。しかし、クラブとサポーターの接点は、なにも試合当日だけではありません。
サポーターはクラブの一員として、毎日のニュース、SNSなどの情報に触れたり、ECでグッズを購入したり、リアルイベントに参加するなど、ゲーム日以外にもサポーターとしての活動を行っています。
Stadium Experimentでは、今後、サポーターがより継続的にクラブを応援できる世界をつくっていきます。
その第一弾として、クラブごとの「ヴァーチャルスタジアム空間」をサポーターが自由に歩きながらイベントを楽しんだり、ほかのサポーターとコミュニケーションができる仮想空間、いわゆる「メタバース」の構築にとりかかっています。
Stadium Experimentでは、そんな世界を一緒につくっていけるスターティングメンバーを募集しています。
この記事を読んで「ワクワク」を感じたサッカーを愛する皆さん、ぜひ一緒にこの「実験」を通じて、サッカーを進化させていきませんか?
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