これまでSAMANSAメンバーについてその生い立ちや経歴をお伝えしてきましたが、今回はSAMANSAの創業の経緯、SAMANSAが目指すこれからの映画業界とはどういうものなのか、代表の岩永さんにお聞きしました!
ーSAMANSA創業の経緯について教えてください!
映画クリエイターはショート映画(10-15分の映画を指す)を製作してもそこから金銭的なリターンをほとんど得られません。私たちはこれを大きな課題と捉えており、「ショート映画の製作でも収益を得られる、継続性のあるシステムや環境を作りたい」と考えたのが1番のきっかけでした。
また、その一方で、当時映画を学ぶためにアメリカに留学していたのですが、一時帰国して日本の若手映画監督の人達と交流をする中で、「国内では金銭的に限界があって、良い映画を作ることができない」という声が多かったんです。
日本の映画製作はアメリカに比べて市場が閉鎖的で、国内で完結していることが多い。それが彼らの抱える不満の原因だと感じました。その状況を打破するために、世界を市場とした新しい映画サービスをおこし、日本・アジアの製作環境そのものから変えていこうと一念発起して今に至ります。
ーそもそもクリエイターはなぜショートで金銭的なリターンを得られないのですか?
映画は劇場公開から得られる収益が中心であり、ショート映画はそれが叶いません。かなり昔から「映画は一律料金、2時間で1回転」というフォーマットが決まっていました。
最近だと、クリエイター自身がショート作品をYouTubeに投稿したりしていますが、それは配信・公開する場が他にないからであり、1人でも多くの方に観てもらいたいという想いから載せています。
しかし、いくらYoutubeでバズったとしても製作費以上の収益を上げてプラスになるようなことはまずありません。これは継続性という意味で、大きな課題だと思います。
ー現在SAMANSAは日本だけでなく、韓国、タイにまで展開していますが、日本やアジアでサービスを行う理由は何ですか?
スキマ時間にサクッと映画を観る、というスタイルが、忙しい日本人の習慣にフィットするのではないか、と考えました。それは他のアジアの国でも同じだろうと。また、ショート作品は有象無象あり、またとっつきにくい、ニッチなジャンルでこれまでなかなか一般の方に馴染みがなかったかと思います。そんな中でSAMANSAがエンタメ寄りのわかりやすい、面白いものを中心に厳選して配信していくことで、広く多くの方に観てもらえる余地が十二分にあるのではないかと思いました。
先月(2023年8月)から“SAMANSA Movie Night“と称して、SAMANSA公式YouTubeチャンネルにて人気作品をライブ配信するイベントを始めました。もとよりSAMANSAユーザーの方にとってはリアルタイムのコメント欄機能で、いつもとは違う映画の楽しみ方ができて面白いと感じてもらえたようです。一方でたまたまライブ配信を観て初めてショート映画を知りSAMANSAに入会された方もいらっしゃいました。
こういったイベントを通して、SAMANSAというサービスを少しでも広く知っていただける機会になればうれしいです。
“SAMANSA Movie Night”にて上映された『メン・オブ・ビジョン』
24年以降は国内も含めてオリジナル製作を本格的に進めていく予定で、グローバル展開で得た収益を各国のクリエイターとの共同製作に充てていきます。
こういった取り組みから始めて、先ほど言った「日本ではいい作品が作れない」という問題を改善していきたいですね。
また現在様々な問題が叫ばれている日本において、SAMANSAが世界を代表するサービスとなり、日本の人たちにとって希望となるような存在になれたらすごく嬉しいです。一人でも多くの方が前向きになるきっかけになれたらと思っています。
ーSAMANSAはクリエイターの活動を支援していると公言していますが、具体的にどう言った形で還元されるんですか?
クリエイターや作品ごとに契約内容が多少異なる部分はありますが、現在、収益のほぼ半分をクリエイターに還元しています。
まだサービスとして成長の途中なので、実際にクリエイターに還元できる金額は少ないですが、今後アジアでショート映画を日常的に観るカルチャーが形成されていけば、十分に還元できるようになると考えています。
さらに、SAMANSA出資のオリジナル製作で世界中のクリエイターと共に新たな面白い作品を作っていきたいですね。
ー実際にクリエイターの反応はいかがですか?
ポジティブな意見を非常に多くもらっています。
欧米で製作する彼らには、そもそもアジアの人たちに作品を観てもらえる機会がないんです。だから「アジアの人々に観てもらえるだけでも価値がある」と言ってくれるクリエイターが本当に多いです。
また、収益還元をきちんと行っている、という意味でも驚かれています。
残念なことに、類似サービスから声がかかることが多くあっても、ほとんどは収益還元などもなく、報告もないまま終わってしまう、ということが通常のようです。
SAMANSAが考える、「クリエイターがショート映画を生業とできる環境を作りたい」という声にも世界中のクリエイターから多くの共感をいただいていています。そういう声を聞くたびにより一層SAMANSAを大きくしていきたいいという意欲が湧いてきます。
ーユーザーの方に対してはどのようなアプローチをしていますか?
毎日新作を公開しているのに加え、作品によって解説をお届けしています!
ショート映画はサクッと楽しめるからこそ深く考えさせられたり、撮影の裏側まで楽しめるので、クリエイターのためにも作品の魅力を余すことなく届けられるよう努めています。
それからイベントの開催もオンライン、オフライン問わず積極的に行なっています。先ほどふれた“SAMANSA Movie Night”はオンラインのイベントでしたが、先日(2023年8月)には“Sippin‘ Short”というショート映画×カクテルをコンセプトにしたオフラインイベントも開催しました。
イベント中の様子…上映する映画にまつわるクイズや解説も行い、来場者の方と交流を行いました。
機能面としても、ご要望の多かったAndroid版アプリをリリースしたり(2023年6月)、英語字幕の導入(2023年9月より)など積極的に改善に取り組んでいます。
現在はApple TVやGoogle TVなどのテレビ対応に向けて開発したり、新しい機能の追加についても検討しています。
今後は更なるサービスの向上とユーザーの方限定のイベントや特典もどんどん用意していく予定です!
ーSAMANSAが今後目指す先は?
ショート映画も長編映画と同様に面白いものだ、という認知、文化形成をしていきたいです。
具体的にいうと、巷で今年1番面白かった映画は?という話題になった時にその答えがショート映画のタイトルであるような世界。
さらに、「ショート映画と言えば、SAMANSA」という確固たる地位をグローバル規模で作っていきたいです。
そのためには何よりもまず、「面白い映画を作る、配信する」ということが最重要です。
クリエイターの創造性を尊重しながら、ビジネスとしてもきちんと成立させていく。
ユーザーの皆さんの心の奥底に届き、震わせ、一度観たら忘れられない、そんな作品作りをしていきます。
SAMANSAのロゴである「Saマーク」
ー最後にこの記事を読まれている方へ向けて、SAMANSAでみてほしい作品3選を教えてください!
3作品に絞るのが難しいですが…
・『ザ・カメラマン』(ヒューマンドラマ/Conner Gaston監督)
・『フィーリング・スルー』(ヒューマンドラマ/Doug Roland監督)
・『サイファー』(シリアス/Lawrence Le Lam監督)
はどうでしょう。
※ タイトルをクリックしていただくと作品の予告がご覧いただけます!
でも『サンドウィッチ』(ホラー/Jasper Hoor監督)もショートらしい愛らしさがあって最高です(笑)
ぜひ良質でウィットに富んだ多くの作品をSAMANSAでご覧ください!!
左から『ザ・カメラマン』、『フィーリング・スルー』、『サイファー』、『サンドウィッチ』
ーありがとうございました!
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ショートフィルム配信サービス「SAMANSA」https://lp.samansa.com
SAMANSA, Inc コーポレートサイトhttps://www.aboutsamansa.com