皆さんこんにちは。アンティル経営企画の谷口です。
今回は、連載「AIでPRはどう変わる?」の第2回目です。
さっそくですが、記事を読んでくださっている皆さんは、今話題のChatGPTをご存知ですか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ChatGPT(チャットジーピーティ)とは…
生成AIの一種で、アメリカのOpenAI社が開発した、Web上の大量のデータを学習しているチャットボット。 「広報の役割は何ですか」「PRとは何かを教えてください」など、聞きたいことを送ると、その内容に適した回答をAIがチャット形式で返してくれます。このようなテキストベースのやり取りを、人間のように自然な文章で行えることがChatGPTの大きな特徴です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
便利なツールのようですが、何がそんなに話題なのかは少しわかりにくいですよね。
そこで今回は、ChatGPTの登場により、世界に、またPR業界にどんな変化が訪れるのかを、
アンティル 取締役の久井、経営企画本部長の中野にインタビューしてきました!
(※取材日:2023/4/10)
プロフィール
写真右:久井 直人
株式会社アンティル 取締役
大学卒業後、ベクトルに入社。アンティルにてPR業務に従事した後、ベクトルチャイナに転籍し、中国へ駐在。帰国後コミュニケーション活動全般のプランニング及び実施マネジメントに従事する一方、リスクコミュニケーションサポート、経営層等へ向けたメディアトレーニング、大学・企業等でのPR・コミュニケーションに関する講演・講義なども行う。2020年にアンティル取締役に就任。
写真左:中野 晋太郎
株式会社アンティル 経営企画本部 本部長 兼 AI業務推進室 室長
大手自動車部品メーカーを経て2011年にベクトル入社。公益財団法人、家電メーカー、食品メーカー、外資系製薬会社、化粧品会社、飲食店、投資ファンド、コンサルティング企業、IT企業、多岐にわたるクライアントのコーポレートPRを手掛ける。その後人事・組織開発分野へのキャリアチェンジを決意。2020年にアンティルで人事・組織開発室を設立し、2023年4月にAI業務推進室を立ち上げる。
コミュニケーションの性質が変わるパラダイムシフト
ーまずは久井さんにお伺いします。
ChatGPTの登場により、コミュニケーションは、そしてPR業界はどのように変わるのでしょう?
久井:ChatGPTの登場は、コミュニケーション自体のパラダイムシフトになる可能性を秘めています。
コミュニケーションは、「コンテンツ」(何を)×「メディア」(どこで発信するのか)で成り立っています。これまで、「メディア」は数多くの発明があり、パラダイムシフトを経ていますが、「コンテンツ」での大きな変化は起こってきませんでした。
「メディア」のパラダイムシフトとしては、古くは文字の発明、次に紙、そして印刷技術などが挙げられます。たとえばキリスト教や仏教、イスラム教が世界宗教になったのは、紙と印刷技術抜きには語れません。近現代になってのパラダイムシフトは2つ、電信技術とインターネット。電信メディアの代表格がラジオです。新聞も先程お話した紙と印刷技術に、この電信技術が加わり誕生しました。ラジオと新聞、今でも4マスと呼ばれる強力なマスメディアの登場です。そして電信技術に映像技術を加わえたものがテレビ。現代にもつながるこの辺りのメディアにより情報伝達の質も量も飛躍的に向上しました。戦争時におけるプロパガンダもこうしたマスメディアに依るところがとても大きい。そして直近で最大のインパクト、パラダイムシフトは何と言ってもインターネットです。その後、スマートフォンも登場し、インターネットが手軽に利用できるようになり、SNSなどのソーシャルメディアが広まりました。
このように、「メディア」ではいくつかの大きなパラダイムシフトが起こってきました。しかし、コミュニケーションのもう一つの構成要素である「コンテンツ」は、常に人の頭で考えられ、創られてきました。その「コンテンツ」にパラダイムシフトを起こす可能性があるのが、ChatGPTだと考えています。
ー今伺った「メディア」の変遷は、それぞれ産業革命レベルの変化だと思いますが、
そのくらい大きな変化が「コンテンツ」制作の中で起こるのですか?
久井:インターネットがある時代とない時代、そのくらいChatGPTの誕生前後で変化が生まれると思います。現在だと当たり前ですが、情報を広めるには、「メディア」としてインターネットがある前提で考えています。そこで流す情報「コンテンツ」は、人間がすべて考えていますよね。それが、これからはChatGPTがある前提で「コンテンツ」制作をする時代になります。ChatGPTは大げさでもなく、人の頭の使い方にも影響を及ぼすと思います。
ーChatGPTやAIの活用が当たり前のもの、つまりは生活の一部になる可能性もあるのですね。
久井:そうですね。そして、もう1つのポイントは変化のスピードです。
先ほどの話の例で言うと、人類には数万年間は声、口頭伝承しか情報伝達手段がありませんでした。紀元前4000〜紀元前2000年くらいに各地で文字が生まれ、そこから約2000年後にでやっと紙が登場。紙の発明から1300年くらいで印刷技術が出てきています。ところがインターネットの誕生・普及からほんの30年ほどで、人類が体験したことのないくらい大きな変化が起こっています。そして、これからもっと変化のスピードがあがる可能性もありますし、現代を生きるほとんどの人は、これらの変化にまだ頭が追いついていない状況だと思います。
”仕事ができる人”の基準が変わる
ーここから中野さんもお話に加わっていただきます!
スピードの早さというお話も出てきました。何か実感していることはありますか?
中野:コミュニケーション業界ではAIは大きな話題ですが、業界の外に出るとまだ扱ったことがない人も、概要を知らないという人もまだ多いように思います。僕自身は日々変化を感じていて、新しいサービスが次々リリースされ、そのサービスを業務に取り入れようとしたら、次の週にはまた進化したサービスが発表されている状況で、キャッチアップが非常に大変だなと感じています。久井さんはこれからPR会社が取り組むべきことは何だと思いますか?
久井:私たちのようなコミュニケーションのビジネスを行っている人は、これらの技術を無視せず、上手に使いこなすことが必要です。ベクトルグループの行動指針である”vector’s rock”に「アクション」という項目があります。とにかくスピーディに行動することがフィロソフィーの1つなんです。この20年ほどの中で色んな変化が起きました。インターネット、ノートPC、スマートフォン、ブログ、ソーシャルメディアなどの台頭です。その変化に対しても、必要とされる主要なアプローチはすべて当たり前のように行ってきました。世のトレンドが変化するなら、そのトレンドを発信する企業としては必ず何らかのアクションを取るべきだと思っています。
中野:変化と言えば、検索の仕方がそもそも変わりますよね。仕事ができる人の定義も変わっていく気がします。インターネットが普及して以降、ウェブ検索をうまく活用できる人が情報を多く掴んでいました。そのようなイメージで、今後はChatGPTへの質問の仕方がうまい人、うまくAIの能力を引き出せる人が、仕事ができる人と言われる時代が来るかもしれないです。
久井:そもそも教育方法から変えないといけないですよね。AI検索をする世界では、たとえば英語学習なども必要性が薄れてくるかもしれないです。嘘を見抜けるかがわからないので、そのあたりの取り扱いはもちろん難しいと思います。人間の能力の差は埋まる可能性もあれば、「判断できるか否か」の能力次第で差が広がる可能性もありますよね。
中野:どこまでダイナミックな変化が起きるか、あくまで想像の域を出ないですが、少なくとも組織の中では社員教育や、採用で求められる人の資質や能力が変わってきますよね。これまであった仕事の一部はAIができてしまうと思うので、これから社会人になる人、仕事を始める人たちがどのように仕事を覚え、能力を身につけていくのかを考えねばならない。
久井:社会環境が変われば「優秀」とされる基準自体も変わってくる。そして環境の変化が早い現代、そこに適応できる能力が重要になりますね。
中野:そうですね。採用する側も、入社する側も、その点を考える必要があると思います!
久井さん、中野さん、ありがとうございました!
最後に少し話題に登った、「採用における変化」や「企業を判断する基準」は、きっとWantedly読者の方も気になるポイントですよね!次回連載3回目は、「人事制度や求められる人材はどう変わるのか?」を、もう少し掘り下げて記事を配信予定です。
対談した2名のSNSでも、PR業界の気になるニュースを発信しているのでぜひご覧ください。
久井直人 @ PR | 広報
https://twitter.com/hidarihiji
Shintaro Nakano@PR・SE・AI・アンティル人事
https://twitter.com/antilsaiyo
変化が早く、対応すべきことも多いと思いますが、
一緒に時代を切り開いていきたい!という方のご応募お待ちしています。