竹中平蔵氏に「働き方」をきく......「フラット」と「スパイキー」 | RBB TODAY
企業向けソーシャルネットワーキングをサポートするBeat Communicationの村井亮代表取締役は、慶応義塾大学総合政策学部の竹中平蔵教授に「ビジネス環境と我々の働き方の変化」についてインタビューを行ない、17日にサイト「Connect Blog」で公開した。
https://www.rbbtoday.com/article/2014/12/25/126865.html
「スパイキー」が合言葉のプロジェクトがある。
オイルの商品開発プロジェクトで、植物油の製造会社がオリジナルブランドの商品を出すことになり、そのサポートをさせていただいている。
もともとBtoBで事業を展開する会社である。
社長をはじめ、みなさんとても真面目で勤勉、研究熱心で植物油のプロフェッショナル。品質の高い油を顧客の要望に合わせて小ロットからでも生産できてしまう。もちろん業界内では高い評価があり、事業もうまくいっているようだ。
これまでブランディング活動のようなことはしてこなかった。それをしなくともビジネスは回っていたから必要としなかったのだろう。
だが、予測不能時代といわれるこれからを見据えて、NB商品を本格的に売り出すことにしたのだ。
オイルの種類はたくさんある。オリーブオイル、えごま油、アボカドオイル、マカデミアナッツオイル、、、まずどこから手をつけるべきか、から考えなくてはならない。
僕たちは市場分析を読み解いて、それぞれのオイルの戦い方や商品コンセプトを提案し、議論を続け、いくつかの商品がカタチになってきた。
このプロジェクトを進める中で、おもしろいと思ったのは、社員の皆さんに「自分たちらしい商品をつくって販売するんだ!」という意思がどんどん現れてきたことだ。もちろん、最初から思っていたのかもしれないが、プロジェクトを進める中でそれがぐっと現れた。それを見える化したいと思った。
議論の最中、何度か出ていた言葉が「スパイキー」だった。社長がプロジェクトメンバーにスパイキーに行こうと言っていたのだ。
私たちはこの言葉を合言葉にしましょうと提案し、プロジェクトの中心に「スパイキー」というキーワードが生まれた。
スパイキーは『フラット化する世界』という書物が流行った頃に竹中平蔵さんがフラットの逆を意味する言葉として使っていたのだという。
スパイキー=とんがっている様
竹中氏はスパイキーの例として、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツ、孫正義らを挙げた。フラットな世界の対極にいるクリエイティブな人々が付加価値の高い経済活動をすることを意味していたようだ。
「彼らのような人が出てくれば、それを支える仕事が生まれる。とんがっている人々がどんどん生まれる社会を築かなければならない」
と竹中氏は言った。
これは「変人」を大切にして成功した福岡市の発想とも共通する。
福岡市は2017年に野村総研の「成長可能性都市ランキング」第1位に輝いた世界的に評価された都市である。人口の増加率は東京を抜いて全国1位。神戸市を抜いて抜いて日本五大都市の一つに仲間入りした。
『福岡市が地方最強の年になった理由』という本の中で、成功した理由の一つに変人を大切にすることが挙げられている。
変人とは聞こえが悪いが、常識破りな発想で既存のサービスに変化をもたらすクリエイティブ人材が活躍できる場を福岡市は用意したのだ。そうすることにより、成長スピードが高まり、いまも成長を続ける都市になっているのだという。
オイルに話を戻そう。
そもそも新商品開発のメンバーはスパイキーな人たちで構成されていた。基本的にとても真面目だが、情熱的でクリエイティブなメンバーである。
だが、プロジェクトを進める中で、いろいろな要件を満たそうとしてしまうと発想は丸くなっていく。
その時に、立ち返る言葉として「スパイキー」がとても有効に働いた。
外から見ると、BtoBの会社とスパイキーという言葉は一致しにくいのかもしれない。ジョブズを引き合いに出されても・・・と捉えてしまいそうだが、イーロン・マスクもダイソンもジョブズだって専門知識を武器にしたTECH人間である。
彼らのような存在は高い専門知識や技術力を持った会社にこそ、スパイキーな人材が潜んでいる可能性は高いともいえるのだ。
スパイキーに行こう!
この言葉は私たちらしさを呼び戻してくれる言葉であり、困難なプロジェクトを進める中で勇気を与えてくれる。そして、何より、植物油というどちらかといえば保守的な業界の中に変化をもたらす商品を投入する意志の表れとなるのだ。
あぁ、商品が店頭に並ぶのが待ち遠しい。