2008年より、兵庫県淡路島でパソナグループが地方創生に挑戦しているという話。
「淡路島に、最近色んな施設が立ってるらしいよ」
「パソナが、淡路島に本社を移転したらしいよ」
私の周囲でも、そのような話をちょくちょく聞いていたのですが、実際に足を運んだことはありませんでした。それよりも、
「そもそも、なんで淡路島なの?」
「なんで人材事業を行うパソナが地方創生を?」
と、はてなマークがいっぱいのまま、解明されずにきたここ数年。
そんな中、仲良くさせて頂いている、株式会社ライフキャリア総研の城梨沙社長にお誘い頂き、株式会社bacterico菅沼名津季さんと共に、淡路島にあるパソナの施設を体感する機会を頂きました。
冒頭の色々な謎が解明されていった面白い体験、今日はその一部をご紹介できればと思います。
パソナと、淡路島。
今回はわざわざ、パソナグループのシニアマネージャーの玉井 龍馬(たまい りゅうま)さんが、私達3人のためにツアーを組んでくださり、半日かけて島の施設やレストランを案内して下さいました。
玉井さんのフェイスブックより拝借しました
玉井さんの肩書は、成長戦略本部兼、メタバース本部事務局長兼、シニアマネージャー…
めっちゃすごい…めっちゃ仕事できるんだろうな…という第一印象、実際にめちゃくちゃ仕事ができる方でした。
これまでに、営業、人事、様々な部署での経験を経て、現在は淡路島での新規事業開発に関わり、連日多くの企業と協業の可能性を模索し、淡路島での面白いイベントを企画して運営されています。
今回玉井さんに、色々と丁寧にご説明して頂きながら、地域資源を活かしたレストラン、禅房、パソナの淡路島オフィスなどを案内して頂いて分かったこと。それは、
「世の中に無い新しいものが、毎日のように生まれる壮大なラボ島、それが淡路島」
ということでした。
レストランやホテルといった、単体の施設をどう運営するか…ではなく、淡路島にある地域資源と、パソナが開発している施設を活かして、新たな発想で、世の中に無い新しいものを生み出していく。
観光事業の発展、新規事業開発、雇用創出により、どんどん人が淡路島に集まれば、新たなものが淡路島から生まれる動きが加速し、淡路島が、日本の新たな拠点になっていく。
淡路島は、そんな未来へのワクワク感と大きな可能性を秘めた特別な場所なのだということを、実感しました。
あえて事業計画を固めない
多額の資金や人を投入して行われている、淡路島の地方創生。
普通なら「何年後に売上◯円。そのためにどのような企画を、何本実施して…」と、事業計画をしっかり固めて逆算して進めるイメージを持ちますが、パソナグループの考え方は少し違う様子。
「そんなにガチガチにしてしまったら、新たな発想や今までにない面白いものは生まれない。自由で新たな発想を生み出すためには、ある程度余白を残しておくことが重要。だからあえて、事業計画は固めすぎない」
と。
面白そうな企画があれば、もちろん採算は考えた上で「まずはやってみよう」と挑戦してみる。やっていくうちに、きっとまた新たな発想や事業の可能性が生まれていく。
淡路島にパソナが開設した施設の中には、巨大なキティちゃんのレストラン、巨大なゴジラ、農業体験が出来る場所、サスティナブルが学べる施設、起業支援のイベントやワークショップができる施設、禅房など…
単体で見ると、そこに繋がりは無いように見えるけれども、だからこそ色んなものが入ってくる余地ができる。
色んなものが入ってくることで、そこにシナジーが生まれて今までにないものが生まれる。
まるでこの島全体が、壮大な「ラボ」のような、大学のような…そんな空間なのだと感じました。
東京に無いものを創る
淡路島開発の合言葉は、「東京に無いものを創る」だそう。
「東京で体感できるものを創っても、意味がない。ここ、淡路島でなければ体感できないものを創るのだ」と。
そう簡単に言っても、実際にそれを実現していくのはすごく難しいですよね。
東京には全てが揃っていて、あらゆるものが飽和していて、逆に不足しているものなんて無いように思える。
そんな東京で体感できないものとは…
その一つが「淡路島の大自然を活かした取り組み」。
例えば「禅房靖寧」。大自然の中、東経135度(日本標準時の基準となる子午線)の地で心身のバランスを整えることができる施設。
この日はあいにくお休みで、中には入れませんでしたが、この施設はとにかく圧巻でした。
建物を山の稜線よりも低い位置に立てることで、建物が自然と一体になり、まるで自然の一部の中で禅をしている体験ができると。
ここは、建築開催光栄誉といわれる「プリツカー賞」を受賞した、坂茂氏の設計によって作られ、建築物としても超一流。
ここで体と心のバランスを整え、自分の内面と向き合っていく。
都会のビルの会議室では決して生まれない発想やアイデアが、ここではどんどん溢れてくる。
理屈ではなく、自然と体が喜び、感性が刺激される。
禅房靖寧だけではなく、そのような施設がここ淡路島にはたくさん開設されているのでした。
新規事業のアイデアやネタが生まれる
東京にはない自由な発想が生まれる場所だからこそ、新規事業に取り組みやすい。それがここ淡路島。
この日は地産地消の料理を提供するサステナブルなレストラン「陽・燦燦」につれていって頂きましたが、レストランは一面畑に囲まれていて、作物や土の勉強も体験できるようになっています。
個人的にはここに置かれていた、黒板がすごく気に入りました。
ぜひ、ここで勉強したい(笑)
時間がゆっくり流れていて、風が気持ちよくて「ここでぼーっとしながら、夕暮れになるまでいれたらいいね〜」なんて話をしながら、日頃いかに自分たちが、時間に追われ、左脳ばかりを使っていたかを思い知らされました。
大小問わず色々な企画が生まれる背景にあるのは「スピード感」。
パソナは大きな組織ですが、何度も稟議を通して進めていくやり方では意思決定のスピードが遅くなってしまうので、アイデア出しあって「それ、いいね!」となれば、まずはやってみよう!いうフットワークの軽さを大切にされているそうです。
現在、スタートアップとの協業の話が増えているのも、このスピード感あってこそなのですね。
素材本来の美味しさに気づく
やはり人間にとって「食べる」ことはものすごく大切。
「美味しいものを食べることができる」ということだけでも、その場所に行く大きな理由になりえます。
そういった意味で、この淡路島には地元の素材を活かしたレストランがたくさん建てられていて、また何度も足を運びたくなりました。
今回私達が連れて行って頂いたレストラン「陽・燦燦」。
ここでお野菜、パン、お肉など堪能させて頂きましたが、驚いたのが、野菜の味がすごく濃かったこと。
何も味付けしなくても、そのまま食べるだけで、お腹が膨れて大満足になる味でした。
また、今回私が食べさせてもらった豚肉(ロースだったか…)が、めちゃくちゃ柔らかくてジューシーで、「どうやったらこんな柔らかく調理できるんだろう…家でもこんなのが食べられるといいけど、絶対再現できないなぁ…」と思いながら、ぺろりと平らげました。
普段、味つけの濃いものに慣れてしまっていたり、ついついジャンクフードに手を出してしまう私ですが、素材の良いものを食べれば、人はそれで十分に満足ができる。
最近お菓子やカップ麺大好きっ子なわが家の子どもたちも、ぜひこのレストランの料理を、食べさせてあげたいなぁと思いました。
こうしたことも、東京や都会ではなかなか味わえない醍醐味ですね。
日本発祥の地、淡路島。
これはほんの一部ですが、一回の訪問では味わい尽くすことはできなくて、何度も足を運ぶうちに、その全容が体感として分かってくるのが淡路島なのだと思いました。
私は幸い兵庫県在住で、淡路島へも1時間ほどで行ける距離にあるので「子どもたちを公園につれていく」「買い物に行く」という選択肢に加えて新たに「淡路島行ってみる」というのを一個付け加えてもいいなぁと、そんな風に思いました。
また、この文章を書きながら思い出したことがありました。それは、
「淡路島は、古事記・日本書紀によると日本発祥の地である」ということ。
天地創造の神話の中で最初に誕生する“特別な島”が淡路島。
これからの日本は、人口が減り、食料自給率も低く、輸入にどんどん頼らなければならなくなる。そんな日本が今後生き残る上で、大切なもの、100年後の日本が生き残るための鍵となるのが、淡路島。
なんだか「日本発祥の地」と「パソナの淡路島地方創生」が偶然と思えないような…とても不思議な感覚になりました。
とにもかくにも、本当に楽しく面白く貴重な体験ができたことに感謝。
玉井さん、城さん、菅沼さん、この度は本当に有難うございました!