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対処から本質へ~生きがい開花の介護を提供する「木の恵」山下優奈代表インタビュー(後編)

公務員保育士から婚活事業での起業を経て

現在は介護施設を運営するという異色の経歴をもつ、

デイサービス施設「木の恵(このえ)」代表の山下優奈(ゆうな)さん。


           (こんにちは!木の恵の山下優奈です!)


インタビューの前編では、異色の経歴を歩むことになった経緯と、

介護の場で必要なのは「本質のケア」と「スタッフ自身が豊かであること」

というお話を、具体的な取組内容とともにご紹介いただきました。

(前編はこちらからお読みください)


今回は、木の恵を引き継いでから乗り越えた葛藤や、これから目指すことについてお話を伺いました。



今まで経験してきたことはすべて繋がっていた


━━お母さんから「木の恵(このえ)」の運営を引き継がれた山下さんですが、

  引き継いでみて印象的だったことはありますか?

母が亡くなったことで木の恵を引き継いで、

まず感じたのが

アナログなものがとにかく多く、

オンラインを全然活用していないことに驚きました。

           (オンラインがほとんど無くてびっくりしました!)


例えば、各店舗の店長に連絡を取る時は、

毎回電話を活用していたり、

社員研修も一人ひとりオフラインで対応していました。


そこで、スタッフの負担を減らして、

ご利用者さまと向き合う時間を増やすためにも、


オンラインの連絡ツールを導入して共有事項の抜け漏れを無くしたり、

社員研修もオンラインを活用して時間短縮をはかっていきました。


直接的なコミュニケーションが必要な大事なところは残しつつ

効率良くするために少しずつオンラインを活用するようにしました。



他にも引き継いでみて驚いたのは、

婚活事業の前に勤めていた保育園の仕事も、

今の介護の仕事と組織構造やマネジメントがほぼ同じだったことでした。


組織にどういうバランスで人を配置したら運営が上手く回るかが

分かることが多かったです。

それが印象深かった出来事ですね…!



母から木の恵を引き継いだとき、

母からの引継ぎはほとんど無かったのですが

もしも今まで公務員保育士や婚活事業の経験がなかったら、

こんなにスムーズには引き継ぎできなかったと思います。


また、保育士として勤めていたときも感じたことですが、

介護業界って、専門的な分野だからだと思うのですが、

他の業種との関わりが薄くなりがちです。


その点、婚活事業では

さまざまな分野の方と関わる機会があったり

お客様も色んな業種の方がいたので、

起業したことで視野がとても広がりました。


      (たくさんの受講者さんのおかげで、私も視野が広がりました!)


デジタル化のほかにも、

婚活事業で視野が広がったことが

施設の食事や水、

空間のこだわりなどに活かされてます。


前回お話しした、

ご利用者さまの主体性を引き出し、

ご利用者さま同士がお互いに個性を開花しあう

「生きがい開花の介護」も、

かつての保育士や婚活事業の経験から

学んだことがあってこそ。


自分が今まで経験してきたことは

すべて繋がっているんだと思えたのが

印象深かったですね。

 


あとはやはり、介護は国が主導で行っている業種なので、

法律は常に勉強し続けないといけなくて。

 

時流というか、

ご利用者さまがそのとき求められていることを把握しつつ、

 国の方針も追いかける、

その両方が必要だと日々感じています。


 


母の想いを残しつつ自分の理想を描くことの難しさ…

 

━━木の恵を引き継いで感じた障害や葛藤のようなものがあれば教えてください


そうですね…

介護という業種に携わることが初めてだったので、

やはり何をどうしたらいいのか戸惑いましたね。


自分で施設を立ち上げたのではなくて、

母が突然亡くなり急遽引き継ぐことになったので、

正直に言ってしまうと、当初は

「これで合ってるかな…?」

と自信がないところがありました。


なぜなら、

スタッフは介護や医療の資格を持ったプロですよね。


例えば介護福祉士の資格は、国家資格です。


志をもって勉強して、国家資格もとって、

「福祉をやりたい!」

という気持ちで誇りをもって仕事をしています。


それに対して、私は資格も経験もない。


一日も早くご利用者さまやスタッフの役に立てるようになろうと

一生懸命勉強したり、現場にも積極的に立ったりしました。

       (ご利用者さまと一緒の活動は、学ぶことがいっぱいです!)


今でもそれは続けてますが、

引き継いだ当初は、

これって、こういう対応で合ってるのかな…?

といった不安はなかなか拭えなかったです。


婚活事業では、

私がセミナーをしたりSNSを書いたりすることで

お客様がついてきてくれました。


 ですが、木の恵を運営するというのは

今までとは正反対。裏方がほとんど。

 

自分の立ち位置が上手く掴めなかったのと、

介護業界は初めてということで、

代表として、スタッフに強く言えないところがありました。


あるスタッフのご利用者さまへの接し方で

気になるところがあっても、

(でも、介護のセオリーとしては

 スタッフのほうが正しいのかもしれない…)

(未経験の私が伝えても聞き入れてもらえないんじゃないか…)

などと思うこともありました。


でも、木の恵の運営の合間を縫って、

婚活事業のときからお世話になっている

社長さんのお話を聞きに行ったり、

起業仲間と交流することで気付きました。


このまま私がスタッフに何も言わなかったら、

理念を叶えることは一生できないということに。


「生きがいが開花する」という理念を叶えるためには、

経験・未経験という枠を超えて、

言うべきときにはきちんと言うべきだと思い直して、

勇気をもって伝えていきました。


未だに「うっ…」と言葉が詰まることもありますが、

経営者とスタッフという役割はあっても

私たちは同じ理想をもつ仲間なので、

仲間を信じて、言いにくいこともちゃんと伝えようと、

現在進行形でがんばっています。



あと、壁として感じたのは、

「木の恵をもっと良くしたい」

という理想と、

それが現実に反映されるまでに

どうしても時間がかかってしまうこと。


なかなか難しいですよね。


婚活事業を行っていたときには

自分で自由に決められました。


でも、こうしてスタッフと一緒に施設を運営するようになって、

「やりたい」って思ったことを受け入れてもらうには

スタッフに丁寧に説明していく必要があるなあと感じます。


例えば、木の恵のスタッフルームは、

いるだけで回復する場所を目指して空間を整えています。

           (こだわりのスタッフルームです!)


スタッフルームではスタッフが休憩するのはもちろん、

ミーティングもここで行っています。


職場の雰囲気が明るくなり、

みんなでご利用者さまへ本質のケアをお届けしよう!と

仲間意識が深まるような空間を目指して、


スタッフがほっと落ち着ける照明や音を整え、

空気を浄化する観葉植物を置くなど細部にこだわっています。


掃除ももちろん丁寧に行っています。


これって一見、ムダなことのように見えますよね。


でも、私たちは空間からの情報や雰囲気をキャッチして、

影響を受けています。


例えば、片付いた机とごちゃごちゃした机では

仕事のはかどり方が全然違うように、

散らかった寝室と眠るための環境が整った寝室では

睡眠の質が異なるように、

スタッフが心身共によりリフレッシュするために

環境を整えることは、

ムダなことに見えて実は大切なことです。


このように、

どうしてこういうことを行っているのか、

スタッフにひとつひとつ丁寧に

説明していくことが大事だなと感じています。


それに関連してですが、

母と私の価値観の異なる部分について、

スタッフに丁寧に説明することも大切だなと思いました。


私は多少は値段が上がったとしても、

本当に良いものをご利用者さまに提供したいという考えです。


例えば、ご利用者さまには、

化学調味料や添加物を極力無くした

安心安全で栄養バランスのとれた食事のご提供をしています。


           (安心安全、そしておいしい!にこだわっています!)


元々、母から引き継いだ時の木の恵は、

ーーーーー

一人ひとりに寄り添い

同じ目線で

見ること感じることのできる

「心」

ーーーーー

ーーーーー

自分らしく輝きながら、

生きがいのある日々を過ごしていく

「心身の豊かさ(恵)」

ーーーーー

ーーーーー

想いの通った個性が集まり

広がり循環していく

「場所(森)」

ーーーーー

この3つの基本精神を大切にしていました。

それはもちろん今も変わりません。


母が掲げていた理念は、

「元気になるデイサービス」でしたが、

これを元にしてアップデートさせたのが

「生きがいが開花する介護」です。


母から引き継いでからは、

私の理念である「生きがいが開花する介護」を

スタッフに浸透させていくことが大変でした。 

小さなコミュニケーションを重ねることで理想につながっていく


 ━━未経験から代表に就任したことと、お母さんと価値観が異なる部分を説明することに苦労したのですね。それはどうやって克服していったのですか?


理念をスタッフに浸透させ、

仲間として一緒に歩んでいくことを伝えるために、


木の恵がどういった経緯でできて、

どうして「木の恵」という名前だったのか?


まずはこのことを研修で伝えました。


皆、なぜ「木の恵」ができたのか、知らなかったのです。


「木の恵」は自分らしく輝いた個性を「木」に見立てて、

個性が豊かに広がって循環していってほしいという想いから

名付けました。


そういったことを私自身の言葉で丁寧に語ることで、

スタッフに理解してもらうのとあわせて、

私自身も理念に対する想いをさらに深めていきました。


また、木の恵では食材のほか水にもこだわっているのですが、

浄水器についても、

実際にスタッフに体感してもらってから導入しました。


デイサービスでは食事やお茶、お風呂と、

とにかくたくさんのお水を使います。

        (こだわりのお水で淹れたお茶と一緒に、楽しい活動!)


私たちの身体は、

70%以上が水でできていると言われてますよね。


ですので、大切なご利用者さま、

そしてスタッフが使用する水だからこそ

こだわったものを取り入れたいと考えました。


どこで誰がどんな思いで作った浄水器なのか。

その水を流した先の排水管や海、地球環境はどうなるのか。


そこまで視野を拡げて、「これだ!」と思ったものを採用。


スタッフに試してもらったとき、

「これをご利用者さまに体感してもらったら嬉しいよね!」

という視点で伝えました。


そのほか、

「自分の親や、自分自身が木の恵に通うとしたら?」

「『生きがい開花』という理念に合う空間・雰囲気は?」

など、

自分がご利用者さまの立場だったらどうなのか?

という視点でスタッフに考えてもらい、

レポート作成など実際に言葉にしてもらい、

それをみんなでシェアして。


そして、そこから出たアイデアを

少しずつ、できるところから反映していき、

理想に近づけていきました。


例えば、今までは施設で使っている色はバラバラでした。

統一感がなくて…

黄色とか、ショッキングピンクとか(笑)


「木の恵らしい色って何色だろう?」

ということをみんなで話し合って、

施設のテーマカラーを決めていきました。


イメージキャラクターの「木の恵ちゃん」も

みんなのアイデアで決めて。

        (シンボルマークだけじゃなくて文字にもこだわりました!)


そういう小さなところから

スタッフとコミュニケーションをたくさん重ねていって、

理念を浸透させていった感じです。


私が引き継いだ当初は

母との違いに戸惑っていたスタッフも、


今は「生きがいが開花する介護」を軸に

判断して動いてくれるのでとても助かっていますし、


同じ理念を持つ仲間として

コミュニケーションをもっと重ねていって、

一緒に「木の恵」をより良くしていこうと思ってます。


 

「生きがいを感じられる社会」のひな型となる施設でありたい


 ━━介護未経験の状態から、壁を乗り越えながら理想の介護に向けて歩んできた山下さん。

  最後に、今後の目標について教えてください。


やはり、

表面的な、その場限りの対症的な介護ではなくて、

根本的な問題解決のために心を込めた介護を行っていくことで、


ご利用者さまやそのご家族、そしてスタッフ自身も、

その人本来の魅力が開花して輝かせられたらと思ってます。


そのためには、木の恵の環境を整えることと併せて、

ご利用者さま一人ひとりととことん向き合って、

一人ひとりに合わせた機能訓練や個別の活動を

愚直に行っていきたいです。


どんなにお客様が増えても、ここは守っていきたいです。


そして、少し大きな話になってしまいますが、

ご利用者さまやご家族、スタッフが開花させた魅力が、

地域の方や未来を担う子ども達、

そして介護業界にまでつながり、広がっていき、

「お互いに生きがいを開花し合う社会」を

創り上げていくことができたら…。


私たち木の恵が、

そんな

「生きがいを感じられる社会」

の、ひな型になれたらと思っています。


      (木の恵が「生きがいを感じられる社会」のひな型になれたら嬉しいです!)


「生きがい」って、人によって様々だと思うのです。


信頼できる仲間と出会うことかもしれないし、

安心できる場所を見つけることかもしれないし、

才能が開花することで

新しい趣味や、やりがいができることかもしれない。


それが芽生えていくには、

自分の心の根本的なもの…本質を大事にして、

あたたかみを大切にして、

そして自分自身と向き合っていくことで、


自分の本音に気付いて、

今まで隠れていた「生きがい」が

見えてくるようになるのではと思うんです。


木の恵ではご利用者さま、そしてスタッフが

自分自身の本当の「生きがい」に気付いて

その人本来の魅力で輝けるお手伝いができるよう、

介護の面はもちろん、

食事、水、空間など環境面でのサポートも整えています。


管理栄養士の監修のもと、

化学調味料や添加物を減らした安心安全な素材や

特別栽培のお米を使用し、

愛情をたっぷり込めた手作りご飯。

           (心を込めて手づくりしています!)


身体に入る水はすべて、

浄化と活性の両方を組み合わせた

「飲むだけで浄化され元気になる」

最高級の浄活水システム。


人工的な電磁波カットや空間の浄化など、

神社やパワースポットのように、

その場にいるだけで疲れが癒されて

「生きがい」への活力が湧いてくる空間。


そして、

全員同じではなく一人ひとり異なる活動など、

ご利用者さまの主体性を引き出し、

お互いに個性を開花し合うきっかけづくりとなるような介護。

           (ご利用者さま同士の交流。楽しそうです!)


デイサービスを始め、一般的な介護施設では、

ここまでこだわりをもつことは少ないと思います。


ですが、私たちは

「生きがいが開花する介護」を本気で叶えるため、


そして

ご利用者様やスタッフが輝きだす瞬間を

目の前にできる施設であり続けるため、


日々スタッフとともに

木の恵をブラッシュアップし続けていきたいです!

          (ご利用者さまの輝く笑顔が、私たちの生きがいです!)


━━素敵なお話をありがとうございました。

  今回の記事を読んで、少しでも共感した方は、
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  次回の記事では、株式会社木の恵の代表の山下さんに
  木の恵の理念についてインタビューさせていただきました。

  ぜひこちらからお読みください。



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