■播磨 直希
YOILABO Inc. 代表取締役CEO
新卒で大手ERPベンダーに就職後、スタートアップにメディアの責任者としてジョイン。同社イグジット後、別社のマーケティング責任者を兼任。2019年4月にYOILABOを創業
まず始めに事業内容について教えてください。
「食中専用設計」のノンアルコール飲料の企画・販売です。
食中、つまり食事のときに、料理と一緒に楽しめるように設計されたものを、中価格〜高価格帯のレストランやホテルに向けて販売しています。
具体的には現在「PairingTea」と「DOUXLESS」という2ブランドを展開させています。
「PairingTea(ペアリングティー)」は、ペアリング専用に設計したもので、お茶をベースにハーブやスパイスでアレンジを加え、食材の良さを引き立たせる、またはドリンク自体が引き立つようなドリンクを作っています。
「PairingTea」
「DOUXLESS(ドゥレス)」は、お茶ベースのペアリングティーに対し、果汁をベースにしたペアリングノンアルコールブランドです。
「DOUXLESS」
起業のきっかけを教えてください。
「この事業であれば人生をかけて取り組むことができる。このYOILABOという事業で、この領域に変革を起こしたい」という思いから起業を決意しました。
学生のころから社会に対して何かしらのアクションを起こしたいという思いは持っていて、人生をかけて取り組めるような事業を探していました。ただ、学生の間にはなかなか決意ができずそのままメガベンチャーへ。
ただそこで働く中で、いまいち本気で取り組めない自分に嫌気が差してしまう時期がありました。そのタイミングで当時最も興味のある領域であった釣り×ITの領域に取り組んでいたスタートアップであるウミーベ株式会社に転職。その後ウミーベがイグジットし、自分の中でも一区切りついたタイミングで起業を決意しました。
その中でお酒の領域を選んだのはなぜですか?
またお酒の領域の中でもお酒が飲めない人に対してアプローチしてるのはなぜですか?
繰り返しにはなりますが、お酒の領域であれば自分の人生をかけて取り組めると思ったからです。実はお酒の領域に取り組むと決意する前に、いろいろな事業を思いついてサービスのモックを作ったりしていました。
その中でネックになったのは思いの弱さで「人生をかけて取り組めるか」「全てをかなぐり捨てて取り組めるか」。そう考えたときにどのアイデアに対しても「自分以外の誰かがやればいいや」という気持ちしかわかなかったんです。
そこで「やはりやるなら、お酒の領域だ」と。もともとぼくはお酒がすごく好きで、気がつけば家中がお酒の瓶だらけになるくらい好きなんです。
ではなぜお酒の飲めない人に対してアプローチを行っているかというと、この領域で一番課題を抱えているのがお酒を飲めない人だからです。これは実際に多くの方にヒアリングしてたどり着いたペインで、お酒の領域にフォーカスするまではこんな思いをされている方がいるとは全く知りませんでした。
例えば、
・飲まないことで変な気を遣われる
・飲むことを強要される
そして、場や状況に不満を抱えている人
・ノンアル飲料の品揃えが少ない
・安いソフトドリンクだけで飲んだ人と同額を払わされる
など。飲める人と飲めない人に対する待遇に不均衡があることで、お互いに気を遣わなければならなくなっているのが今の状況。
弊社がやりたいことは、この両者間の橋渡し。コミュニケーションのハブになることです。
飲みたい人は飲めばいいし、飲みたくない人は飲まなければいい。そんな当たり前のことができてない、今のアルコールをとりまく異常な状況を変えたいと思ったんです。
そしてそれを解決した先で、お酒が飲めない人とも気兼ねなく食事に行き、同じように宵の場を楽しみたいという思いがあります。結局ぼくは、美味しいお酒を、何も遠慮せずに飲めたならそれでいいんです。
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なぜノンアルコールドリンクという手段なのか?
いくつかの事業を自分の中で持っていて、そのなかで現状最も大きなペインを解決できる手段がノンアルコールだったからです。
始めは二日酔い向けの商品を作っていて、それがあればお酒を飲めない人のダメージを軽減できると考えていました。ただその商品開発のためにヒアリングを行っていく中で根本の問題の解決になっていないことに気付いたんです。
「播磨、お前根本から勘違いしてないか?」
「そもそもお酒を飲みたくない」「飲まなくていいならそれに越したことはないんだ」と。
根底の問題はお酒を強要されていること。飲んだ後の問題の解決ではなく、そもそもそうならないためのアプローチが必要なことに気づきました。
ではなぜお酒を強要されている現状があるのかを掘り下げていく中で、飲食店のお酒のラインナップが少ないこと、ノンアルコールのバリエーションが少ないことに気づきました。
お酒以外の選択肢が増え、その選択が当たり前のものになればこの問題は解決するのではないかと。
今あるノンアルコール事業のアプローチはお酒のイミテートばかりで、これらは基本的にはクルマの運転などで飲めない状況にある「飲める人」向けのものでしかありません。
それはお酒を飲む人が喜ぶものであり、ビールを嫌いな人がノンアルコールビールを好きなことなんて、まずありえません。ソフトドリンクもあるとはいえ、ウーロン茶、コーラなど、そのラインナップは限られています。
お酒と同じくらいの選択肢をノンアルコールの中でも増やすことで、お酒を飲めない人が楽しめるもののバリエーションが少ないという現状を打破し、飲めない人も飲める人と同じように楽しめるようになってほしい。また、お酒を飲む人が当たり前に享受できている体験を、お酒が飲めない人にも受け取ってほしいなと思っています。
今後の展望について教えてください。
今後の展望として目指しているのは、食事とノンアルコールを楽しむという文化の定着、浸透です。お酒を飲まない人が食事のお供として、それ専用のノンアルコールを飲むという行為を当たり前にしていきたいです。
その上で「料理と楽しめるノンアルコール」の中で第一想起のブランドとなるのが、当社の目標でもあります。
また現在はノンアルコールドリンクをメインに事業を展開していますが、あくまでミッション実現に向けたひとつの手段でしかありません。今後は新プロダクトの開発はもちろん、お酒の不公平をなくすためのサービスや場に関しての新規事業も視野に入れています。
新プロダクトの開発でいうと自社工場を作ることは決まっていて、飲まない人のスタンダードをつくるためにもその工場でプロダクトの生産サイクルを早くできればと思います。
全体として言えるのは小さく終わる気は全くないということです。月商数億程度では変わらないと思っていて、現在大手数社が独占しているようなドリンク市場に食い込むような規模感でやっていく、やらないとこの事業を行う意味がないと考えています。
ただ面白い商品をつくるだけでなく、人の行動や概念自体から変わるような、地道な、だけど大胆な事業を行っていければと思います。
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