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なにをやっているのか

津和野町が掲げるスローガン“まち全体が学びの場”及び、津和野町が推進する「0歳児からのひとづくりプログラム」実現の一翼を担う、津和野町100%出資の一般財団法人です。 私たちは(1)保育園から高校までのすべての教育現場にコーディネーターを配置し(2022年12月現在)、特に学校教育における“教育魅力化”の取り組みを実践し、(2)町営塾HAN-KOHを運営し、学校教育以外の学びの場を児童・生徒に提供し、そして(3)様々な分野で活躍する人々をつなぎ、津和野町における新たな経済・地域活動の活性化を図る、という取り組みを展開しています。 私たちの取り組みにおける主役は常に子どもたちであり、子どもたちを支える町の人々です。子どもたちが各々の興味関心に沿って探究し、地域全体がそれを支える。子どもたちを支える過程で町の人々が受ける刺激は、そのまま各々の生活を彩り、津和野町の未来を想像・思考することにつながるでしょう。私たちは、このような一連の流れをつくり、子どもたち・町の人々を伴走支援することで、学びの場を軸としたまちづくりに挑戦しています。

なぜやるのか

津和野町は島根県最西部の中山間地域に位置する人口7千人に満たない町ですが、“昔も今も”教育立町として教育を柱としたまちづくりを行っています。 例えば、江戸時代には大豪雨後の財政難の最中に藩校養老館を設立し、昭和初頭には旧制津和野中学校を独自に設立するための運動と寄附活動を行いました。津和野町には困難に直面するときこそ教育に投資をすることで人を育み、町をつくり守ってきた過去があります。 現在、「消滅可能性都市」にも名を連ねる津和野町は高齢化率50%を目前に控え、2045年には人口がおよそ半減することが推計されています。このような人口構造の変化にいかに適応し、発展的に町の人々の幸せを実現していくかが問われる中、まさに先に述べた“困難に直面するときこそ教育に投資をする”の精神を現代で実践するべく、津和野町は当財団を設立しました。 津和野町が直面する少子高齢化や過疎化といった問題は津和野町独自のものではありません。しかし、津和野町の隣町(益田市)で昭和40年代に「過疎」という言葉が誕生したように、津和野町を含めたこの地域は日本が国として高度成長期を迎える中、いち早く少子高齢化の波を迎えました。そのような背景から、私たちはこれら問題の最先端に位置していると認識しています。 私たちの考え方は次の通りです。 今、目の前で起こっている少子高齢化や過疎化は、“過去”に何も対応をしてこなかった、もしくは対応が適切でなかったからの結果です。そして“今”まさに津和野町が直面する問題は、生産年齢人口が減少する傾向を変えることは難しく、また同時に、高齢化が進むことが確実である中、いかに町民の幸せを実現させるか、です。目の前の状況を生み出した本質的な部分(課題)と目の前の問題は分けて考えるべきでしょう。つまり前者に関しては、未来を見据えたまちづくりをどう戦略的に行うべきか(理想と現状のギャップをどう埋めるか)という話になりますし、後者に関しては、現津和野町の財政問題の話になります。 これらの課題と問題と、両方に取り組むために、教育を軸とした取り組みを展開し津和野町ならではの「解」を見出すことに私たちは挑戦をしています。

どうやっているのか

<津和野町の動き> ここで、過去に津和野藩が直面した様々な困難に先達たちがどのように対応してきたかお伝えします。例えば、津和野藩を治めていた亀井氏七代矩賢は天明の大飢饉への対応及び、三十七万石の借財を抱えながら藩校の創立を決意し、人材育成を施策の中心におくという決断をしました。そして、十一代茲監は天保大飢饉への対応、対外的には財欧米列強によるアジア植民地化の波や開港通商を要求する諸外国が迫る中、藩内の文教改革に着手をしました。それは、より広い視野に立ち客観性をもって状況を捉え、津和野藩及び日本国を見つめ直すことができる人材を養成・輩出することに力を注ぐことを意味しました。 津和野町が現在直面する困難は過去に津和野藩が直面したものとは背景も内容も異なりますが、しかし、一貫して未来を担う人材を養成し、輩出することに注力してきたという点においては同じであると言えます。現在の津和野町の取り組みは、津和野高校における教育魅力化の取り組みに始まり、「0歳児からのひとづくりプログラム」の展開と事業推進室の設置、そして一般財団法人つわの学びみらいの設立がそれに該当します。これらの取り組みは津和野高校の生徒数増加や、津和野町内の保育園及び小中学校間の連携強化、「0歳児からのひとづくりプログラム」を官民で遂行する体制構築、そして、こうした教育分野における取り組みに対する町民からの一定の理解と支援を得たという点において成果をみせています。津和野藩が過去に藩校養老館を設立し独自の人材を養成・輩出したように、津和野町は今後もこれからの教育を国を含めた「他」任せにせず、独自の教育投資を行います。 <つわの学びみらい> 津和野町が抱える課題に関しては、まちづくりと同様に、私たちは義務教育や県立高校でも10年後・20年後を見据えて、今目の前の教育をどうするべきかについて真剣に考え、学校教育現場の抜本的な変革を前提に取り組む必要があると考えています。児童・生徒数が減少することが数字で明確に示されている状況下、津和野町は今後どのような未来を描き、そのためにどのような児童・生徒を育て輩出したいのでしょうか。児童・生徒がいなくなってから考えるようでは手遅れです。まさに今が最後のチャンスであると捉えています。 上記を踏まえ、先に述べた3つの取り組みを展開します。 (1)保育園から高校までのすべての教育現場にコーディネーターを配置し(2022年12月現在)、特に学校教育における“教育魅力化”の取り組みを実践する  ・コーディネーターは計7名おり、内1名は教育委員会に特命官として配置しています  ・今後、各小中学校及び高校と10・20年後を見据えた学校の在り方や運営について協議を始めます (2)町営塾HAN-KOHを運営し、学校教育以外の学びの場を児童・生徒に提供する  ・講師及びスタッフは計5名おり、英語プログラムを中心に実績を蓄積しています  ・近年は様々なテーマを取り扱うプログラムも展開しています (3)様々な分野で活躍する人々をつなぎ、津和野町における新たな経済・地域活動の活性化する  ・学校教育以外の“新しい学びの場”の構築を計画、実施します  ・津和野町の経済構造を変えるための働きかけをします