アイディア株式会社が展開するサービスのひとつに、海上工事における船陸間のコミュニケーションを円滑にするために開発された「Aisea Constr.(アイシア コンスト)」があります。
今回は「Aisea Constr.」の企画営業1名と、プロビジョニングチームとして開発に携わるエンジニア2名に、サービス概要や仕事のやりがい、今後の展望などを話してもらいました。
■プロフィール
事業戦略 企画営業:永田 拓弥(写真左)
海事産業への幅広い知識と人脈を持ち、クライアントサイド思考で実効性のある戦略を策定。
エンジニア:山口 健一(写真中央)
電子回路の知識を有し、OSI7階層すべてに造詣がある。IoTデバイス設計を担当。
エンジニア:山本 孝(写真右)
IoTデバイスの開発を担当。
海事産業をIoTで開拓するチャレンジ性に魅かれて
——まずは、みなさんの経歴について教えてください
永田:以前は自動車関連の会社で5年ほど、法人向けの自動車販売をしていました。その中で代表の下川部と縁があり、2019年に入社しています。
現在は、課題のヒアリングからソリューションとしての「Aisea Constr.」の提案のほか、それに伴う機器の納品や設置、導入サポートまでを担当しています。
山口:私はiPadやiPhone向けの旅行アプリ制作に従事し、その後独立しました。起業の一歩目として初めに受けた案件が、アイディアでの開発業務だったんです。関わってみると、船には様々な機器が備わっているものの、それがクラウドやインターネットとは結びついていないことを知りました。
そんな未開拓の部分を、アイディア独自のIoT機器であるAgent Unit(エージェントユニット/船舶をプラットフォームへ接続させるための装置)を使って切り拓いている点に興味を持ち、2018年の夏頃に入社しました。
現在は、Agent Unitの設計や開発を担当しています。
山本:教育業界や一般企業を経て、前職ではiPadの物品管理などを行っていました。そのため海事産業は未知の分野。ただ昔ながらの機器も多い分、iPadなどの最新機器・技術を取り入れることで、航行や海上工事の利便性が大幅に改善されることは明らかでした。この点に期待感を持ち、2021年の2月にジョインしました。
現在は、山口と同じくAgent Unitの設計や開発を担当しています。
海洋土木業を支える「Aisea Constr.」
——「Aisea Constr.」のサービス概要について教えてください
永田:海の上で作業する人たちにとって煩雑になっているデータを一つにまとめて、業務効率化に役立てる「Aisea」というプラットフォームの中には、役割の異なる4つのサービスが紐づいています。その内のひとつが「Aisea Constr.」です。
「Aisea Constr.」は海洋土木業向けのアプリケーションで、海上工事の業務効率化や安全性を提供するサービスです。
例えば陸上なら、看板や警備員の案内のおかげで工事の情報を簡単に入手できます。しかし海上の場合、工事を行っていることを伝えるべき船がいつ工事現場を航行するのかわかりません。
さらに工事の遅延やイレギュラー発生などの情報をリアルタイムに入手して船に共有し、安全な航行を実現することが求められます。
「Aisea Constr.」であれば、海上工事の情報を集約し、操船をしているお客様に共有できます。情報の見える化により安全に航行できるだけでなく、業務の効率化にも寄与しています。
また「Aisea Constr.」には、基本機能と細かな要望やカスタマイズに対応できるアドオン機能があり、お客様の課題に合わせて最適なご提案をしています。これらの機能は、ITの専門知識がない方でも簡単に使えるユーザーフレンドリーな設計となっています。
——サービスの強みはどのようなところでしょうか?
永田:情報のリアルタイム性です。他社システムの場合、周辺の船の位置情報が数時間前のデータで表示されてしまうものも少なくありません。
それに対して「Aisea Constr.」は、数秒もしくは分単位のラグだけで画面に反映でき、航行の安全性に大きく貢献できるんです。
山口:AIS(エーアイエス/船舶自動識別装置)から航行情報を抽出し、アイディアの独自装置Agent Unitを経由させることによって、高いレベルでのリアルタイム性が実現できているんですよね。
永田:そうですね。また、海上では天気の影響を大きく受けるので、アドオン機能で気象海象情報が表示できます。
そのほか、船舶の位置情報を取得後、各船舶の映像をカメラから確認することで周辺の安全性と業務進捗を一度に把握できる機能も備えています。
このように、複数情報の見える化を実現し、海事産業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させている点も「Aisea Constr.」の大きな強みと言えます。
営業・開発それぞれの専門性をもとにサービスの質を高める
——営業としての、問い合わせから導入に至るまでの業務を詳しく教えてください
永田:「Aisea Constr.」には国土交通省が運用する、新技術に関わる情報の共有や提供を目的としたデータベース、NETIS(ネティス/新技術情報提供システム)の登録番号が付与されています。
そのため、お客様はNETISで「海上工事」「航行安全」などと調べて当社を見つけてくださることが多いです。お問い合わせをいただき次第、直接、もしくは電話やメールでヒアリングをします。
——NETIS番号をもとに、技術への信頼感を期待してくださる方が多いんですね
永田:そうですね。また問い合わせは、お客様が工事へ入札をする前段階にいただくので、密にやりとりしながら動きます。
具体的には、工事に「Aisea Constr.」を使うことで得られる効果や安全性、効率性をご説明します。そして現場の地理的条件や隻数に鑑みた計画、使用する技術などをドキュメント化し、入札に備えるためのすり合わせを行います。
その後工事が決まり次第、導入に向けてお客様や弊社の山口・山本と詳細を調整。導入時は私が現場に行き、開発メンバーはイレギュラーなことがない限りは遠隔で接続確認などを実施します。
工事が終わったら、次の工事でも「Aisea Constr.」を使っていただけるようフォローも欠かせません。
このように、導入前のご提案からその後のフォローまで一気通貫で行っています。
——エンジニアの業務についても聞かせてください。「Aisea Constr.」を開発してきて印象的だったエピソードはありますか?
山本:カメラの映像をもとに、工事の進捗を確認できる「動静連動カメラ」の機能開発は、今でも記憶に残っています。
これは「Aisea Constr.」を導入している複数の船舶に搭載したカメラで、現場の様子が細部まで把握できるものです。我々が何度もテストをして作り上げました。
永田:Web会議のように、オンライン上で複数拠点からの高画質映像を同時に見ることは、もはや当たり前のように思えますよね。しかし、海上は電波が弱いために実現が難しいのです。
そこで、船舶から陸に伝送できる解像度の中で、粗さをある程度抑えたクオリティーを、山本や山口が割り出して構築してくれました。
山本:当時はカメラに手を振って、解像度をチェックしながら進めていた記憶があります。そのような試行錯誤の結果、リアルタイムの海上工事現場の情報を見やすい映像で共有可能になりました。この機能は「Aisea Constr.」の利便性を大きく高めたと思います。
新たな領域を築く、アイディアならではのやりがい
——アイディアならではの体験、仕事のやりがいはどのようなところにありますか?
永田:新規性です。船は港から出たら電波が届かないため、船舶機器は基本的にクローズドな世界を想定して作られています。その中で「Aisea Constr.」はシステムを構築し、データをクラウドに上げ、オンラインで誰もが同じ情報を共有できるという新たなユーザー体験を創出しています。
この、誰も踏み込んでいないフィールドを開拓できることにやりがいを感じます。
山口:IoTで船舶の業務を円滑にしていく作業をゼロからできる点は、アイディアならではだと思います。
例えば、制御機器などをクラウドに繋げるために、船舶機器をネジでばらしてケーブルを差し込むような業務から、時には船舶機器の設定を大幅に変えるところまで任せてもらえます。
裁量が大きい分、その機器の設定が船全体の安全性に直結するので、入念に導線会社や知識を持っている各メーカーと足並みを揃えながら進めています。
山本:たしかに緊張感とともに、常にやりがいを感じます。船舶のシステムならではだと思うのですが、我々が作業ができるタイミングは船舶が港に止まっている時だけ。そこに合わせて機材を準備して設置します。
さらに船が出港してしまうと、トラブルがあっても直しに行けません。そのような状況も考えながらリスクを最小限にした開発をしていますが、その結果お客さんが喜んでくださり、それを見て営業の永田もが喜んでくれる。自分の作ったものが人の喜びになっていくやりがいは大きいです。
新たな仲間を迎え、海事産業により価値を届けたい
——今後の展望、取り組みたいことを教えてください
永田:より多くのお客様のご要望に応えるため、新たなメンバーを増やしたいです。
「Aisea Constr.」は、誰かが歩いたルートをなぞるようなサービスではありません。サービスを必要とするお客様を探す際も、エリアやターゲットの調査・分析からのスタートです。
このマーケティング領域の業務が整い、仲間が増えれば、その後の営業の提案も効率化され、複数案件が進行できるようになるはずです。
山本:開発の部分では、より万全なサービス提供ができる組織体制を構築したいです。
機器の設定やサービスの開発時、ミスのないよう私や山口がダブルチェックをして進めているのですが、その間は開発の作業が滞ってしまうんです。
これから仲間が増えることで、チェックの正確性、ひいてはサービスの質を向上させつつ、開発スピードも向上させられるのではと期待しています。
山口:今の機材の性能はそのまま、もしくはそれ以上にしながら、より小型化するなど、やりたいことはまだまだあります。社内の技術やアイディアを集約して、より精力的な開発をし、お客様に新たな価値・体験をお届けしたいです。
——最後に、アイディアや「Aisea Constr.」に興味を持った方へメッセージをお願いします
永田:社内には高度なスキルを持ったスペシャリストが揃っています。
そのため、社内の技術を存分に活かした積極的な開発や提案を一緒に考えられます。そこが、大きなやりがいに繋がると思います。
社内は他職種とのコミュニケーションも円滑ですので、これから普及するIoTの力で海事産業を切り拓いていける仲間をお待ちしています。
山口:エンジニアの場合、私が中心となってインプットの機会を作っています。業務に関する手順も必ずドキュメント化していますので、新しく入られる方もフローを理解しながら業務に着手できると思います。
ぜひ安心して飛び込んでもらいたいですね。
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