時々「もっと成長したいです!」といってやめられる方がいる。そのような人は、「成長したい症候群」にかかっていることが多いため、この記事を書いた。
今回は、そのような「成長したい症候群」(=「成長したい」と思っているけどなかなか成長しづらい状態)理由についてまとめていきたい。
「成長したい症候群」とは?
「成長したい症候群」は、「成長すること」に意識がいきすぎて、かえって成果が出ず成長しづらくなってしまう状態だ。
「成長したい症候群」の特徴
「成長したい症候群」の特徴としては、以下の通りだ。
- そもそも「成果」を認識していない
- 「成果」に目を向けず、「過程」にばかり囚われている
- より簡単に「やった感」を得られる「過程」に依存する
- 「成果」を生み出すまでの泥臭い努力ができない
- 「自己PR上の成果」をかけるようにすることで、本当の成果を生み出すための努力から遠ざかってしまっている
①そもそも「成果」を認識していない
例えば、「英語力を上げたい」と思った時に、
- TOEICのスコアを上げる
- 海外で日常会話を行い、生活できるようになる
など、何かしら「成果」を決めるはずだ。
同じようにビジネスでも、英語力と同じように自分の達成するべき目標を立てるはずだ。
そしてそれを実現する結果があって初めて「成長した」と言えるだろう。
しかし、ただ漠然と「英語ができるようになりたい」と思っていて、なかなか成長できない人は、とりあえず「手段」に飛びつく。例えばただ毎日英単語帳を眺めるような感じだ。そして、何を「成果」としているかは、自分の中で言語化できていない。
「成果なき成長」は存在しない。なのに成果を認識していない。だから成長の方向性が自分の中でも掴めておらず、結果成長しないのである。
②「成果」に目を向けず、「過程」にばかり囚われている
まず、「成果」に目を向けず、「過程」にばかり囚われているタイプの人。このタイプは学生に多い。
さきほどの英単語の例であるが、例えば
- 単語帳を1日10回見る(過程)
のように、結果を生み出すための過程をこなすことを成長として捉えてしまっているパターン。これが非常に多い。
③より簡単に「やった感」を得られる「過程」に依存する
なぜ多くの成長しづらい人が、過程に囚われるのか?
それは、「成果」を追うよりも「過程」を追った方が、お手軽簡単に「やった感」を得られるからだ。(それを成長とは異なるものである)
例えば、単語帳を毎日見ていることで、「成長したな」と感じるようなイメージだ。他にも、教科書にひたすらマーカーしつづけるみたいなことも、手っ取り早くやった感が得られる。
もちろんこれは「成長」はしていない。なぜなら身についているかどうかわからないし、何も目標、ないしは中間目標(例えばチェックテストの点数80点以上)を達成していないからだ。
ただ、事実として10分単語帳を見たので、何かしら学んだ感が得られるが、これは別にTOEICで目標点を取ったわけではないし、日常会話を話せるようになってはいない。
④なかなか満足感を得るためには時間がかかる「成果」を出すまでの努力を我慢できない
これは②とつながるが、お手軽簡単な「やった感」の病みつきになると、愚直な忍耐や努力、責任感の重圧の中で求められる「成果」を出すまで、我慢できないのである。
- 「あ〜、これもわからない」
- 「どうやったらいいか全然わからん…」
- 「全然太刀打ちできない」
という壁を越えられてはじめて、成果が出る。そして本当の意味で「成長」できる。
ところが、この「やった感」の病みつきになった人は、そこまでの壁を超えることができずに離脱する。「上司が教えてくれなかった」「ネットに落ちてなかった」「本を読んでもわからなかった」「時間がなかった」くらいの理由で離脱する。
本当に貪欲であれば、
- 上司の時間をうまくとって質問し続ける
- 上司以外の人を見つけてきて聞く
- ネットに落ちている情報を別の確度で調べる
- その領域にめっちゃ詳しい人に本を教えてもらう
- 時間を作るために他の時間を削って優先順位をつける
など、当たり前にできることなのだが、これくらいの簡単な努力ができない。結局、「やった感」で得られる努力以上はできないのである。とてももったいない。
(ちなみに僕の知り合いでこの努力ができる人は、だいたい学生時代に読んでいる本は年100冊以上は読んでいたし、知らないことはどんどん聞きに行ったりしていた)
④本質的ではない「自己PR」の実績をかけるようにすることがバイアスになっている
最後にこれ。(特にコロナでサークルや部活などの機会がなく、自己PRのネタがない学生さんで増えてきている)
学生でも社会人でも、成果が出づらい人はこれが多い。「自己PR」のネタに囚われててしまう人。要は華々しい「自己PR」を作ることに努力の方向性が行ってしまい、肝心な成果をだすことに集中できないパターン。
少し補足すると、自己PRとは、学生なら「学生時代に力を入れたこと」、社会人では「前職で特に注力したこと」となど。
ところで、自己PRで何をみているかご存知だろうか?
実は「売上2倍にした実績」のような、華々しい実績を自己PRに入れないといけないと、よく候補者の方で勘違いしている。(かつて僕も就職活動中勘違いしていた)
しかし、面接ではこれを言われても確かめようがない。だから売上が1.1倍だろうが2倍だろうが対して関係ないのだ。
面接では、どちらかというと、この質問をすることによって「成果」を聞いているのではなく、どちらかというと「成果」にたどり着くための「過程」をヒアリングすることを通して、その人の「問題設定の能力」「課題認識能力」「仮説構築能力」「課題解決能力」などを確認している。
例えば、僕は面接で「〜についてどんな成果を出しましたか?」「そのためにはどのようなことをしましたか?」「なぜその問題設定をしたのですか?」「チームメンバーはどのくらいで、その中であなたはどういう立ち位置でしたか?」「どのような制約条件がありましたか?」「なぜ他の選択肢と比べて、それをやるべきだと思いましたか?」「その課題に対して、どういう選択肢を取りましたか?」「数ある選択肢のうちで、それに優先順位をつけたのは何故ですか?」などと深掘りするが、自己PRのネタを頑張って持ってきても、苦労して成果を生み出した人ではないと、ここが欠けているため、すぐ面接していることがわかってしまう。
例えば上述する、「その業務に対する知識が圧倒的に足りなかったが、上司に教えてもらえなかった」で止まってしまった場合、「その問題を解決するためにどういうふうにアプローチしましたか?」という質問で答えが止まってしまう。
一方で、例えば「上司の時間がなかなか取れないので、1日スケジュールを押さえて時間をとってもらった」「上司以外で詳しい人を紹介してもらった」など、少しでも努力している人であれば、「上司にDMを送り、まずOne on oneを依頼して、自分のやるべきことを整理しました。その上で、推薦図書を5冊紹介してもらい、全て読み切り、その知識を利用して業務に取り組みました。また、上司にその領域に詳しい人を繋げてもらえるように依頼し、その人をメンターにつけました」みたいな答えかたができる。要は、制約条件の中でどれくらい自分で考えて動けたか、ということだ。」
面接者としては、「あー、この候補者なら、リモートワーク適正ありそうだし、自分で動けるから伸びそうだな!しかも人の力を得たり、巻き込んだりするのができる人なんだな」という印象を受ける。
これは前述のように、成果を出すために泥臭い努力をして、やりきった経験がないと、その過程が説明できない。
結局自己PRで評価されるのは、遠回りして、愚直に努力して成果を出すまでやり切ることなのだろう。
逆説的だが、本当に爆速成長している人で「成長したい」という人はほとんどいない
僕の知り合いの仕事ができる人で、「成長したい」と言っている人は、実は誰もいない。
みんな自分の成長なんかよりも、「成果」を生み出すことに注力しているからだ。そして「成果」を生み出しているから、どこの誰よりも圧倒的に力がついて成長している。
成長とはそういうもので、その時の過程では何にも実感が得られないけど、結果となって数字となって出てきて、はじめて実感できるものだし、結果となって初めて実績になるものだ。
はじめから言われた通りやっているだけで成果が出ることは、まずない。(あるとしたらそれはあなたの成長ではなくて会社の仕組みがよくできていて、何も考えずに作業しているだけで成果がでるだけだ)
そして言われた通りのことをするのではないので、問題を簡単に解決できるわけがない。骨が折れるし、面倒くさい。うまくいかないかもしれない。でもそれを乗り越えないと成果は出ない。だから、自分で考えて成果を出したか確認するために面接では「あなたが今まで抱えた最大の課題について教えてください」と聞くわけだ。
そしてこの成長経験は、結局その人が問題に対して粘り強くアプローチするか次第なので、職場を変えてもそこまで変わらないことが多い。
※もちろんチャレンジを推奨してくれる職場でなければ無理なのですぐ転職したほうが良いと思う※あとあきらかに自分の苦手分野の業務なら転職したほうがいい)
いまもしそれをやれる環境なら、結局は、「成果が出るまで粘り強く頑張れるか、それとも諦めるか」それだけだ。成長したい、と望むなら、まずはやり切ったほうがよいと個人的には思っている。
結論
- 成長したいなら、「やった感」ではなくちゃんと「成果」まで追おう
- 成果を生み出すための努力は、鬱々としたものだ。そこから逃げると成長機会を逃す。
- やり切れば、成果を自分の言葉で話せるので、結局就職/転職でもうまくいく
※ただしあきらかに自分に向いていない業務であれば早く逃げよう(目が悪いのに凄腕のパイロットにはなりたくてもなれない)
※ただしどれだけ提案したとしても、会社全体でチャレンジを推奨しないなら別の職場へ行こう