社内でABテストをいろいろと繰り返しているのですが、その中で仮説を立てる力をうまく身につけてもらいたいと思いました。
そこでよい仮説を立てるコツについて解説していきます。
仮説とは
仮説とは、「AならばB」という、因果関係を表したステートメントとなります。
例)努力すれば努力するほど、成功確率が上がる
→IF 努力する THEN 成功する
仮説とは、この「AならばB」という条件が本当にそうなのか検証するためのものです。仮説の段階では、この因果関係は本当なのかわかりません。
ビジネスにおける仮説検証は
・Aすると結果的にBという条件が本当か
を確認するプロセスとなります。
よい仮説を立てるメリット
よい仮説を立てると、以下のメリットがあります。
①成功パターンを再現できる
②同じ失敗を避けられる
③自分以外の人が成功しやすくなる
特に、よい仮説を立てると、①、②が必ず得られるのがポイントです。
例えば、「ある広告クリエイティブで、CTAに「無料」というキーワードを入れると、コンバージョンレート(申し込み率)が上がる」という仮説があるとします。
仮にこれがうまくいった場合は、他の場合でも無料訴求を強めることで施策の成功率を上げられます。
また、逆にうまくいかなかったとしても、「Aという状況下において、無料訴求をしても効果がなかった」という知見が得られ、同じような状況下で同じような施策をしなくてもすみ、失敗可能性を減らせます。
このように、優れた仮説をたてることで、成功しようが失敗しようが、必ず「次に繋がる知見」を得ることができます。
仮説の検証結果を言語化すると、他の人も理解できるので、別の人も実現できるようになる。
良い仮説は、結果的に次に繋がる知見を得られることができるのです。
優れた仮説の特徴
優れた仮説の特徴は以下の通りです。
社内では、GNVRの法則と呼んでいます。
①【成果】ビジネスの成果に寄与する
②【新規性】まだ解明されておらず、新規性がある
③【検証可能性】計測でき、かつ検証ができる
④【再現性】成功/失敗の要因が明確であり、次につながる
【成果】
例えば、さきほどの「CTAに無料を入れるとCVRが上がる」という仮説が正しい場合、メディア事業の売上を大幅に上げることにつながります。
一方で、「ファーストビューで訴求を強めると、クリック率が上がる」ということを検証しても、実際に申し込みにつながらない場合は成果は出ません。
よい仮説は、たてた仮説が検証され、真であった時には必ず最重要のKGIに貢献します。
【新規性】
上記に加えて、まだ未検証の仮説であればあるほど、新しい知見が手に入る可能性が高まります。
逆に検証済みの仮説を再度検証しても、それは同じ結果が生まれるだけです。過去の研究結果をもとに施策を行なっているだけになります。(研究では「巨人の肩に乗る」と言ったりします)
巨人の肩に乗りつつ、新規性のある仮説をたてていくことが重要になります。
【検証可能性】
その仮説を数字で検証できる必要があります。数字に落とせないと検証ができず、検証ができないと得られる知見の確度は低くなります。
【再現性】
異なる状況下で、今回の仮説を応用し、成果を出せるか/失敗を減らせるかという観点が重要となります。
成果につながらない仮説の特徴
成果につながらない仮説の特徴は、以下の通りです。
①ビジネスに貢献しない
②もうすでに検証されている
③計測不能で検証できない
④抽象的で他の人が再現できない
良い仮説をうむための5つの質問
①この仮説を検証した時に、部門の最重要指標に貢献することはできますか?
②この仮説を裏付ける裏付けは十分ですか?
②この仮説を検証した時に、新しい有益な知見が手に入りますか?
③この仮説は数字で検証できますか?
④この仮説は他人からみても同じ検証結果を利用できますか?
例)20点の仮説
例えば、ツイッターのアカウントを伸ばす場合、
「ツイッターの投稿数を増やせばフォロワーが増えるのではないか?」
①【結果 ○】投稿数を増やす:成果に繋がる行動がとれるのでよい
②【新規性 ❌】投稿数を増やせば伸びるという知見は手に入るが、割と既知の情報なので微妙。逆に「どういう場合は枚数増やすとフォロワーが増えて、どういう場合は枚数増やすとフォロワーが減るのか」までリサーチしておきたい。
③【検証可能性 ❌】投稿数とフォロワー数は確かに数値化できるが、例えば1投稿だけバズった時に投稿数とフォロワー数の相関については言えないので微妙。というか条件によるので、単一の仮説だと他の要因に左右されるので検証できない。
④【具体性 ❌】何枚投稿するかわからないのでバツ。解釈が他人からずれる。
良い仮説を立てる上での注意点
①よくリサーチして、車輪の再発明を防ぐ
②よい仮説を立てれば、良い知見が得られるが、微妙な仮説を立てると振り返るタイミングでいい知見は手に入らない
③よい仮説を得るためには行動力が必要
①よくリサーチして、車輪の再発明を防ぐ
よい仮説を立てる上で、一番重要なのは「巨人の肩の上に立つ」ことです。逆によくない仮説は、リサーチもしないまま、答えを出してもあまりインパクトのないような仮説です。
逆に良い仮説は、過去の膨大な知見を理解した上で、実際にまだわかっていないことを試すことができるような仮説です。
②よい仮説を立てれば、良い知見が得られるが、微妙な仮説を立てると振り返るタイミングでいい知見は手に入らない
仮説がGNVRの法則に則ったものであれば、どんな結果であれ、知見が手に入ります。しかし、その法則に乗っ取らないと、検証したタイミングで次につながる知見が手に入りません。
③よい仮説を得るためには行動力が必要
最後に、仮説のもととなるアイディアを得るためには、圧倒的な行動力が必要になります。特に、ネットなどの情報を撮ってくるのではなくて、実際に一次情報を同業の方と情報交換したり、自分で試していく中で情報を得たりする必要があります。
成果の出る仮説には、膨大なリサーチが必要
実際に成果の出る仮説には、膨大なリサーチが必要になります。その分野の常識と言われるものを、まずは理解するところから始めています。
最近の例ですと、「CVR改善」について調べるときは、こんな感じです。
①その分野に詳しい人のツイッターアカウントを調べて、[from:アカウント名 amzn.to]で調べる。そうすると、過去にその人が紹介した本が出てきます。
②CVR改善に関係するキーワードを洗い出す(LPO, EFO, CVR改善, セールスライティング、コピーライティング、マイクロコピー、CTA)
③Amazonで②で調べたキーワードを調べて、よさげな本を全部購入する
④ざっとすべての記事の目次を見て、知らない部分だけまとめる
⑤鉄板の法則をまとめる
リサーチのまとめは、落合陽一さんのやり方が非常によいのでおすすめです。
最後に
ということで、よい仮説を立てるためのヒントになるような方法についてまとめました。ぜひ参考にしてみてください!