1
/
5

建設業の設計者・エンジニアへ質問「プログラミングでどんなアプリケーションをつくりましたか?」

タイトルを見て、「”質問する相手”が違っているのでは?」と疑問に思われた方は多いのではないでしょうか。この記事を読み終わって、数分前の自分と同じ感想を持つのか、是非確認してみて下さい。また、今は別の業界に身を置きつつも、モノづくりに興味がある方、「建設業でも、別の業界でも自分のプログラミングのスキルが活かせるのでは?」というヒントになれば幸いです。

建設業の設計者だって”爆速”で作業を終わらせたい

以下のポートフォリオのとおり、3Dで設計して一番恩恵を受けるのは、現場作業員です。少なくとも弊社ではそうです。

設計フェーズでは、通常の3Dでの設計に加え、その先に「3Dシームレス設計」を見つけました。その独自の設計手法によって、設計者側も通常より手早く作業を終えることができています。

工期50%短縮+仮設足場使用期間66%短縮 完遂!【3Dシームレス設計:某製鉄所配管工事600m】 by 株式会社 Tuber Vision
<3Dシームレス設計の実証実験> 配管を600m先まで新規敷設するため、弊社にて調査および設計を行いました。 新しい技術による設計手法が確立した瞬間を実感しました。まさにこの時から、現場工事における働き方改革が始まったと感じました。以降、3Dシームレス設計が弊社のスタンダードになりました。 ...
https://www.wantedly.com/portfolio/projects/70351

しかし、この設計方式はプログラミングを一切使わずにこのスピードを出しています。この設計方式をもっと早く、もっと正確にする必要があると考えています。

設計者も3D設計するのに使うアプリケーションのUI上では同じように手作業なんです。間違って設定することだってありますし、手戻りだってあります。

しかも、複数回続けて似たような手作業をしてたら、

 「あー、もうやだ、あといくつ直さないといけないの?何時間かかるのコレ…」

って思いませんか?私は思います。手戻りでなくても、過去のプロジェクトで似た作業をしていたら、

 「また、コレやるのかー。」

って思いませんか?私は思います。

なぜなら、同じ事を同じ時間かけていたら、その先にある別の”出来たはず”があったかもしれないと考えてしまうからです。時間は限られていますので。

勘の良い方なら分かるかも

IT業界では、エクセルの設計書やパラメータシートの値を関数やVisual Basic for Applications (VBA)で文字リテラルとして連結し、そのままコマンドに落とし込み、シェルにしてサーバ設定するという作業を、あまり違和感なく行います。

「なんでエクセルを方眼用紙みたいにつかうの?エクセルに文字ばかり書いて、何をしているの?」と、他業界から見るとおかしな慣習ですが、実はこういう背景があります。

一方、建設業界で使っている3D技術系のソフトウェアの多くは、既に自動化のためのマクロ機能が実装されていたり、APIが公開されています。例えばMicrosoftのOffice製品で使えるVBA、これが使える3Dツールは、AutoCAD、SolidWorks、Rhinoceros等があります。

何かピンときませんか?VBAだけでも使えれば、これら複数のツールで自動化できる可能性があるんです。

皆が皆、手の早い設計者ではないのだから”こそ”

物理的に手の早い設計者は、特殊な入力デバイスのショートカットキーなどを使い、UI上での手作業を効率よくこなしますし、間違いやミスも少ないです。でも、皆が皆そうではないですし、そもそも人間は誰でもミスをします。手の早い設計者でさえもです。

しかし、プログラムは一度正しく動かすことが出来れば、何度でも同じように動いてくれます。つまり、いったんプログラミングを使って作業を自動化すれば、そういった人的ミスを減らすことができます。

金額的にも高く、特殊な入力デバイスがなくても、プログラミングの知識があれば、手の早い設計者と同じスピード、それ以上にもっと速く正確に作業を完了させる事ができます。入力デバイスは消耗すれば壊れますが、プログラミングの知識は、蓄積することはあっても消耗はありません

図面のチェックを自動化したり、決まったフォーマットで図面を作成したりすることで、常に高品質な成果物を提供できるようになります。他者のテクニカルな技術をプログラミングで「再現」することも可能になります。

AutoCAD素人がActiveXリファレンスガイドを見てみた

私自身は工事に関する設計をしないので、AutoCADを触らないのですが、こんな事考えてみました。例えば、Excelの設計書にリストしたレイヤーをAutoCADで自動的に作成するシナリオです。Excelシートにリストされた「var」で始まるレイヤー名だけ指定した色にしたい。処理としてはこうでしょう。

  • 正規表現の設定
  • AutoCADを起動または接続
  • 新しい図面を作成
  • Excelシートの設定
  • シート上のテーブルの範囲内でイテレートし、「var」で始まるレイヤー名のみを対象とする分岐内でそれを新規作成、テーブルで指定された該当の色を設定する

「んー、”var”のフィルターは正規表現で。Layerオブジェクトにはaddメソッドあるし、エラー処理入れても多分50行前後でいけそうだな。」という見立てです。

テスト含めても数時間あれば完成しそうです。ChatGPTがあれば一時間も必要ないでしょう。AutoCAD使いで普段プログラミングしている方、この見立てはどうでしょうか。

建設業の設計者・エンジニアでも面接時に「プログラミング言語は何が使えますか?」と聞かれる時代

建設業界はデジタル化が進んでいます。BIM(Building Information Modeling)やAI(人工知能)など、新しい技術が次々と登場しています。これらの技術を使いこなすためにも、プログラミングの知識やそれを使う発想があると有利です。

IT業界のエンジニアだけでなく、建設業界の設計者・エンジニアも、面接時には「プログラミング言語は何が使えますか?どのようなアプリケーションを作りましたか?」と聞かれる時代になったと思います。

プログラミングを学ぶと、仕事の正確性や進捗が変わります。仕事の幅が広がります。キャリアアップのチャンスが増えます。弊社でも建設業の設計者・エンジニアがVR開発やエンドユーザー・コンピューティングにチャレンジする事を期待しています。

建設業の設計者・エンジニアの方、未来のエンジニア像について、またプログラミングについて興味があれば是非会話しましょう。

株式会社 Tuber Visionでは一緒に働く仲間を募集しています
同じタグの記事
今週のランキング