プロフィール
1995年入社
京都大学 法学部卒・ケンブリッジ大学 開発経済学修士
高校時代の部活、水球から人生の全てを学ぶ。大学卒業後、日本興業銀行へ入行、その後の留学を経て、2000年、満を持して家業の当社を継ぐ。老舗町工場の当社を開発型コンサルティング商社に業態変更し、現在の業界1位の独特なポジションを築き上げた。当社の経営と共に、一般社団法人茨木ウォーターポロクラブを立ち上げ大阪での水球普及に、公益社団法人日本国際民間協力会の副理事長として途上国支援に注力している。社員と共に、年2回のフルマラソンに挑戦する健康経営を実践。自らも走るのは嫌いだが「経営者の強みは知力と体力」と考えて日々頑張っている
環境機器株式会社について
環境機器株式会社は、1969年に業務用噴霧器の製造・販売会社として創業(法人設立は1973年)しました。その後、コンサルティング商社として成長発展し、防虫資材のB2B市場において業界最大手となっています。
当社の仕事は、IT化・クラウド化・ルール整備を進めることで非常に効率化され、高い収益性の原動力となっています。また、単に「ものを売る」会社ではなく、防虫技術をコアとして、新商品開発・研究発表・セミナー開催・新規ビジネスモデル構築・消費者向けのECサイト運営・海外支援NPOとの連携・災害ボランティアなど、幅広い事業や活動を展開し、社会にメッセージを発信しています。
具体的な当社の状況や働き方については、サイトをご覧ください。ここでは、当社で特に大切にしている二つの言葉をご紹介します。
それは「利他の実践」と「自律性」です。
利他の実践について
当社では「利他」ということが考え方の基本となっています。利他の他とは、自分以外の人を意味します。利他の逆が利己。利己主義という言葉は聞いたことがあるでしょう。何ごとも自分を中心に考えるのが利己。そうではなく、世のため人のためを考えて行動する。これが私たちの利他です。
営利を目的とするはずの企業がこんなことを言うのは嘘っぽいと思うかも知れませんが、何かトラブルが起こって損害が生じそうな時も、「損得でなく善悪で判断する」が基準になっています。
利他の対象は、目の前のお客様(=防虫業務を手掛ける専門業者さんです)であり、その人たちに害虫駆除を頼む人たちです。専門業者といえど、防虫の知識を学ぶことは簡単ではありません。学校でも教えてくれませんし、国家資格も必要とされていません。しかし社会的に非常に大事な役割を担っている。そこで我々は、20年も前から毎年100回以上、プロ向けセミナーを無償で開催しています。また多くのお客様は中小企業ですので、I T技術にも弱い傾向にあります。当社はモノを販売する商社なのですが、たまたまI Tに非常に強い。そこでお客様が使うデータベースソフトを開発して使って貰うこともあります。自分の欲望を満たしたい、もっと儲けたいという気持ちよりも、他人に良かれと思うことを先に実行することが当社の利他の実践です。
他者の利益を考えることで、視野はぐんと広がります。自分のことばかりでなくて、他の誰かの幸せ・利益のために働くことで、実は自らも幸せになれます。利他を実践していくことで、相手からも大切にされる。社会の問題を解決しようとするから、世の中から支持される。そういう「善の循環」が生まれます。これは実は最強のビジネスモデルだと思っています。実際、利他の実践を掲げている当社は(不思議なことに?)高収益企業です。
自律性について
環境機器の社員は多様なバックグラウンドを持ち、それを活かした仕事をしています。虫の専門家・薬剤師・ITエンジニア・海外渉外担当・新規事業開発担当など、同じ仕事をしている社員がひとりもいないといっても過言ではありません。受注管理や発送など会社の中心となる業務を支えるスタッフも含め、全体が一つのチームとなって仕事をしています。
一つのチームとして働く、それと同時に当社では、一人一人はとても自律的な存在です。自分の頭で、会社の目的を達成するために、顧客に満足してもらうために、社会に貢献するために、「自分は何をすれば良いのか?」「自分の得意技は何なのか?」。こう言ったことを毎日、自問自答しています。チームスポーツをイメージすると分かりやすいかも知れません。一人一人が自分で判断してプレーする、それが全体として調和が取れた時にそのチームは強くなる。言われたことをひたすらやるというのは、しんどいかも知れないけれど精神的には実は楽なのかもしれません。当社では逆で、仕事は強制されないけれど、自らを律してやるべきことを探さないといけない。自分の役割は自分で考え出さないといけない。これは結構大変なことかもしれません。
とは言っても当社の社員はみな優しい、面倒見の良い人たちばかりです。何をやって良いか最初は誰でも分かりません。でも先輩社員や同僚からアドバイスをもらったり、あちこちに無茶振りで連れて行かれたり、機会を与えられたりするうちに、自分の居場所が見つかってくる、それが当社という場所です。
環境機器が目指すもの
「害虫駆除」と聞くと、みなさんはどんなイメージを持たれるでしょうか?実際、当社がメインの顧客としている害虫駆除業者の皆さんの仕事は、大変地味で社会の縁の下の力持ち的な存在です。また、害虫駆除は「体力を使う大変な仕事」「消費者につけ込む怪しい仕事」といったマイナスのイメージを持たれることもあります。でもほとんどは、そして当社がお付き合いしている業者さんたちは全くそんなことはないのです。確かに大変な仕事ですが、やりがいと誇りを持って毎日の業務に当たっている真面目な企業ばかりです。
当社では、業界自体の働き方やネガティブなイメージを変えようと、さまざまな取り組みを行っています。前述の様に、毎週のように開催されるセミナーでは、社内の虫専門家の持つ防虫ノウハウや、私の持つ中小企業の経営ノウハウを、顧客企業に向けて無料で提供。業界全体がより科学的・効率的な仕事ができるよう利他を実践しています。
2011年からは、顧客である白蟻防除会社をネットワーク化し、多業種にまたがる全国的な住宅メンテナンスの業界団体を構築しました。多くの組合員企業とともに、当社が本部を務め、「住まいを資産に。」を標語として、一戸建て住宅に住む人たちが、安心して長く住める住環境を提供することを目的としています。
海外に目を向けると、蚊などの昆虫が媒介する感染症がまだまだ蔓延しています。アフリカ諸国を中心に年間100万人以上の子供たちがマラリアなどの感染症が原因で死亡しています。当社では、この問題を解決するために、40年前から世界保健機構(WHO)の仕様を満たした残留噴霧器を製造・輸出しています。私のライフワークの一つは、防虫技術を活かし、昆虫が媒介する感染症で亡くなる人たちをゼロにすることです。
これらの活動の根底には何度も出てくるキーワード、「利他の実践」の考えがあります。環境機器一社ではとても成功させることができないプロジェクトばかりですが、利他の実践を行うことで、政府機関、大企業、学術関係者、民間企業、そして受益者など多くのステークホルダーを巻き込むことができます。「渦の中心になる」、これが当社の強みです。
難しいことばかり述べてしまったかも知れません。また当社は万人向けの会社でないかも知れません。しかし、私のメッセージを読んでピンと来る人は必ずいるはず。そういった人は、おそらく当社で「天職」を見つけられると思います。