第1回は、社内で「人付き合いがいい」と評される竹本茉莉子さん。どんなお仕事をしているのでしょうか?
◆社員 竹本茉莉子さん/営業担当・34歳(取材時) 三重県生まれ、奈良県奈良市育ち。関西外国語大学卒業。明るく元気な性格で『JITSUGYO』を盛り上げる、唯一の女性営業職。小学生3人の男の子を育てるパワフルなシングルマザー。
◆担当ライター 小久保よしの/フリーランス編集者・ライター 埼玉県所沢市出身。移住先を探すため6年かけて全国各地をまわり、2017年に「奈良だ!」と東京から移住。本名である名前の由来は奈良・吉野の地名で、勝手に縁を感じている。
前職では、多忙な業務と不安定な給料に悩んでいた
小久保:今日はよろしくお願いします。竹本さんの前職はエステ業界の社員だそうですね。
竹本:はい、下の子が保育園に入るときにパートで入って、途中から社員になり、約5年勤めました。最後の1年半は店長職だったんです。接客や施術はもちろん、お店の経営や経理、スタッフ管理もしていました。
小久保:そんなに! ということは、かなり長時間のお仕事でしたか?
竹本:長かったです(笑)。
一番負担やったのが、子どもがいてるのに、自宅に仕事の作業を持ち帰ったり、帰宅してからも仕事のことがずっと頭にあって携帯でお客さんとやり取りしたり。
小久保:当時、お子さんはいくつですか?
竹本:子どもが3人いて、店長だった頃は上の2人が双子で小学3〜4年。下の子が保育園の年長でした。
部下のスタッフに仕事を振り当てていけば落ち着くだろうと思っていたんですけど、結局自分もやらないと、組織全体の売上数字が上がっていかなくって。そういうのが積み重なって、心身ともにいっぱいいっぱいになったんです。
小久保:ずっと忙しいままだろうな、と。
竹本:どんどん忙しくなっていって、これちょっとだめだなって。お給料は上がりましたけど、インセンティブ制なので悪いときもあり、常に不安定でした。2019年9月に退職して、10月に『JITSUGYO』に入社しました。
社内の人たちに気にかけてもらえることが、心地いい
小久保:どうやって『JITSUGYO』の仕事を見つけたんですか?
竹本:求人情報サイト「Indeed(インディード)」ですね。接客や営業の仕事は避けて、事務で検索して出てきたのが『JITSUGYO』の営業事務の仕事でした。
子どものこともありますけど、これまでと違う仕事をしたい、オン・オフが切り替えられるような時間が決まった仕事がいいなと思ったんです。気になって、事務所のビルを下見に来たら、とてもおしゃれやったから、もうそれだけで(笑)。
小久保:職場がおしゃれって大事です! 最初は営業事務として応募して、入社したんですね。どういうお仕事ですか?
竹本:営業担当の人たちのサポートです。調べものやメールチェックなど、営業担当が外回りをしていてできない入稿作業や見積もり作成などを社内で行います。
小久保:スタッフは何人いて、どんな雰囲気なんですか?
竹本:スタッフは25人(2021年4月現在)いて、男女比はほぼ1:1です。
営業チームは6人です。楽しいですよ。先輩たちみんな、優しいんです(笑)。こんなに面倒を見てもらうことが初めてで、気にかけてもらえるのってすごい心地いいんやなって(笑)。日報に翌日の行動予定で「○○へ訪問」と記載していると、「そこに行くなら似たような過去実績あるで! これ持っていき!」と用意してくれたり、面倒見がいいです。
小久保:それは働きやすい! 竹本さんは途中で、営業事務から営業職に抜擢されたそうですね。その誘いを受けたとき、どう思いましたか?
竹本:入社して半年経った頃に「やってみない?」と社長から言われたんです。でも、前職のように、また売り上げの数字と向き合って計算しなあかんとか不安で、すぐに決断はできなかって…。でも子どもがいて生活費は要る(営業職の方が給料がいい)から、どうしようかなって。
だいぶ悩みました。社長には一瞬で決めたように見えたらしいんですけど、そんなことない、私2、3ヶ月悩みましたよ(笑)。
小久保:でも、最終的には営業になったんですね。
竹本:営業事務をしているとき、クライアントさんと電話で話すことがあって。エステ業界とは違うところもあるんですけど、これまでの経験から(クライアントのために)「こんな風にしてあげたいな」って思うことが増えるようになってきたから、やってみようかなと。やろう! と決断してからの行動は早かったですね。
受け入れてくれるクライアントさんばかりだった
小久保:営業の仕事は、どういうところから始めたのですか?
竹本:取引のある奈良県内の学校への挨拶回りからです。これが楽しかったんです。エステ勤務時代は、お客様が警戒していることも多く、それを解いて入り込んでいく感じだったんです。
でも『JITSUGYO』のクライアントさんは、アポのために電話をしたら、ちゃんと会う日にちを決めて、聞く時間をとってくださる。既にこちらを受け入れてくれているんですね。地元奈良で60年以上営業しているメリットを感じますね。だから、やりやすいなって思いました。今では官公庁の広報や観光のお仕事も担当しています。
小久保:新規開拓ではどんな風にアプローチしていくんですか?
竹本:先輩たちから言われるがまま(笑)。見込みリストを渡されて「このサンプル持って行ってきて」と言われて出かけて行って、「ちょっとだけお時間ありますか?見ていただきたいものがあるんです!」みたいな。ちょっと複雑な提案の場合は事前に先輩にクライアント役をしてもらってオリエンテーションをしてから臨んでいます。
でも、前職とつながるとは思ってなかったんですけど、始めてみたら、営業の訪問前や打ち合わせ中のリサーチの大切さは同じだなと。
小久保:前職での経験を活かしているんですね。
竹本:紙媒体が多いんですけど、ノベルティなどもあります。
営業のコツは、相手を好きになって仲良くなること
小久保:営業で、コツってあるんですか? 関係性をどうやってつくっていくのでしょう。
竹本:「仲良くなる」かな。エステのときもそうだったんですよ、その担当者と仲良くなって世間話ができるようになると、エステに行くというよりも話しに行く感覚で来てもらえるんです。
その感覚を大切にしています。一つの案件をこなしたときに、「竹本に言うたら何とかなるかな」と思っていただけるように関係性を深めておくと、「この見積もりもお願いできるかな」と連絡が来て受注のチャンスが広がったりします。
小久保:頼ってもらえるんですね。
竹本:はい、頼ってもらえます。「印象づける」じゃないですけど、いかに仲良くなっておくか。前職の経験は大きいですね、癖みたいになっています(笑)。
小久保:それを苦痛には思わないんですね。
竹本:全然! 仲良くなると売り上げの数字も比例して上がっていくから、おもしろくって。自分の力だけじゃなく商品そのものが良いんですけど、自分が売れている・認められているような感じがして、その達成感が嬉しいです。
小久保:なるほど。でも、仲良くなるのに嘘はつかないわけですよね? 媚びるわけでもなく、仲良くなっていく。
竹本:はい、嘘はつきませんし、無理な値下げもしません。その人のことを好きになったら自然と褒めることができるし、どんなことを言ったらその人が喜んでくれるかな? その人がいる組織にとって良くなるのかな? と常に相手の立場になったように物事を考えていますね。
仲良くなりたいと思ったら、例えば「めっちゃかわいい靴下履いてるじゃないですか!」とか言って(笑)、そこからワーッと話します。その人に興味がなかったら褒めるのにも気持ちがこもってないけど、本当に興味があるんです。
小久保:まさに当事者意識ですね。パソコンモニターに向かって作業をしているよりも、人と接しているほうが好きですか?
竹本:そうですね。子どもの頃から人と話すことは好きでした。モニターに向かっていても、すぐ隣の人に喋っちゃう(笑)。
オン・オフのメリハリがついた、充実した毎日
小久保:お子さんがいらっしゃるし、仕事のしかたにも気を遣っていると思うんですけど、1日のなかで何をするかは計画するんですか?
竹本:基本的には前日に、翌日何をするか考えます。でも、夜のうちに届いたメールなどで仕事量が増えることも多いので、翌朝微調整します。それで、集中してだいたいその通りに。翌日でも構わない仕事をやり残すこともありますけど。
長いスパンでは年間目標計画があり、さらに細分化した月別目標があります。月別目標を達成するための行動計画ミーティングが営業部のリーダーを交えて毎月してもらっています。結果よりも、それに至る過程を大切にすることを指導されることが多いですね。そのミーティングでは私からも会社への要望をストレートにぶつけることのできる貴重な時間です(笑)。
年間目標は毎年9月の期首発表で全社員の前で発表します
小久保:何時に出社して、何時頃帰るんですか?
竹本:始まるのは朝8時半。終業は、定時は5時15分ですが、早ければ5時半〜6時頃。最近もう少し遅い時間に終わることが増えています。遅くても7時までには出ていますね。
小久保:お子さんたちの夕飯はどうしているんですか?
竹本:今は全員が小学生で、上の子たちは6年生やから、何か軽く食べて待っていることも。私が帰ってから、続き(の食事の支度)をしています。
小久保:前職と比べて、家族との時間はとれていますか?
竹本:家にいるときは仕事をしないので、オン・オフのメリハリがついています。土日は休みですし、子どもたちの少年野球を観に行っていて、充実していますね。子どもたちも私が観ていると嬉しそうです。
以前は、負の連鎖やったから(苦笑)。子どもたちがかわいそうでした。仕事も落ち着いていないし、ずっとモヤモヤとしていて悪循環でしたね。
困ったらすぐ社内のスタッフに相談。いつも助けられている
小久保:達成感やプライベートの充実の一方で、大変なのはどういうところですか?
竹本:だんだんやることが増えてきて、そのぶん目標となる数字も上がってきていることですね。でも、結果が数字で表れて、目標をちゃんと達成していたらやりがいを感じます。
そうすると「誰々に聞いてみて」とか教えてもらえるので、対応していきます。いつも助けられていますね…。
小久保:最後に、営業の仕事はどういう人におすすめですか?
竹本:フットワークが軽く、「行ってきます!」と動けるような人。けっこうスピード感のある仕事が多いですし、1歩目を踏み出すのに躊躇しないほうがいいと思います。
(取材後記)
元気で笑顔が印象的な竹本さん。前職での経験や持ち前のコミュニケーション力を生かしながら、上手に周囲にも頼っているところが、彼女の仕事術だと感じました。また、伸び伸びと働けている様子も魅力的でした。