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勢いがあるだけのベンチャー企業で終わらせない。代表・坂口が着目する、奈良と社員の果てしないポテンシャル。

1997年に登場した日本初のECサイト「楽天市場」のオープンからおよそ25年。コロナ禍での外出自粛も影響し、物販系分野を中心に国内のEC取引額は拡大を続けています。

大手ECモールを中心にWEBを活用した販売事業を行っているライズクリエイションは、消費者と事業者を繋ぐことで奈良でも有数のベンチャー企業へと成長。1日に2000個以上の商品を販売し、自社配送している企業としては奈良県内で1位の出荷量を誇ります。
EC事業だけに留まらず、自社商品の開発や貿易業、企業コンサルティングなど幅広い事業に取り組む当社は、代表・坂口竜一の「やりたい事業はやる」という経営姿勢で今日まで進んできました。

2022年10月には中国に100%子会社の法人を設立するなど、海外進出にも本格的に着手。本社を構える地元・奈良県の経済を盛り上げる規模に達するなど、圧倒的な成長スピードを誇っています。

本格的な海外展開を見据える坂口は、どんなビジョンを描いているのか。その考えを紐解くため、代表の経歴や当社を立ち上げた理由、企業理念である「三方良し」が持つ本当の意味、そして今後当社が向かっていく未来への展望を直撃しました。

坂口 竜一(さかぐち・りゅういち)
大阪府生まれ、奈良県育ち。高校卒業後シャープ株式会社へ入社。在職中から副業に取り組み、その数は30を超える。副業で得た通販事業のノウハウを活かし、2013年に株式会社ライズクリエイションを設立。EC販売事業をメインに幅広く事業展開を実施し、2021年は24億円の売上を記録している。

年功序列・学歴社会にNO。理想の会社を目指して独立するも、まさかの裏切りで崖っぷちスタート

ーー改めて、代表の経歴を教えてください。

社会人になっていきなりライズクリエイションを立ち上げたわけではなく、高校卒業後は一般企業へと就職しました。最短スピードでどこまでも出世してやろうと、周囲の先輩社員や大卒入社メンバーの何倍もがむしゃらに働いたのですが、当時は今よりも学歴や社歴で昇給昇格が左右される時代。「高卒だから」「社歴が浅いから」という理由だけで絶対に越えられない壁をまざまざと見せつけられて、ここにいても自分が望むキャリアは積めないと思い退職しました。
実は在職中から30種類以上の副業にチャレンジしていて、そこで出会った先輩と共に会社を立ち上げたのですが……コツコツと貯めていた800万円がなぜかたった3日間のうちに口座から消えていて。
すでに妻子を持つ身でしたので、「とにかく今の自分にできることは何かないか」と考えた時に思いついたのが、副業の1つとして手応えを感じていたEC事業でした。

ーーなぜEC事業をメインにしようと考えたのですか?

ネット通販を選んだのは、たまたまですね。早く結果が出るものを探した結果、ネット物販を見つけてスタートしていくうちに、この世界の素晴らしさに気づき、今もこれからもこの事業を主軸に考えたいと思うようになりました。その上で、自分たちで直接お客さんに商品を届けることができることによって、自分たちのやりたいこと、やりたい形を実現できると思っています。
例えば対面販売を行うアパレルショップであれば、お客様の動き方や手に取る商品を素早く分析し、お客様にぴったりの商品を探し当て、さらにそこから購入まで持っていくと言う労力が必要ですよね。頑張って売り込んでもお客様の気持ちをひっくり返せない時だって山ほどあります。
けれどECならお客様自身が徹底的に条件を絞って欲しいアイテムを見つけ出すし、ほぼ100%納得して購入する。店舗やアイテムの比較だって容易にできるので、お互いにストレスの少ない取引ができることが最大の魅力だと思っています。

会社は株主のもの。だから私は自分の好きな仕事をする。その言葉に隠された、社員への期待と願い

ーー現在はEC以外の事業も実施していますが、どんなメンバーで構成されているのでしょうか。

それぞれの個性がバラバラすぎて、言葉としてまとめるのは難しいですね。国籍・年齢・経験・価値観など、共通するパーソナリティは1つとしてないかもしれません。つい最近では63歳の方を採用しましたしね。会社が求めることに共感し、互いに良い影響を与え合えるポテンシャルを感じたらOKです。

ーーなるほど。では、ライズクリエイションの社員に求めることはなんですか?

ライズクリエイションという会社を、思う存分わがままに使うことです。よく「会社は社員みんなのもの」なんて言いますが、私は株主のものだと考えているんですよね。世の中にある会社の7割は社長が株主なので、会社は社長の私物とも言えます。
こう言うと「会社は社長のための道具だから、社員はその歯車になれということか」なんて誤解を受けそうですが、私は絶対にそんな会社にはしたくない。私は会社の持ち主として自分がやりたい事業を好きなように行うから、社員には自己成長のツールとして会社や事業を利用して欲しいんです。そのために必要な資金や手段は快く提供するし、突飛なアイデアや無茶なひらめきもすべて「とりあえずやってみよう!」と支援します。
会社は社員の働きで儲かっているし、社員は会社の体制や環境で成長できる。このwin-winなスタイルを遠慮せずに使い倒して、どこでも活躍できるビジネスパーソンになってほしいです。

ーーとても素敵ですが、それぞれが好きなことをするとバラバラになるのでは?

確かに何でも好き勝手に受け入れてしまうと、どこかしらで摩擦やトラブルが発生してしまいます。なので私がいつも社員に伝えているのは「必ず1本だけ筋を通すこと」。それがライズクリエイションで言う「お客様、会社、世間三方良しの商売を行う」という企業理念です。
これは誰か1人でも損をする、もしくは身内に誇れないような仕事は絶対にしないという、当社で唯一と言って良い大切なルール。どれだけ実績がある社員でも、このルールに抵触する場合は必ずNGを出します。
一見当たり前のように聞こえますが、世の中にはこのルール違反が非常に多い。例えば最近廃止されましたが、携帯会社の乗り換えで発生する高額な契約解除料。これってキャリア側がユーザーを縛るためだけのシステムで、顧客にとっては何1つメリットがない。上下関係が生まれる不健全なビジネスは、経済衰退や企業退化を増長させます。
逆に言えば「新規事業を立ち上げたい」「会社の設備を増やしたい」「今までにない方法を試したい」など、どんな要望でもこの軸にさえ基づいていればOKです。なにか問題が起こったとしても、毎回この視点に立ち返ればいい。逆にこの理念さえ守れば、どんな人を混ぜても大丈夫だと思っています。

ーー辿る道は違っても、ゴールはみんな同じということですね。

ただし、自分で提案した案件を最後まで完遂しない姿勢はいただけません。必要な資金やツールはすべて用意しますし、その間に起きるリスクも私が背負います。でもそれはその社員を信頼しているし、成果を出してくれると期待しているから。
実際にメンバーが私の期待と投資に応えてくれた結果が「楽天SHOP OF THE AREA 2021」の受賞です。これは約50,000店を誇る楽天市場の中で、関西エリアでの活躍が特に著しいショップに贈られる賞。大手ECモールから直接評価をいただいたことは、通販企業として大きなブランド力となります。
数字的な面で言えば、2021年度の売上が24億円を突破しました。これはマザーズ上場が可能なレベルの企業という証でもあるんですよね。決して有利ではない奈良という土地、50名程度の社員という条件でここまで成長できたことで、私の方針は間違っていなかったのだと確信しました。
社員にはこれからも、自由には責任が伴うということを自覚した上でいろいろなことにチャレンジして欲しいです。

目指すは奈良全体を巻き込んだ「地産他消」。地元の歴史ある名産を、EC事業で世界へと羽ばたかせる。

ーー今は奈良にだけ拠点を構えていますが、大阪や東京などへの進出は考えていらっしゃいますか?

本社移転という意味では、全く考えていません。奈良県外への支社設立は考えていますが、根っこは奈良から動かさないと決めています。
1番の理由はライバルが圧倒的に少ない環境だから。大阪に拠点を構える上場企業は400社以上ありますが、奈良にはたった6社しかない。売上が右肩上がりとはいえ、ライズクリエイションはまだまだ発展途上。競合ひしめく地域に乗りこむタイミングにはまだ早いと考えています。
あとは「地産他消」を促しやすい環境であることも大きいですね。

ーー地産地消ではなく、地産他消ですか?

地産地消が成立するのは、その地域で消費しきる力がある場合にのみ適応されます。しかし日本全国を見た時に、地域活性化ができるほどの消費力を持つ都道府県はどれほどでしょうか。
しかし拠点がどれだけ田舎であろうと、インターネット通販を利用すれば地元の生産品をどこでも消費してもらうことができます。この地産他消のロールモデルを確立させることが目標です。
奈良には素晴らしい老舗の企業がたくさんありますが、なかなか日の目を見ていないと思うんです。そんな企業の名産を私たちがピックアップすることで、「メイド・イン・奈良」を日本全国、ひいては世界中で活躍させることができると確信しています。

ーー実際に地産他消に繋がった事例はありますか?

2021年3月に大阪の甘栗老舗「樂天軒」に対してM&Aを実施、企業の立て直しに成功しました。地元・大阪では抜群の知名度を誇る企業なのですが、慢性的な経営不振とコロナ禍の影響で20店舗以上あった常設店が1店舗にまで減少するなど、まさに倒産寸前でした。
樂天軒の甘栗は、栗の目利きが厳選し独自ルートで直接買い付けた至極の一品。このまま終わらせるにはあまりに惜しいということで、当社の通販ノウハウで起死回生を図りました。加えて、ちょうど食分野の事業に参入したいと考えていたことも大きいです。
互いに未経験の洋菓子づくりに挑戦し生まれた「マロンバターサンド」をクラウドファンディングで販売したところ、目標額865%を達成。今では看板商品となり、全国に甘栗の魅力を伝える役割を果たしています。地産他消のロールモデルを作れた事例として、当社としても大きな手応えを感じたプロジェクトでした。
今回は大阪での事例でしたが、この成功をきっかけにあらゆる地産品を広めていきたいと考えています。

ーー最後に、今後の課題や目標を教えてください。

まずは年商50億円を達成することが直近の目標です。そのためには事業の拡大はもちろん、海外進出も必須だと考えています。実際に2022年の10月には中国へ100%子会社の法人を設立することが決定しており、当社肝入りである日本初のソロキャンプブランドを引っ提げてチャレンジしていきます。
それ以外にもまだまだ計画している企画はあるのですが、事業の規模と従業員数が釣り合わなくなってきていて非常にもどかしい。様々な分野に参画してみたい方、まだ誰も挑戦したことのない事業に取り組みたい方など、好奇心旺盛な人が仲間に加わってくださると嬉しいですね。

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