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高齢者施設の要望から生まれた大ヒット製品とは?ーケアロックWL-131T(R)

今回はJEIものがたり(ものが語る、ものがたり) ケアロック について書きます。

 JEIの電気錠システムが老人ホームに多く採用されるようになり、出入口が開き扉の場合はよいのですが、福祉施設に多い引戸をどうするかという難問が出てきました。

 電気錠というと開き扉、つまりドアに取り付けるのが常識で、掃き出し窓が盲点だったのです。老人ホームでは寝たきりやおむつをされている入居者の方も多く、部屋のにおい対策、特に換気が課題でした。窓を開けたら済むのですが、開けてしまうと、認知症の入居者がベランダから外部階段やスロープから施設外に脱出したり、もっと困ったことに、ベランダ柵を乗り越えて転落するという事故が後を絶たなかったのです。

 毎日JEI営業マンや技術マンが施設の方から、こんなことがあって困っている、えらいことになっているとお聞きし、会社に帰ってなんとかならないだろうかと相談を始めました。色々試行錯誤しました。

 初めは、窓の中桟に15センチプレートという真ん中にくぼみがある金具を作って取り付け、開き扉用の電気錠(モーター錠)を相手サッシに仕込むという少々無理のある方式で窓の開放制限をしていました。苦肉の策とはいえ、思うようにひっかかってくれなかったり、くぼみにティッシュを押し込まれて動作しなかったり、様々な事が起こりました。都度、15センチプレートの形状を変えたりしてみましたが、いよいよ、これは引戸専用の電気錠が必要だという結論に至りました。

 とはいえ、すんなり今のケアロックができたわけではありません。最初はボールねじタイプ(PS-1)といって、今のバネの部分がボールねじで、それを回転させてストッパが移動し、開け閉めするものでした。ボールねじの精度が確保できないのと動作音がうるさいなど、課題が多いものでした。次にできたのが、今のPS-2です。この頃同時にウイングタイプケアロックの検討もしましたが、戻る力が一定であるコンストンバネの発見があり、それを使いストッパ-が戻る構造になりPS-2の開発が進みました。どちらも窓の幅のフレームが必要となるのでコストもかかり、色合わせの手間もかかります。

 そこでできたのがWL-131です。PS-2もWL-131も第一号から何十回もの改良改善を重ね、今の姿になっています。まだまだ良くするところは沢山あります。全従業員の力を合わせ、知恵を集め、これからもさらに良いものにし、新しいケアロックラインナップを増やしていけるよう、尽力します。

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