本日は株式会社TDAI LabにてCEOを務め日々会社経営に邁進している福馬社長にインタビューをしてきました。現在では、東京大学AI博士×社交ダンス全日本学生チャンピオン×学生起業家と華々しいキャリアを築いている福馬社長ですが、一時期は一般企業への就職も考えていたと言います。いわゆる「ふつうの大学生」であった福馬社長がどんな経緯で学生起業に至ったのかやどんな思いで会社経営をしているのかについてお届けしたいと思っています!
What is TDAI Lab??
ーTDAI Labはなにをしている会社ですか??
TDAI Labは東大研究室発のAIベンチャーで企業へAIの導入支援をしています。研究室発という特色を活かして、海外や国内の最先端技術をいち早く吸収し、それを企業側へ還元していくということをやっています。
※社長が日経新聞に掲載された際の写真(東大生の新常識「デキるやつほど起業する」
東大発スタートアップ)
ーどんな組織を目指していますか?
ザックリではありますが、大きな目標として掲げているのは「社会に対していいことができる組織でありたい」ということです。ですので、メンバーとはその思いを共有したいと思っていますし、社会に対してより大きな影響力を持つために組織自体も拡大しなければならないと思っています。
私自身就活をしていた時期があったのですが、そのときにいわゆる学生の”人気業界”であったとしてもよくよく考えてみると社会に対していいことをしていると明言できる企業というのはそんなに多くないのではないか....と感じてしまいました。ですので、私は社会に対する存在価値が明確な会社を目指していきたいと考えています。
就活で感じた強烈な違和感。自分の道は自分で切り開きたいという思い
ー社長も就活をしていたというのは意外でした!会社に入るという選択肢もありながらどうして起業したのですか?
私自身は大学低学年の頃からビジコンに参加したり、起業の準備をしたりといったいわゆる「意識高い系起業学生」ではありませんでした。大学生時代は4年間所属していた競技ダンス(社交ダンス)部に多くの時間を投下していましたし、院生時代も他の学生と同じように研究をしていました。そして、その後も一般企業へ就職するつもりで就活をしていました。
しかし、その就活を通して強い違和感を感じました。それが起業に至ったきっかけかなと今では感じています。これは自慢とかではないのですが、自分は部活動で個人としても、団体としても全国優勝を達成しました。これは、才能があったからというよりは、工夫と努力を重ねてきた結果であるという自負があります。ですので、学生時代に積み上げてきたものがあるのに、他の学生と同じように新入社員として入社して、同じところから競っていくのはどうかなぁと思ってしまいました。それよりかは部活動でしてきたように「自分の道は自分で切り開く」という生き方の方に魅力を感じたのです。
そんな時に自分が所属していた研究室で会社を立ち上げるので社長を募集しているという話があり、これを逃す手はないと考えて応募しました。
それこそ立ち上げた当初は上手く行かなければ数年間で会社を畳んでもいいかなと思っていたのですが、結果としては自分は博士課程まで進み、社員の人数も増え続けています(笑)。また、何年も経営を続けるにつれて自分のやりたいこともわかってきて今はとても楽しいなぁと思っています。
ー昔からAIに関わりたいという思いがあったのですか?
どこかの分野で専門性を持ちたいということはぼんやりと考えていましたが、絶対にAIの研究者になるんだという思いはありませんでしたね(笑)。
今の研究室には非常にお世話になっているので、あまり大きな声では言えないのですが、今の研究室は説明資料を見て3分ぐらいで適当に決めた場所だったんです(笑)。なんんとなく面白そうなことをやっているなあと思ってとりあえず応募したら通ってしまいました。後になって知ったのですが、倍率が高いところだったみたいで、本当に所属することができてよかったです。
社長であるからには自分自身がどこかの領域でトップでいなければいけない
ー会社を経営する上で大切にしていることは何ですか?
弊社はメンターの方や応援してくれる外部の方に「社員の意見を大事にする組織だね」と言われることが多くあります。それは私が目指している会社像でもあり、リーダーシップの強い個人が引っ張るベンチャーとは大きく異なる点だと思います。弊社はベンチャー企業であり、福利厚生面では他社に勝つことはできません。ですのでその分、仕事内容や自分が伸びている実感にやりがいを見出してもらい、入社して良かったなと思われることを心がけていますね。そのためにも、社員が意見を言いやすい環境を作ったり、社員の教育にリソースを割いたりということは意識してますね。
例えば、社員やインターン生には自分で考えてもらって"自律的に"仕事を進めてもらうようにしていますし、アウトプットを出す機会も意識して増やしています。また、社員から意見がでやすい環境を作るためには、自分がコミュニケーションハブになりすぎることはあまり良くないので、社員同士のコミュニケーションを増やしてもらったりして自立を促しています。
さらに、それとは別で社長であるからには自分自身がどこかの領域でトップいなければいけない、尊敬されなければいけないという思いはありますね。僕であれば機械学習領域の専門性では絶対に負けてはいけないですし、自分の論文を学会に通して今年中に博士号は絶対に取ろうとかはよく考えています。
ー勉強会などでフィードバックを頂いたり、質問されると知識量や見ているところが違うなだったりをよく感じております...(笑)。
ー逆に社長をやっていなければやってみたいことはありますか?
結構たくさんありますね。今は逆にエンジニアとして一般企業に行ってみたいという思いもありますし、ビジネスサイドを勉強してみたいという思いもあります。あと、社交ダンスの世界選手権に日本代表として出てみたいですね。子どもが生まれたときに「あの世界大会でてるの、お父さん!」って言ってみたいじゃないですか(笑)
※福馬社長が大会で踊っている写真
ー今会社にいるのはどんなメンバーが多いですか?
かなり特殊な属性になってしまうのですが、競技ダンス部のメンバーかつ留年しているメンバーが多くいます(笑)。
実は会社設立当初は研究室から人を集めようとしていましたが、なかなかうまく行きませんでした。みんなある程度コーディングができてしまうので故に個人作業っぽくなってしまったり、すぐに就職してしまったりで定着を図れませんでした。そのときの教訓としては、人は自由な生き物だなぁというものがあります(笑)。ですので、その反省を活かしてスキルベースで仲間を探すのではなく、信頼ベースで仲間を探すのがいいのではないかと考え、気心が知れた部活の後輩を誘い始めました。それで採用した一人目の社員はコーディングの経験がほとんど0のところからスタートして、順調に育っていってくれて案件を安心して任せられるレベルになりました。コッチの方が上手くいくじゃないか!と今では思っています。純粋に気が合う仲間と仕事をすることは楽しいですしね!
ー最近人が増えていますが運営する上で困っていることはありますか??
社員みんなに入ってよかったと思えるような経験をしてほしいと思っているのですが、全員にその機会を均等に配ることが難しくなっているなと感じています。やはり人が増えてくるとスキルに多様性が生まれたり、作業が細分化してしまうので、、、
ーどんなメンバーに来てほしいですか?
地頭が良くて負けず嫌いな人が欲しいです。コーディングができないことは構わないのですが、その後になんで自分は他の人よりできないんだと、奮起して勉強してくれるような人が来てくれたらいいなと思います。基本的にガッツがある体育会系の人の方が好きですね(笑)。
私自身も最初はコーディングできない状態で研究室に入って悔しい思いもしました。しかし、だからこそ先輩や同期には絶対に負けたくない、絶対に見返してやろうという気持ちでここまで頑張ってこれました。
ー社長は普段どんな仕事をしていますか??
人が多くなるのつれて全体の統括やメンタリング、それと新規事業開発が中心になっています。それこそ昔は人も少なかったのでバリバリに自分でコードを書いてました。ただ、自分がやった方が早いみたいなことを繰り返していくと最終的に良くないかなと思ってエンジニアを採用したタイミングで案件を振り分け、自分は全体のメンタリングに回りました。他にも営業資料を作って営業をしていましたが、今はビジネスサイドの人が来てくれたのでそれも任せてしまっています。最近は新規事業を考えたり、会社全体の方針を考えたりしていますかね。
その余った時間で研究をしたり、ダンスをしたりしています。ダンスもかなり真剣にやっていて、海外のトッププロのレッスンを受けに行ったり、トレーニングキャンプに行ったりしています。社長であることで大会に出るためにイタリアにでかけたり、空いた時間に練習をすることができるので今の生活には満足していますね。
「諦めない心」。途中経過がどんなによくなくても続けていけば最後には花開くという確信
ー大切にしている考え方はありますか?
「諦めない」ということはかなり大切にしていますね。自分の人生の中でどんなに途中経過がよくなくても続けていけば最後には花開くということを何度か経験していて、最後には笑って終われるだろうという根拠のない自信はありますね。
大学受験もそうですし、部活もそうですし、今の奥さんと付き合うまでもそうでした。実は今の奥さんは大学時代からのダンスパートナーなのですが、付き合うまでに4回かかりました(笑)