理学療法士からGHCのコンサルタントにキャリアチェンジを果たした穴田周吾さん。入社後はさまざまな壁にぶつかりながらも、着実に成果を上げ続けました。そんな穴田さんですが、GHCのコンサルタントを卒業し、厚生労働省での勤務へ転身することに。
コンサルタントへの転職を決意したきっかけ、GHCでの忙しくも充実した日々、これからの目標などについて、穴田さんに詳しくお話をうかがいました。
医療政策を学ぶことの楽しさから医療コンサルタントへ
_GHCに入社するまではどんなお仕事をしていたのですか?
穴田 大阪と京都の間にある100床ほどのケアミックス病院が母体の民間医療法人で理学療法士として働いていました。
_理学療法士をめざした理由はなんだったのでしょうか。
穴田 きっかけは、看護師だった祖母から「手に職をつけなさい」と言われて、資格を取得したことです。大学卒業後に就職した医療法人で、厚生労働省との介護予防のプロジェクトに携わっている先輩に出会い、その先輩から、医療職や理学療法士としての職業観などを教わっていくなかで、医療や理学療法士という仕事のおもしろさに気付いていきました。
_おばあさまの助言がはじまりだったのですね。病院では、具体的にはどのような業務をしていたのですか。
穴田 GHCには大学病院やDPC特定病院群のような、急性期の大きな基幹病院に在籍していた医療職出身の社員が多いのですが、私のファーストキャリアは100床くらいのいわゆる中小病院でした。日本に多い規模感の施設ですね。そういった職場で外来や入院のリハビリテーション医療の現場で働いていました。運営する医療法人は民間ということもあり、病院だけではなく介護老人保健施設や訪問看護ステーションといった介護事業や、地域ケア会議など行政との予防事業も行っていたので、医療と介護と予防に幅広く関わることができましたね。理学療法士としての仕事はトータルで8年間続けました。
_理学療法士からの転職を決意するきっかけがあったのでしょうか?
穴田 思い返すときっかけという様な出来事は2つあって、1つ目は私が働いていた病院に「地域包括ケア病棟」が新設された時ですね。リハビリテーション料の算定ルールが大きく変わり、スタッフの働き方もこれまでとは違ったものになったのです。当時はなんだか納得できなくて、自分なりにその理由を色々と調べてみました。すると、医療政策の流れによる診療報酬の改定が背景にあるということが分かり、制度を知ることの大切さをその時に実感しました。
2つ目は、紙カルテから電子カルテへの切り替えが行われた際に、業務フローの変更を現場スタッフとして体験したことです。慣れるまでは少し苦労しましたが、電子カルテの使い方をマスターしてからは、やはり仕事が楽になりました。あとは医療情報が電子化されたことで研究にも使いやすかったです。この経験から、業務改善の考え方やIT化の推進や医療DXによる医療現場の生産性向上の可能性に気付きました。
この2つの出来事から医療政策や病院経営について勉強してみたい気持ちが生まれ、色々と調べていたところ「メディ・ウォッチ」というサイトにたどり着きました。これは今GHCが運営している「GemMed」の前身となるサイトです。そこを覗いていると、GHCの渡辺社長と日本理学療法士協会の会長が共同で行ったセミナーの記事が掲載されていました。これが自分とGHCのファーストコンタクトでしたね。
_そこで、GHCに興味を抱いたのですか。また、なぜコンサルタントの道を選んだのでしょうか。
穴田 まずはじめに、「医師や看護師といった医療現場出身の社員がたくさんいるコンサルディングファームがあるんだ!」と衝撃を受けたのを覚えています。
私がコンサルタントの道を選んだのは医療政策や病院経営について勉強することがすごく楽しかったので、それを仕事にできたら良いなと思ったのが理由です。その方法に医療コンサルタント、行政関連の公務員、研究者という3つがあると考えました。そのうち、行政関連の公務員について自分は昔から「筆記試験」があまり得意ではなくて、テストをパスする自信がありませんでしたし、そもそも年齢制限がありましたし。研究者も魅力的でしたが、まずは理論を実践したいという考えがありました。なので、医療コンサルタントが良いのではないかと。あとは理学療法士や作業療法士から医療コンサルタントに転職した同世代が周囲にいたというのも大きかったです。各社の出版物を読んだり、セミナーに参加した中でGHCが一番魅力的に映りました。
医療コンサルタントをめざしMBAと診療情報管理士等各資格の取得
_理学療法士を8年間やっていると、かなり専門性も身についてきますよね。
穴田 学生や後輩の指導もしていましたし、ベテランとまではいきませんが中堅的なポジションでしたね。理学療法士の仕事はおもしろくて、やりがいも感じていました。
_どれくらいの時期から医療コンサルタントへの転職を意識していたのですか?
穴田 先ほどお話しした地域包括ケア病棟が出来た時くらいなので理学療法士の仕事を始めて2年目からです。いま考えてみると、結構早かったのかもしれません。
_たしかに早いですね! そこからGHCに入社するまでに期間が空きますが、何をされていたのですか?
穴田 GHCで医療コンサルタントになるためには専門的な知識やアピールできる経験が足りないと判断して、30歳になるまでレベルアップしようと考えたのです。理学療法士の仕事をしながら神戸大学の病院経営コースの科目履修生になり、院長や事務長に混ざって病院経営を学びました。それ以外に本を読んだりセミナーに参加したりして、可能な限り知識を身に付けましたね。GHCの学会講演や学会発表にも足を運んでいます。あとは資格も転職時に武器になると考え、診療情報管理士や医療経営士、公認心理師をそれぞれ取得しました。特に、DPC病院勤務でなかった私にとって、診療情報管理士はGHCの面接時にきっと熱意を見せるポイントになると考えて戦略的に取得をしました。
もちろん、知識を身に付けるだけでは意味がないので、職場では業務改善の仕事に積極的に取り組んだり、理学療法士協会でのマネジメントの研修会の運営や講師等で活かすようにしました。さらにお世話になった医療法人を退職し、理学療法士や作業療法士の先輩と一緒に診療所向けのコンサルティングや医療系のライティングをする会社を始めながら、追手門学院大学のMBAに通って準備をしていたのです。
_働きながらMBAに通うことは、大変だったのでしょうか。
穴田 大変な時もありましたが先生も熱心に指導してくれたため、ハードながら楽しい2年間でした。卒業論文は、「大阪府茨木市にある医療機関の経営戦略の類型化」というテーマでずっと住んでいた場所での医療法人の経営戦略の分類について論文を書き、無事に卒業しました。
そして、入社試験をクリアしてGHCに入社したというわけです。試験ではシニアマネジャーに数枚のレポートを手渡しされて、「この資料を5分で読んでみて。その後にデータからどういう課題が考えられるか私にプレゼンをしてみて。」と言われたのが一番印象に残っていて、今でも昨日のように思い出せます。
_医療コンサルタントって他にもありますけど、やはりGHCが良かったのですね。
穴田 GHCは私が医療コンサルタントを志すきっかけになった会社である憧れや、医療現場出身者の多さといった理由以外にも魅力がありました。例えば入社後の研修が非常に充実している面、あとは退職後も活躍している方が多かったという部分についてはキャリア形成にあたり非常に魅力的でした。
先輩からの丁寧な指導がGHCの大きな特徴
_実際、入社後の研修はどうでしたか?
穴田 元々、数値の扱いなどは医療現場にいる時から苦手意識があり、「データ分析に苦労するだろうな」と思ってはいましたが、予想通り、というか予想以上に苦労しましたね。病院経営の専門的なノウハウとDPCデータを紐づけた分析は、GHC独自の手法であるため、大学院で論文を書いたからとか、多少の診療報酬制度やDPC/PDPSの知識があるからといって、すぐにできるようになるものではありませんでした。
私は同期と比較しても、データ分析に時間がかかるほうだったため、同期がその日の夕方くらいには課題を終えているのに、私はぜんぜん終わらない時もありました。Excelは入社前にトレーニングしてきたものの、最初は社内のデータベースの構造もよく分からないし、どのデータとどのデータを紐づけすればば良いのか見当もつかずで、病院経営とDPCデータの組み合わせ方が最初は本当に分かりませんでした。
_それでも無事に研修を乗り越えたのですね。
穴田 はい、それでもなんとか研修を乗り越えることができました。やはり、先輩コンサルタントからのサポートのおかげですね。コンサルタントというと、Up or Outの文化であったり、先輩から厳しく詰められるようなイメージがあったのですが、そんなことはありませんでした。
会社として丁寧に新人を指導してくれることは、GHCの大きな特徴だと思います。もし、上手くいかない時期があっても、GHCでは本人にやる気さえあれば、きっと乗り越えられるのではないでしょうか。
_研修を終えて実務が始まるわけですが、最初の実務はどのようなものだったのですか?
穴田 「アナリスト」と呼ばれるキャリアラダーから始まり、クライアントである医療機関のDPCデータなどをベースに、経営分析を行ってのミーティング資料作成を担当します。しっかりと依頼者である先輩コンサルタントの意図や、ステークホルダーとの背景を汲み取ることと、正確なデータ分析が必須になるのでここでも苦戦をしましたね。
理学療法士の現場経験が活きたコンサルタント業務
_アナリスト業務よりも、クライアントの前で話したりする方がご自身に合っていると感じますか?
穴田 それは感じましたね(笑)。理学療法士をやっている時から学会講演やセミナー講師などを経験していたので、人前で何かを話したりするのが楽しいからです。ですが、クライアントがコンサルタントに重視するのは「ロジカルに練り上げられた提案」だったり「意思決定に繋がる知見やネゴシエーション」であり、講演などで一方的に話すのとは違う部分が強く求められます。そのため、訪問前の準備は非常に大変でした。
_特に印象に残っている案件はありますか?
穴田 「公立病院経営強化プラン」のプロジェクトです。GHC で医療コンサルタントになったからには、大きなグループや地域の基幹的な役割を担う急性期病院を担当してみたいと思っていたためです。
そんな思いの中で、当時策定時期であった「公立病院経営強化プラン」のプロジェクトにアサインされて、在職中に3つの病院を担当させていただきました。それぞれのエリアも異なり、非常に印象深く残っていますね。時折、クライアントのホームページまで公開されたプランを読みに行ってひそかに思い出に浸っています (笑) 。
_理学療法士の経験が活きたと感じる場面はありましたか?
穴田 患者さんのデータを取り扱っているときです。年齢や性別、要介護度や疾病の状態などを見ていて、「こういう風に暮らしていたんじゃないのかな。担当していた〇〇さんみたい」とイメージが浮かんでくることがあります。きっとこれは士業の方や臨床経験がないコンサルタントの方との、差別化ポイントではないでしょうか。
あとは診療報酬改定後の対応やリハビリテーション部門管理のノウハウなどは、全国の知人達に素早くコンタクトがとれることなどもこれまでの経験が活かせた場面です。
GHCを卒業し、厚生労働省へ
_理学療法士としての経験を活かせ、業務を通じてやりがいも感じておられるのに、厚生労働省へ転職されることに。
穴田 GHCには3年間お世話になり、本当に素晴らしい経験をたくさんさせてもらいました。業務や社風も好きで仕事にもやりがいはあり、医療コンサルタントとして、自分自身にまだ伸びしろも残っている気はしていました。そのため、退職を決めるまでにはかなり迷いがありましたが、担当している病院が3月決算のところが多いので、その時期に合わせて退職をする事に決めました。
_どうして退職しようと思ったのですか。
穴田 理学療法士の道を進めてくれた祖母も高齢になってきたので地元の富山県に帰ろうかと思ったためです。また、 GHCでしっかり鍛えていただいたなかで、研究をまたもう少し学びたいという気持ちも芽生えてきていました。退職後に活躍している人材が多いというのもGHCを選んだ大きな理由ですし、3年はひとつの節目に感じられて意思決定を後押した気がします。辞めるのを伝えて(とはいえ、これから何をしようかな…。)と悩んでいたところ、厚生労働省での公募枠が出ているのを知って挑戦を決めました。
_厚生労働省ではどんなお仕事をされるのですか。
穴田 医療DXを推進する部署での業務を行います。以前から本省勤務の医療行政の仕事に興味はあったのですが、元々が専門職でやりたい領域が明確に決まっているなかで、配属の兼ね合いがあって関われる業務に運の要素がどうしても絡むことや、年齢制限もある場合が多く、GHCにジョインした時に一度は諦めた道でした。
ですが、近年は採用方法も多様化しており、部署単位での採用の機会があったのが魅力的で公募に挑んだ理由です。GHCでさまざまな病院の経営支援や医療データ分析に携わってきた経験が採用に繋がったと考えています。
_転職先が決まった時、周囲の反応はどうでしたか?
穴田 アキ会長、渡辺社長がまず「おめでとう」と祝福してくれましたね。お二人には辞めると伝えて次が決まっていない間も気を掛けて下さり、本当に暖かく見守ってくださっていました。また、先輩からのねぎらいの言葉や仕事を教えていた後輩がお礼を言いに来てくれたときなど、GHCでの日々を思い出して本当に胸が熱くなりました。
_厚生労働省ではどのようなお仕事にチャレンジしたいですか?
穴田 医療情報のデータ化のお手伝いがしたいです。例えば日本の電子カルテの普及率は現在約50%と中小規模の病院やクリニックを中心に、まだまだ紙のカルテを使用している施設が少なくありません。さらに各システムの違いでデータ形式の違いやそもそも独立しており、トータルな活用が難しい問題もあります。もちろん、紙カルテや従来のシステムにも良い面はありますが、医療DXはこれからの日本の医療・介護現場に必要であると考えているためです。
_これまでとは全く異なる環境で働くことへの怖さはありませんか?
穴田 もちろん不安な気持ちはありますが、私と同じように理学療法士や、あるいは作業療法士として働いていた知人が多いため、どのような働き方をしているかは、以前から知っていました。また、業務や自己研鑽の補助を活用して学会やセミナーに出席したりする機会が多かったので、仕事を通じて医療業界のステークホルダーと人脈を築けた点やGemMedや日々の業務で医療政策の最新のニュースをキャッチアップできていたのは、キャリアチェンジにあたり心の準備につながりました。これらはGHC で働いていたおかげですね。
GHCは「ビジョナリーカンパニー」
_最後に、穴田さんにとって、GHCとはどんな会社ですか?
穴田 自分にとっては、まさに「ビジョナリーカンパニー」ですね。約1,000病院の膨大な医療ビッグデータを活かしつつ、医療従事者の現場感や倫理観を大事にしたコンサルティングのできる大変稀有な会社だと思っています。
数字の上でのコストカットだけの提案にとどまらない「医療コンサルタントとして、医療現場を変える仕事をしたい」と考えている方には、GHC という会社を選ぶことを強くおすすめしたいですね!
本当にお世話になりました。ありがとうございます。
_穴田さんの今後のご活躍を楽しみにしています。本日はありがとうございました!
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