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④私の履歴書【転職の決意〜オプト退社編】

私の履歴書」とは、日経新聞の最後のページに掲載されている人気コーナーです。紙面では、各業界の著名人が自らの経歴や生い立ちを語っています。

ここでは「私の履歴書」のお名前を借りて、私浜中自身のこれまでの人生を振り返ります。

なお、本記事は連載の4本目です。過去の記事は、下記のリンクからご覧ください。

1年ぶりの定時退社


前回の記事でお伝えしたとおり、自分が得意とする「お客様への提案」に集中できる仕組みを作ったところ、だんだんと大きな成果をあげられるようになってきました。

そしてついには、Yahoo!広告の配信で月間全社1位を獲得するに至り、好調のまま2年目を迎えます。

このタイミングで、また1つ私に転機が訪れました。それは、今まで一緒に仕事をしていた大先輩の営業担当の転職です。

すぐに新しい方が配属されましたが、お客様とのこれまでの経緯は私のほうが詳しかったため、営業の部分でもサポートをするようになりました。

こうして営業に積極的に関わるようになると、お客様とのコミュニケーションも取りやすくなります。すると、さらに業務がうまく回るようになって、より仕事が楽しくなってきました。

入社してから1年間はとても大変な思いをしましたが、その経験こそが仕事を楽しくしたのだとわかったとき「がむしゃらに頑張るのも大切なんだ」と身にしみて感じました。

この頃から自分なりに業務効率化を進めていった結果、どんどん残業時間が減っていき、2年目の8月にして、忙しくなった1年目の7月以来初めての定時帰りを達成します。

その日、会社から出て空を見上げると、浮かんでいたのは真っ赤な夕陽でした。


きれいな景色に心を奪われ、「明るい時間帯に退社できるまで仕事を改善できた!」と感動したことをよく覚えています。

早い時間に退社すると、家でゆっくりと過ごす時間も増えるものです。こうなると体力面・精神面ともに余裕が生まれ、さらに仕事の調子も良くなります。

良いサイクルができあがり「仕事は楽しく残業は少ない」という理想的な時間を過ごしました。

忙しい日々が戻ってきた!


しかし、そんな余裕のある会社員生活は、半年ほど経ったある日に突如幕を降ろします。

私の仕事ぶりから「リソースに余裕あり」と判断されて、突然担当が1社追加されたのです。

ここで担当することになった案件は今までより難易度が高く、自分の未熟さからお客様の要望に応えるためにたくさんの時間を要しました。

結局、以前のように残業が増えて、深夜帰りに逆戻り。

余裕がなくなるとミスが増えて、さらに仕事時間が長くなるという負のサイクルに陥りました。

この経験が、転職を考える大きなきっかけとなります。

「もっと自分で自由に裁量を持って、健康に仕事がしたい。けれど、そのためには“会社員”という雇用形態から卒業しないといけないのではないか。」

こう考えたとき、「退社」の2文字が私の頭にぼんやりと浮かび上がってきました。

“思い出の地”で一人合宿を開催


退社を考え始めた頃、ちょうど年末年始の休みに差しかかります。

「自分の今後について、一度じっくり考える時間が欲しい」と思っていた私は、この機会に“一人合宿”を開催することにしました。

周りに娯楽が少なくて、自分に向き合うことに集中できる良い場所はないか。

いろいろと探した後に合宿先として選んだのは、千葉県成田市にある成田ビューホテル(現 アートホテル成田)です。

実はこのホテル、現地に行ってはじめて気付きましたが、オプトの内定者研修会が開かれた場所でした。

結果的にここで退職を決意したので、オプトへの「入社」と「退社」は同じ場所で決めたことになります。

合宿の期間は3泊4日。

一人でホテルに閉じこもって考えたのは「入社してから今までどんなことがあったのか」「今後自分はどうしていきたいのか」、そしてそのうえで導き出される「自分のライフプラン」です。

ひたすらマインドマップとExcelに文字を打ち込みながら考えているなかで、私がオプトに入社したのは「25歳で起業するためのスキルを磨きたかったから」だと思い出しました。

起業のために必要なスキルとして、自分は今までの業務経験から何を得られたのだろう?

思い浮かんだのは、「市場価値の高い広告運用の知見」「マーケティングの知見」「ロジカルシンキング」「チームビルディング」でした。

そしたら、起業には他にどのようなスキルが必要になるのだろう?

ここで私がたどり着いたのが、中小企業の新規顧客を獲得するための「泥臭い営業力」です。

このスキルは、オプトにいたままでは身に付けづらいものでした。

というのも、オプトのような大手代理店では、新しい案件は基本的に紹介されたコンペで獲得します。

これは「大手の戦い方」であり、起業した際に必要となる「中小企業をターゲットにした営業」とはまったくの別物です。

起業を目指す私に必要なのは「電話などでアポを一生懸命獲得し、何度も会って商談を重ね、契約を結び、請求書をまとめ、その後も継続してもらう」ためのスキルでした。

そこで私は、中小企業に向けた営業力を身に付けられる企業への転職を決意します。

転職先として選んだ企業は……?


転職先の企業を選定するなかで、私が条件として考えていたのは以下の3つです。

  • 中小企業向けの営業力を磨ける
  • 残業が0~30時間以内
  • 自分の好きな商材を扱っている

まず1つ目の条件である「中小企業向けの営業力を磨ける」ことは、一人合宿をしてわかった「今の私に足りないスキル」を身に付けるためのものです。

転職をするうえで、この条件は絶対に欠かせませんでした。

次の「残業が0~30時間以内」という条件を立てたのは、オプトでの経験から体力的にも精神的にも余裕を持って働くことが、仕事の成果や自分の幸福につながると実感していたからです。

そして最後の「自分の好きな商材を扱っていること」は、オプトでさまざまな業界の企業をサポートしてきたなかで、興味のある商材ほど仕事が楽しく感じられたため条件の1つにしました。

以上の3条件を満たしている企業を探していて出会ったのが、サイバーエージェントグループの「株式会社ウエディングパーク」でした。

この会社は、同名の「ウエディングパーク」という結婚式場探しのサポートをするサービスを運営しています。

話を聞くと、これからWeb広告の部署を本格的に立ち上げるということで、私の知見を必要としてくれました。

ウエディングパークに心を惹かれつつあった私は、さっそく先に挙げた3つの条件を満たしているかチェックを開始します。

まず、Web広告の部署を新設するため、新規顧客を獲得する経験はたくさん積めそうです。

日本の結婚式場は過半数が中小企業だということを考えると、起業に必要な「中小向けの営業力」も磨けそうでした。

残業の実態についても、人事担当の方に20時頃のオフィスの様子を2回見せてもらったところ、その時間まで社内に残っている人はあまりいません。

さらに商材の面でも、実は私自身、新卒の頃にブライダル業界に興味を持ち、プラン・ドゥ・シー(結婚式場の大手)への就職を考えたことがあったくらいなので、楽しみながら仕事ができそうです。

人生観としても、元々はウォルト・ディズニーに憧れて新卒で志望したオリエンタルランドと今回転職を考えているウエディング業界は、「人の幸せに関わる」という点で共通していたため、相性も良いと感じてました。

「ウエディングパークは、転職の条件をすべて満たしていて、今まで自分が培ってきた運用型広告の知見も活かせそうだ」

このような考えから、他には楽天とLINEも選考に進んでいたのですが、最終的には転職先をウエディングパークに決めました。

オプトからの巣立ち


転職先の決まった私は、さっそくオプトを退職する旨を部長とリーダーへ伝えました。

そして、退職が決まってからは業務の引き継ぎが始まります。

私の後任となったのは中途採用で業界未経験の新入社員だったので、引き継ぎの際は前提知識が少なくても「どう伝えたら理解しやすいか」を考えました。

この作業は思いのほか楽しく、最後の最後に「自分は人に何かを教えたり、人材を育てたりすることが好きなんだ」と気付きます。

やっぱり自分は「経営者」に向いていそうです。

退職が迫ったある日、私の巣立ちを祝したセレモニーを開いていただきました。

そこには、今までお世話になった大勢の方々のお顔が。

迷惑ばかりかけましたが、最後にこれだけの人が集まってくれたことが、とてもうれしかったです。

オプトでの2年間は、楽しかった思い出ばかりではありません。むしろ大変だった思い出のほうが多いかもしれません。

それでも、優秀な方々のなかで揉まれて、仕事の基礎を叩き込んでもらえた経験は私の大きな財産です。

セレモニーでは、最初にお世話になったリーダーと営業の先輩からお手紙をいただきました。そこにはたくさんの思い出が詰まっていて、読んでいると自然と涙が溢れてきました。。。

そのときのお手紙は、今でも大事にしまってあります。

こうしてオプトを3月末に退職し、4月からウエディングパークに入社するのでした。

ちなみに、実はこの転職の合間に11日間のアメリカ一人旅をしており、そこで大きな気付きを得ています。

この話については、また次の記事で書きますね。

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