「"誰と、どこで、何をするか"を、もっと自由に。」をミッションにかかげ、企業のデジタルプロダクト開発支援を行う株式会社エルボーズは、2022年5月に「エクストリームフレックス制度」を導入しました。
導入発表後はその自由度の高い制度設計が話題となり、さまざまなメディアに掲載。そして2023年8月には、厚生労働省の「多様な働き方の実現応援サイト」で先進的な事例の一つとして取り上げられました。
ただ、この制度はエルボーズで働く正社員一人ひとりに「どう活用するか」が委ねられており、個々人の自発的な働き方の選択と責任が求められます。
導入から丸1年が経過。実際にどのように活用されているのか、制度の運用が上手くできているのかを確かめるため、社員への突撃インタビューを試みました。
小笠原 智さんの場合
ー週4勤務/週1絵描きという働き方。柔軟性高く両立できているー
◼︎プロフィール
2022年6月入社。開発マネジメントチームに所属し、社内の改善プロジェクトや採用、アサインなどを行う。
ーーこれまでの経歴を教えてください。
入社前は、Webデザイナーとしてガラケーサイトのデザインやコーディング、Webサイトやアプリのグラフィックデザイン、WordPressの構築などに携わっていました。
その後、Webディレクターとして転職し、公共事業や夏フェス、学校などのWebサイト制作を担当しています。
コロナ禍になったタイミングでフルリモートで働ける企業に転職し、PMとしてキャリアを積んできました。その頃から週4日制で働いています。
エルボーズに転職したきっかけは、先にエルボーズに入社していた前職の上司からの紹介です。
ーーなぜ週4日勤務をされているのですか?
週1日は絵描きとして活動しています。20代後半から始めたのですが、現在は展示会やコンペへの参加、ギャラリー兼ECサイトの運営など精力的に取り組んでいます。
エルボーズに入社する際も、選考時点の面談で週4日勤務を希望していることを伝えて、OKをもらいました。
ーーIT企業の正社員でありながら絵描きも!なかなか両立が難しそうな気もしますが、最初にエクストリームフレックス制度について知ったとき、どう思いましたか?
私が選考を受けている段階では導入について聞いていなかったので、入社後に驚きましたね(笑)。「じゃあ、週4日勤務にしなくてもよかった!?」とも最初は思いました。
ーー現在はどのように活用されていますか?
週4日勤務なので、月128時間(±16時間)が勤務時間です。
8〜17時を基本の勤務時間にしています。入社当初は+16時間以上のときもありましたが、今は勤務時間の超過は発生していないですね。採用のカジュアル面談も担当しており、19時以降の勤務もありますが、他の業務時間を調整し対応しています。
休みの日でも、隔週に1回の定例会には参加していますが(制度上も曜日の変更はOK)、休みは99%稼働していないですね。
ーー制度の良いところはどこですか?
-16時間(-20時間)が許容されている点です。特に、子育てをしている人などはフレキシブルに調整できるので助かっていると思います。また、休みを取らなくても勤務時間の超過分を充てることで、旅行に行くことも可能ですね。
私の場合は、絵描きとの両立がスムーズにできるほど柔軟性があります。
週1日だけでなく、働く時間を調整して勤務の日に絵描きの仕事を盛り込むことも可能です。1枚の絵を描くのに数時間はかかるので、集中して作業する時間を確保できることはありがたいです。まさにライフタイムフィットを実感していますね。
ーーたしかに作業に集中できる時間を作りやすいのは良いですね。ちなみに、上手く活用できなかった経験や大失敗はありますか?
あまりないですね。勤務時間は個人の管理だけでなく、会社としても勤怠管理システムを活用して進捗管理をしています。例えば、22時以降の深夜残業には事前申請が必要で、先月の勤務時間超過者には事前通告などでフォローしているので、全社的に上手く運用されていると思います。
エルボーズの正社員メンバー全員が副業をしていることも理由の一つかもしれませんね。個々人が時間の管理に対する意識が高いです。
ーー上手く制度を活用されているんですね。制度の改善点や要望はありますか?
基本的に今の制度で働きやすさをかなり感じています。
強いて言えば、現在は22〜5時が深夜残業扱いになるのですが、朝方(5時以前)もフレキシブルに動けると良いですね。
私の場合は特殊かもしれませんが、絵は日中に描いた方が色がよく見えてきれいに描けるんです。なので、早朝や夜間に仕事をすることができると絵描きとしては嬉しいですね(笑)。
ーーなるほど、絵描きならではの発想ですね!創作的な活動をされる方にとっても働きやすい制度ということが伝わりました。
植田 卓さんの場合
ー障害や病気を持つ人でも働きやすい、ワークライフバランスの究極形。ー
◼︎プロフィール
プレイングマネージャーとして、プロダクト全体の設計やタスク割り、チームメンバー管理や課題の解決、実装タスクなどを行う。また、エルボーズのスタイルにあった開発方式や技術などの検証も担当する。
ーーこれまでの経歴について教えてください。
以前は外資系のSlerに勤めていましたが、独立してフリーランスエンジニアとして活動していました。私はもともと聴覚障害を持っていたのですが、その影響で三半規管が麻痺し、外資系SIerでは働き続けられなくなってしまい……。
独立後のフリーランスの働き方は自分に合っていましたが、一方で安定して案件を受け続けることに難しさを感じていました。
ーーエルボーズに入社した経緯を教えてください。
X(Twitter)でたまたまエルボーズを見つけて「熊本に面白いことをやっている企業があるな!」と思ったのが最初の接点でした。
執行役員のばっきーさんをフォローしたのですが、とある日の障害者に関するツイートが目に留まって。それにリプライをしたところ、ばっきーさんからエンジニア採用に関するお話をもらったのが入社のきっかけです。
エルボーズが目指している柔軟な働き方は、私のような障害や病気の人でも働きやすいと感じていたんです。なので、私自身が働くだけでなく、より多くの人がエルボーズで働けるようにビジネスを成長させたい、と考えたことが入社を決めた理由ですね。
ーーエクストリームフレックスの導入を知ってどのように感じましたか?
「すげー会社だなー」って(笑)。自己管理が必要な部分が多いですが、それができる方なら、自分の力をより活かせる環境だと思います。
ーー現在、どのように制度を活用していますか?
基本的には7~12時と15~18時で勤務しています。ただ、体調が安定しないことも多いので、平日の業務を減らして土曜日も少し働くスタイルに変えることがありますね。
ーーご自身の体調に合わせてフレキシブルに働けているんですね。制度を活用する上で気をつけていることはありますか?
「いつでも、どこでも働ける」ことは強みですが、日本の労働規制の観点でいくつか注意しています。例えば、7日連続での勤務にならないようにすること。あとは、早朝(4時)や深夜(22時以降)は割増残業になるので極力避けるなどです。
ーー制度の良いところはどこですか?
平日に用事で遠方に移動が必要な場合でも、隙間時間に出先のコワーキングスペースや宿泊するホテルで業務ができるので、案件の開発スピードを落とさず仕事をしつつ、プライベートも楽しめることが良いですね。
ワークライフバランスの究極形の1つだと思っています。
ーー制度の活用は上手くできていますか?
かなり活用できていると思います(笑)。
---
正社員でありながら、自分なりの働き方を見つけたい人にはぴったりな制度
社員への突撃インタビューを通して、エクストリームフレックスの活用実態について迫ってみました。お二人とも、制度を上手く活用してそれぞれのライフスタイルに合わせた働き方をされています。
「絵描きとしてのキャリアを積みながら正社員として働く」「自身の体調に配慮しながら正社員としての働き方を選択できる」。エクストリームフレックスだからこそ実現できる働き方がそこにはありました。