海士町未来共創基金|note
海士町未来共創基金は、「人づくり」と「仕事づくり」の好循環をさらに促進するために、海士町へのふるさと納税を原資に、島の未来に繋がる事業へと投資・共創を行うために設置された基金です。https://ama-future.org/
https://note.com/ama_miraikyousou/
AMAホールディングス株式会社・代表取締役の大野佳祐です。こんにちは。
2023年4月に代表取締役になりました。
私たちAMAホールディングス株式会社は、島根県隠岐郡海士町(あまちょう)という本土から北に60km離れた人口2,300人の小さな島にあります。
「人口2,300人の小さな島で「挑戦」をつくる 〜前編〜」の記事では、AMAホールディングスがどのように立ち上がったのか紹介してきました。
後編では、「ふるさと納税」や「海士町未来共創基金」の仕組みを使ってAMAホールディングスが何を実現していきたいのかをお話します。
AMAホールディングスが海士町の「ふるさと納税」事業に乗り出し、結果的には、3年で600%成長の成果を得ることになりました。
成果を得て浮かび上がって来たのは「なぜ役場だけで、ふるさと納税の寄付額を増やすことができなかったのだろうか?」という問いでした。
そして、町との対話を重ねるうちに「単純に役場職員が多忙すぎることが要因だ」と結論づけるようになりました。
20年前から海士町は「公助」の力でまちづくりを先導してきました。危機を脱却するにはそうするしか方法がなかったとも言えます。町が構想し、役場職員が東奔西走して何とか形にしてきた。
もちろん、民間は民間で頑張っていたと思いますが、それでもここぞという資金調達は「公助」の力に頼ってきました。
そのツケが役場職員の負担増大という形になっていたように思います。
個人的にはこのふるさと納税の業務を通じて、「公助」をいかに「共助」に置き換えていくか、そしてより持続可能なまちづくりをするにはどうしたらいいのか、ということを考え始めました。
公が主導してもいいし、民間が主導してもいい。どちらが主導しても支え合える、小さなコミュニティだからこそできる海士町らしい「共助」の形があるのではないか。
今、AMAホールディングスは端的に言うと、いかにして共助で「挑戦する人」を増やし、その挑戦の力でいかにしてまちを前進させていくのかを探究しています。
公助と自助のベストミックスによる共助とは何か。
その仕組みをつくっていると言えるかもしれません。
じゃあ、そのために、具体的に何をやっているの?
聞かれることが増えてきました。
まず、海士町のふるさと納税を集める運営事務局として納税の寄付金額を増やす取り組みをしています。
次に、ふるさと納税で集めた資金の一部を、町が議会の承認を得た上で、一般社団法人海士町未来投資委員会に拠出します。これが「海士町未来共創基金」となって海士町で挑戦をしたい方・起業したい方の資金となります。
私たちは、少しでも挑戦のハードルが下がるよう挑戦が立ち上がるプロセスに伴走支援をしています。
資金が必要となる挑戦には、未来共創基金の他にも「ガバメント・クラウドファンディング」を活用するなど少しずつ伴走体制も整備しています。
また、挑戦者が新しいことに取り組む際、なかなか理解されないことがあります。最初は海のものとも山のものともわからないことも多くあります。
そんな時には「これからどんなことをしようとしているのか」を理解する機会が重要です。
なぜなら、理解されなければ応援されることはないからです。
私たちは、挑戦者と島に住む方々がお互いを理解し合う機会として「わがとこバスツアー」という企画を運営しています。
また、こうした一連の仕組みを日本全国に広げることで、とくに条件不利地の地域活性化につなげていくことを考慮し、海士町視察の研修プログラムも用意しています。
集める。寄り添う。機会をつくる。そして広げる。
書いてしまうと単純ですが、これが私たちが考える、共助で「挑戦する人」を増やし、その挑戦の力でまちを前進させていく仕組みです。
2024年春からは新たに事業を起こす人同士が応援し合えたり、気軽に悩みを相談し合えるコミュニティ「いぃだねっか倶楽部」を設立しました。そのコミュニティから新たな挑戦が生まれ、町や人々の困りごとを解決していくことにつながっていくと素敵だなぁと思っています。
これから私たちが目指すのは新しい産業の創出です。
私は、2023年に1年かけて日本の中でも ”元気がある地域” を訪問しました。それらの地域で共通していたのは、「おもしろい人たちが、その地域にあるものを生かして、徹底的に遊んでいる」ということでした。
あるものを生かす。「ないものはない」を掲げてきた海士町が視点を転換するポイントになるかもしれないと直感しました。
では、「ないものはない」海士町にあるものは何か。
それを改めて問うと私たちには「海」がありました。
長らくこの島に豊かさをもたらしてきた海を軸にした新しい産業をつくれないか。
島内だけで創ろうとするのでなく、これまで培ってきた関係人口や滞在人口の力を存分に活かして共創していくことはできないか。
これが私たちの新たな探究テーマです。
名付けて「シン・ブルーオーシャン戦略」。
本当に青い海を漁師さんや船乗りさんしか活用していない。まさにこの海こそが「ブルーオーシャン」ではないかと思っています。
たとえば海藻牧場をつくり、衰退してしまいそうな藻場を取り戻すことで町の脱炭素に貢献できないか。
島のオリジナル・ウイスキーを蒸留し、海洋熟成させたものを付加価値をつけた商品にできないか。
海の中に魚も人も集まる魚礁をつくることはできないか。
そしてそれらのプロセスに漁師さんに関わってもらうことで副収入にすることはできないか。
そんなことを妄想しながら、着実に形にしていけたらと思っています。
ビジネスをやればやるほど海の環境が再生していく「リジェネラティブ」な仕事を軸にできたら本望です。