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職場における「無礼さ」のコストは思った以上に高かった件

アドベントカレンダー21日目の記事を、エンジニアさんのNagamineさんに書いていただきました!
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以前、一社だけ暴言や罵倒が飛び交う会社で働いていた事があり、そんな時期に本屋でこの
『Think CIVILITY(シンク シビリティ) 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』という本を見つけて、読んでいたところ、とても印象に残った。そして思った、ああ、やはりこうした環境では人々の生産性は低下するし、健康も損なわれ、寿命も削る羽目になるのだと。観葉植物を沢山オフィスに置いて、生産性を上げようとしても、そうした無礼な環境はその効果を余裕で打ち消してしまうのだと。

著者のクリスティーン・ポラスは過去20年にわたり、世界中のあらゆる業種のあらゆる組織に属する何十万という人を対象に調査を実施してきた。結果、礼節の重要さに気づいたそうだ。ここで言う礼節は、堅苦しいマナーを守ると言うような類ではなく、他者へのリスペクトと言い換えてもいい。以下が著者が主張する、無礼な人がもたらす5つの費用だ。

1. 無礼な人は同僚の健康を害する。

テルアビブ大学のアリー・シロムらが、様々な職業の820人の大人を20年にわたり追跡調査した結果、勤務時間の長さ、仕事の負荷、与えられている権限、裁量の大きさなどは、直接寿命の長さには影響していなかった。重要だったのは、共に働く人たちの態度が協力的、友好的だったかどうかだった。また、職場に友好的でない人がいると、中年の場合、約2.4倍の人が死亡している。

2. 無礼な人は会社に損害をもたらす。

アメリカ心理学会(APA)の試算によれば、職場のストレスによってアメリカ経済にかかるコストは1年に5000億ドルにも上るという。仕事上のストレスで毎年多くの就業日が失われ、職場で発生する事故の60~80%はストレスが原因で、アメリカ人の通院の約80パーセント以上がストレスに関係していると言われる。

アメリカ国立労働安全衛生研究所の報告によると日々ストレスを感じながら仕事をしている労働者は、そうでない労働者に比べ、日々ストレスを感じながら仕事をしている労働者は、そうでない労働者に比べ、医療にかかるコストが46%高いと言う。そしてストレスの大きな原因となっているのが人間関係の問題である。

著者が同僚と共に、17の業界の800人の管理職、従業員を対象実施した調査では、職場で誰かから無礼な態度を取られている人について次のようなことが言えるわかった。

・48%の人が、仕事にかける労力を意図的に減らしている。

・47%の人が、仕事にかける時間を意図的に減らしている。

・38%の人が、仕事の質を意図的に下げている。

・80%の人が、無礼な態度を気に病んでしまい、そのせいで仕事に使うべき時間を奪われている。

・63%の人が、無礼な態度を取る人を避けるために仕事に使うべき時間を奪われている、そのせいで仕事に使うべき時間を奪われている。

・66%の人が、自分の業績は低下していると答えている。

・78%の人が、組織への忠誠心が低下したと答えている。

・12%の人が、他人の無礼な態度が原因で転職をした経験があると答えている。

・25%の人が、無礼な人にストレスを感じたせいで顧客への対応が悪くなることがあると答えている。

3. 無礼な人はまわりの思考能力を下げる。

・見ず知らずの人間に無礼名態度を取られた被験者はアナグラムの結果が61%低下した。

・大学生全般をとぼしめる発言を聞いたグループは、そうでないグループに比べ、アナグラムのテストの結果が33%も悪くなり、ブレーンストーミングでも思いつく創造的なアイディアの数が39%少なくなった。

・単に自分以外の人間への無礼名態度を目にしただけでも、アナグラムの成績は20%は低下し、ブレーンストーミングで思いつくアイデアの数も30%減ってしまった。

4. 無礼な人はまわりの認知能力を下げる。

・何人かがバスケットボールをしていて、途中ゴリラの着ぐるみを着たプレーヤーが通り過ぎる映像を見せ、プレーヤーが何度パスをするかを数えるような指示を、事前に無礼な態度を連想させる言葉を見ていた被験者と、中立的な言葉だけを見ていた被験者にしたところ、前者は後者の5倍、ゴリラを見逃していた。

・事前に無礼な態度を連想させる言葉を見ていた被験者に、コンピュータの画面に短時間映し出される文字を次々に見せ、それを記憶するように指示し、その後数学の問題を解かせて、先に見た文字を順に思い出すように言ったところ、記憶できる文字の数が17%、順に文字を思い出すテストの成績は86%低下し、数学の問題では43%もミスが増えた。

・破壊的な言動(他人を攻撃する、見下す、侮辱する、著しく礼を欠くような言動)が関係者にあった場合、その71%が何らかの医療ミスに結びつき、27%が患者が死亡する事態になった。

まとめ

これだけでも「無礼」な態度がどれほどの破壊的な影響をもたらすのかがお分かりいただけるかと思う。そして著者はこれらの態度を排除しても十分でないと言う。礼節のある人とみなされるためにはそれ以上のことが必要だと。その事に関してはまた次回(があったら)。


※参考書籍「ThinkCIVILITY(シンクシビリティ)「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である:クリスティーン・ポラス(著)

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