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システムのライフサイクルについて考える【Vol.01】

「システム開発」という仕事

仕事としてシステムを開発している我々は、常日頃「作る」事について考え、学習し、技術を磨き、それを生業としているわけですが、ITのシステムは、水道、電気、ガス、交通機関、建物などの社会インフラと同様、出来上がって運用されてこそ価値があるし、それを動かし続けることに従事している人たちもたくさんいます。

当然のことながらITのシステムも動かすためのメンテナンスが必要で、寿命もあります。そして、ITの技術やそれが扱うビジネス、提供するコンテンツの変化のスピードは早く、水道、電気、ガスなどのベーシックな社会インフラに比べてその寿命は短く、必要なメンテナンスも定形的なものだけには止まりません。このことは意外と認知されておらず、システムを作れば、あとはサーバー上で粛々と動き続けるものだと思っている人はたくさんいます。こうしたシステムのメンテナンスは誰がやっているかというと、もちろん大規模システムの場合はその専門職がいますし、システム保守専業の会社も存在します。しかし、小〜中規模のシステムとなると、誰も面倒をみていないものは沢山あります。こうしたシステムは、今や大量に存在し、そしてそれらはほとんどはインターネットに接続されているため、メンテナンスされないことによる危険性もあります。情報が漏洩する、サーバーが乗っ取られ改ざんされる、あるいは他の犯罪に使われるなど、目に見えないだけに気づかないうちに重大な事件、事故に繋がってしまう可能性があります。

メンテナンスされていないシステムで何か問題が発生した場合は、開発した人に連絡がいくということになりますが、それは、大概突発的で、しかも「緊急」とされることも多く、対応するためには当然進行中の仕事は中断します。加えて緊急ではない、あるいはシステムとは直接関係のない問い合わせにも対応しなければいけないこともあります。こうしたシステムのメンテナンス(あるいはそれに関連する作業)は、システム開発者の仕事の一部ですが、開発者が開発に集中できない要因にもなります。

システム開発という仕事には、こうした「開発ではない」ことに対応する時間が含まれており、このため本当に開発だけに集中できる時間はかなり削られていることもあります。

価値を生み出す

ITエンジニアの中でも、プログラマをはじめとする開発者は、製造業などと同様、インプットされたものから価値のあるものを作り出すのが仕事です。そうやって作り出されたものの価値はメンテナンスによって維持されます。保守されなければ、使われるうちに価値が徐々に減衰していくのは当たり前で、ましてやWEBサイト、WEBサービスとなると価値観の移り変わりが激しい領域なので、保守にとどまらず価値そのものの見直しもしなければ、あっという間に無価値化します。

現在のシステム開発において、スピードを重視しなければならないのは、あらゆることの予測不可能性が上がっており、時間とお金をかけて開発したものが世に出た時には無価値化していたということが、普通にあり得るからです。システムの企画から設計に至る前工程では主に機能に焦点が当てられるので、そのシステムが生み出す価値とそれを維持するための方法、価値の賞味期限を考慮することにはあまり時間を割きません。その結果世の中には、価値がほとんどなくなり、メンテナンスもされないゾンビ化したシステムが大量にあります。そうした、ゾンビシステムのためにお金を払い続けるのは無駄としか言いようがありません。作る技術はもちろん大切ですが、出来上がったものが有用な価値を提供し続けられることにもっと意識をさかなければ、その技術も無駄になるだけなのです。

残念ながら、「そのシステムが提供する価値とは何か?」というシンプルな問いにさえ答えられないことがありますが、そもそも「価値があるかないか」「あるとしたら誰にとってのどんな価値か」ということも、世に出して、運用していく中で探っていくべきです。価値は市場が評価するというわけですが、システムを作る場合、企画段階ではこの価値について評価できる人数は限られています。限られたその人たちの価値観が市場の価値観とどの程度マッチしているかを測るには、それを世に出してしまうことが最も有効です。事前のプロトタイピング、アンケートやインタビューなどによる調査、関係者による議論に時間をかけすぎても無駄という言説がこのところ出てきていますが、全くそうしたことをやらないとそもそもシステムは作れないし、かと言ってどの程度やればという適当という指標も存在しません。誰か(あるいは何か)が、その指標をずばっと出してくれるという期待は持たない方がよく、それは自分たちで探っていくいくしかありません。そのためには、システムのライフサイクルを意識して自分たちでそれをコントロールする必要があります。


次回は、そのシステムのライフサイクルについて考えてみたいと思います。

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