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三越伊勢丹におけるDevOpsと基幹モダナイズ-ITモダナイゼーション Summit 2022

2022年4月13-14日に開催されたITモダナイゼーション Summit 2022にて、弊社取締役の鈴木雄介が「三越伊勢丹の接客DXを支える「DevOps基盤」とは」というテーマで講演をしました。当日の資料は以下よりご参照ください。


はじめに

アイムデジタルラボでは三越伊勢丹の店頭における接客DXに取り組んでいます。接客とデジタルを組み合わせることで、以下のような新しい買い物体験がつくられます。

  • 百貨店にある沢山の商品の中から「予期せぬものに出会える」
  • 都合にあわせて「オンライン/オフラインが選択できる」
  • 接客カルテや購入データの蓄積によって「私を覚えていてくれる」

この例がアイムデジラボが開発する、3D計測を活用した靴のパーソナルフィッティングサービス「Your FIT 365」や、チャットやビデオ通話で接客を受けて商品が購入できる「三越伊勢丹リモートショッピングアプリ」です。

こうした接客DXの推進のために、DXの阻害要因になりがちな「調整ごと」を無くすために「DevOps基盤」と「ビジネスプラットフォーム」の2つの基盤を整備したのです。

「DevOps基盤」の整備

私たちはDevOpsへの取り組みの一歩として「開発チームがインフラ構築・運用作業をすること」を推進しています。従来、システム開発においてインフラや運用を構築しようとすると、開発チームはインフラ部門や運用監視部門に作業を依頼する必要がありました。このため時間がかかることがあります。
そこでインフラ構築や運用作業を全てツール化し、そのツールを開発チームが利用して作業を実施すればよい、と考えました。このツール群がDevOps基盤です。そして、これまで作業を行なっていたインフラチームや運用監視チームはDevOps基盤を作る側に回るのです。

開発チームがインフラ構築・運用作業を行うために、3つの作業をツール化しました。

インフラ作業では、IaC・コンテナ・マネージドサービスを導入しました。IaCツール(Terraform)を使うことでインフラ構築作業をコードで管理し、複数環境での自動構築や変更履歴管理が可能になりました。また、コンテナ化によってサーバー内のOSや実行環境もコードで管理できます。そして、マネージドサービスであるコンテナサーバレス(AWS ECSなど)で動かします。

ビルドとリリース作業では、CI/CDツール(Azure Pipelines/GitHub Actions/AWS CodePipeline)を導入することで、アプリケーションのビルトやデプロイに関する手順を自動化しました。そして、日中での無停止のリリースを可能としています。

運用監視作業では、クラウドサービスのマネージドサービスを積極的に使うことでインフラのメンテナンスが自動化されています。また、分散モニタリングサービス(New Relic)により、全てのサービスを統合して運用監視できるようになりました。

これらの方針を前提にシステム子会社である三越伊勢丹システムソリューションズがDevOps基盤の整備を行い、ガイドラインを策定しています。開発チームはガイドラインを参照しながら作業をしています。

DevOps基盤を整備したことにより効率が16倍になったと考えています。これまでであれば開発に1年かかっていた案件が3ヶ月で実現され(1/4に短縮)し、しかも、運用保守作業も削減されたことで保守工数は1/4になりました。つまり、16倍も効率的になったのです。

この取り組みでは開発チームの意識も大きく変化しました。インフラ作業や運用作業を他部署に依頼するのではなく、自分たちでやる。ただ手順に従って作業するのではなく、ガイドラインの枠組みのなかでやりたいことを試行錯誤する。そして、いままでの「当たり前」に頼るのではなく、イマドキのツールをいかに使いこなすかを考えるというようなことです。

「ビジネスプラットフォーム」を整備

DXサービスの開発では、他システム部門、特に基幹システムとの調整が欠かせません。基幹システムのデータを使おうとすると、システム連携に向けた項目・仕様・テスト・性能・障害などの問い合わせや確認が必要です。しかし、これを個別にやっていると時間がかかります。
そこで、基幹システムをプラットフォーム化してしまうことにしました。百貨店の基幹システムには、商品や会員といったマスターデータ、受発注・売上・在庫・ポイントなどのトランザクションデータ、認証・決済・受注・各種計算・出荷配送などの機能などがあります。こうしたデータや機能を一元的な基盤上で提供しようと考えたのです。これをビジネスプラットフォーム(略称BPF)と名付けました。

BPF自身もDevOps基盤の上に整備されています。これによってDXサービスが求める機能を、必要になったタイミングで用意することができるようになりました。こうすれば不必要なAPIを作らずに済むため、無駄な開発工数がかかりません。

また、基幹システムの機能拡張を行う場合に、基幹システムに手を入れず、非同期ストリーミング処理によってデータを横流しし、その先で機能を新規構築する手法を取り入れています。

さらに基幹システムのモダナイズにも取り組んでいます。「ストラングラーパターン」と呼ばれる、基幹システムと同じ機能をBPF上に構築し、段階的にすり替えていく手法です。たとえば商品在庫数計算に適用していますが、クラウドネイティブ化することで基幹システムよりも性能効率があがり、コストは下がるというメリットがあります。

まとめ

DX推進にあたっては、アジャイル開発のようにビジネスとITの関係を見直すことも重要ですが、DevOpsや基幹システムのモダナイズといったテーマも無視できません。アイムデジタルラボでは、アジャイル開発だけではなく、三越伊勢丹のシステム全体の効率化の支援もおこなっています。

そしてアイムデジタルラボでは、現在新しいチームメンバーを募集しています。一緒に接客DXを盛り上げてくださる方のご応募をお待ちしています。

このストーリーが気になったら、遊びに来てみませんか?
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