なにをやっているのか
家いちばではこのような物件を古民家と呼んでいます。
家いちばは不動産マッチングプラットフォームです
◆妄想広がる「面白い」不動産サイト◆
「家いちば」は不動産を直接売り買いする人のための掲示板サイトとして、2015年にスタートして以来、多くのメディアにも取り上げられた「これまでになかった」ユニークなサービスです。特に日本の「空き家問題」の解消につながると話題になり、「空き家問題の救世主」とも称されるほどです。サイトを見ると、空き家だけでなく、古民家や旅館、山まるごと、あるいは廃墟ビルや無人島まで「こんなものまで買っていいの?」という物件がずらりと並び、しかもこれらが割とリーズナブルな値段で売られていて、夢や妄想が広がるため、「読んでるだけでも面白い」とよく言われます。
家いちば
https://ieichiba.com/
◆ITビジネスでもリアルな要素たっぷり◆
そんな見ていて楽しいサイトですが、その本質は「セルフセル方式」と呼んでいる、売り手と買い手が直接商談を進められる仕組みにあります。いわば「不動産のメルカリ」と言えますが、不動産ならではの難しさやリスクなどもあるため、商談がまとまってからは家いちばの宅建士が物件調査から契約、引渡しまでをまとめるようになっている点が特徴で、セルフサービスとフルサービスのハイブリッドモデルとなっています。物件の調査で日々全国を駆け回っており、ITビジネスでありながら、リアルな要素がたっぷりです。
ビジネスモデル
https://ieichiba.com/feature
◆「空き家」をテーマにしたユニークなビジネスモデル◆
最近では、特にコロナ禍以降は「空き家」をテーマとした新ビジネスがかなり増えています。そのうちマッチングサイト系でも、家いちばのような「直接商談」方式を採用はひとつのトレンドとなっています。その中で、専門性を持ったスタッフによるサポートと完全に融合した形での価値提供ができているところが家いちばのユニークな点です。そこにこのビジネスの強みと差別化があり、難しさともなっています。競合他社にとって容易に模倣ができないビジネスモデルを構築してきました。表面だけのマッチングサイトではありません。他社が手を出しづらいような難しい物件、状況、プロセスにあえて挑戦しています。それは、それを避けていては、日本が抱える様々な建築や不動産、都市計画などの問題に太刀打ちできないからです。あえて手間をかけて取り組んでいます。
◆社会課題に挑戦し続けるビジネス◆
このように、挑戦をし続けるビジネスであり、頭を悩ませるような場面もしばしば起こりますが、そんな時は、これまで利用してくださった売主さんや買主さんの言葉にいつも励まされながらやっています。空き家や過疎の問題、耕作放棄地や所有者不明土地問題など、様々な社会問題と関わりながらも、ひとりひとりの売主さん買主さんの安堵や喜びを一緒に噛みしめ、やはりこういうひとつひとつの幸福感の追求にこそ、この仕事の意義を感じています。これまで全国600件の売買をとりまとめ、利用者は延べ4万人を超えました。しかし、国内にはまだ何百万戸という空き家があり、一方でそれを利用したい、活用したいとする買い手がたくさんいます。むしろ、物件が足りないくらいになっています。日本人のライフスタイルが急速に変化しています。その最前線にいるといつも実感します。そういうニーズにどんどん応えていけるように、規模の拡大も目指していきます。
なぜやるのか
昔の美しい集落
誰も住んでいない別荘
◆「もったいない」精神をもっと◆
「空き家問題」の解消につながるビジネスとして評判を広めてきた家いちばですが、その先にある本質的なテーマが「ストック活用」です。それは分かりやすく言えば、「今あるもので大事にする」というコンセプトです。日本には「もったいない」という言葉があり、それが今でも日本人の精神に根付いているもので、環境問題が叫ばれる昨今で世界的に評価されている素晴らしい精神のひとつとなっているほどですが、実はその日本でこと「建物」に関しては、もったいない精神が活かされていない現状があります。皆さんも日々、まだ使えそうな建物がどんどん取り壊されて、新しい建物が建てられる光景を身近で見ていることと思います。これは「スクラップアンドビルド」であり、ストック活用と反対のことが行われています。
コンセプト「今あるものを大切に」
https://ieichiba.com/however
◆増え続ける空き家◆
スクラップアンドビルドは、深刻な住宅不足であった高度成長期には必要不可欠で、建物を高層化して旺盛な住宅需要に応えていくことが国策として急務でした。しかし、今では時代はとっくに変わっていて、人口も減少傾向に移り、住宅ストックも十分に有り余っています。その証拠に、住宅の800万戸が空き家となっていて、これが総住戸数の13%にも上ります。一軒家に限っても、7軒に1軒が空き家という状況です。にも関わらず、一方で新築住宅の供給が止まらず、毎年80万戸ほどの住宅が新しく建てられています。人口は減っているわけなので、これでは、増々空き家が増えていく一方です。
◆日本経済や地域への影響◆
増殖していく空き家の存在は、直接的にはその所有者の抱える問題ではありますが、間接的に日本全体の経済に悪影響を及ぼしています。現在広がっている空き家は、今の若い世代から見ると、その親か祖父母が大金をはたいて買うか建てるかしたものです。それらが「資産」として残っていれば、それを引き継ぐ子供の世代の家計に大きく貢献したでしょう。しかし現実にはそうなっておらず、空き家となって無価値のまま放置されています。田舎から都会に引っ越してしまったなどの事情はあるかもしれませんが、もし、親の世代の住居をその子供らが引き継げれば、住宅ローンにしろ賃貸の家賃にしろ、余計な出費がなくなり、生活がかなり楽になるはずです。出費が多いから、可処分所得が下がり、消費にお金が回りません。こういうことが、日本全国で行われているため、日本全体の経済力を弱くしている原因のひとつとなっています。この流れを変えていかないと、日本人はどんどん貧しくなっていってしまいます。
◆家いちばで見えてくる「明るい兆し」◆
さらには、空き家の存在が、地域の衰退に拍車をかけます。空き家や空き店舗が増えると、町に活気がなくなるばかりか、治安面の悪化も懸念されます。それが続くと、増々人が来なくなり、さらに人口が減るという悪循環に陥ります。日本中のほとんどの地方都市がまさしく今、この問題に直面しています。もう手遅れになっているところもあります。しかし幸いに、家いちばでの人々の行動から、明るい兆しも見えています。二拠点居住などを志向する新しいライフスタイルが急速に広がっています。背景として、交通網、物流網、インターネット網などの普及が日本の隅々まで行き渡り、それらの恩恵を時代の流れに敏感な人たちが先行して享受しています。そんな田舎の物件が飛ぶように売れています。この事実は驚くばかりです。
こんな風につかってます
https://ieichiba.com/thanks-letter
◆障壁を乗り越え、新しい未来を◆
そういう状況だから、もう「空き家問題はすでに解決した」と言えます。売りたい人、買いたい人のニーズの存在は明確です。しかし、それを阻む障壁がまだたくさんあります。例えば、農地法のように、田畑付きの古民家などの売買を厳しく制限する法律もあるし、登記制度の不備で、過去の古い権利関係が解消されずにずっと残っていたりすることもあり、購入者を躊躇ってしまう要因となっています。また、買った後にリノベーションなどを施そうとすると、都市計画法や建築基準法などの規制によって自由にできないというケースもあります。国民のために作られた法律と言えども、それが別の新たな問題を引き起こしているとすれば、見直しも必要でしょう。家いちばでは、知恵や仕組みやITを駆使して、民間企業としてやれることをどんどんやっていく考えです。実際に、「家いちば」という革命を起こし、空き家の流れを変えてきました。これからも、新しいことに次々と挑戦していくし、もしそこで力になれる仲間がいれば、ぜひ一緒に新しい未来を切り拓いていきましょう。
どうやっているのか
家いちばの利用者さんとの交流
船で現地調査へ
◆リモートワークで働く場所も時間さえも自由◆
家いちばが、不動産の商談をセルフサービスで行うという一風変わったサービスであり、それゆえに「利用者さんが主役」でもあるため、そこで安心で気持ちよくご利用いただけるように、「家いちば4原則」というものを定め、それを運営方針としています。4原則では、「自由取引」「自主自立の精神」「公平公正」「安心安全のためのルール」を掲げています。これらは、利用者さんにとっての行動指針でありますが、同じ思想が、ほぼそのまま家いちばで働く人たちにも投影されています。例えば、オールリモートワークの環境で、働く場所も時間さえも自由となっていたり、その代わり、自分で時間の管理をしっかり行うなどの自立心が不可欠です。組織的にも重層的でなくフラットな形として、指導役の「トレーナー」を案件ごとに交代するなど、教え学びあう社風を心がけています。勤務形態もフレキシブルで、正社員だけでなく、パートタイムや業務委託など、さまざま形態のメンバーが入り混じって在籍していますが、能力に応じて公平に評価される組織制度となっています。
家いちば4原則
https://ieichiba.com/system
◆顧客の自由なライフスタイルに影響され◆
そのような組織のあり方をしている根底として、常に顧客の視点に立って考えることと、顧客との「対等関係」を意識することの両方の思想があります。元々、家いちばをスタートした時から、ここで不動産を売り買いする利用者さんの自由さと主体性に大きく刺激を受けながら、仕組みを構築していきました。特に、買い手さんの自由な発想、通常であればお荷物とされるようなボロボロの空き家にも様々な活用方法があることに気づかされました。そんな空き家を遊びの拠点のように使う人、仕事や暮らしの場として二拠点目、三拠点目と全国を股にかけて生活される方も少なくなく、とても自由なライフスタイルです。その影響から、自分たちもひとつの場所に縛られない働き方があってもいいという考えに至りました。
◆全国を駆け回り、日本の将来を考える◆
それが、創業当初からのリモートワーク体制が、組織が大きくなった今でも変わらず続いている理由のひとつです。むしろそれを楽しんでしまおうと、物件の調査などで全国を飛び回り、過疎の山奥や離島、小さな農村や漁村、決して観光地でもない無名の町や村に訪れて仕事をし、地元の美味しい料理もついでに味わい、そしてなにより、そこで生まれ育った売主さんやそのご家族との触れ合いなど、これらがひとつひとつ良き思い出であり、あわせて日本の将来を考えるヒントになったり、ほかでは得られない貴重な経験をさせていただいております。そうやって、売主さんや買主さんと同じ目線で感じ、共感する日々です。空き家の売買で社会問題を解決していくことへの貢献の思いは、利用者さんらも同じで、その点でとても一体感を感じる時もあります。中には、家いちばの仕組みに共感をして、「家いちばで働きたい」と希望される売主さん買主さんもいます。
◆共感から生まれた独自の社風◆
このような独自の社風が築かれるに至った経緯が書かれた書籍『空き家幸福論』があり、家いちばの売買事例やビジネスモデルの説明と合わせて、家いちばの創業プロセスも詳細に描かれてあり、コロナ禍の2020年に藤木代表が執筆したものです。現在籍メンバーのほとんどが、この本を読んで共感して採用応募してきています。その後、社内でクレド(私たちの信条)を定め、行動規範として明文化されています。その中のいくつかを紹介すると、お客さんには「へりくだり過ぎない」や「言いなりにならない」などの少し変わった規定もあるなど、独自性を前面に出したものです。「他社のサービスを安易に模倣しない」とも戒めてあります。こういったものが、メンバーひとりひとりのDNAとなって、今後も受け継がれていくことでしょう。
『空き家幸福論』(日経BP社 藤木哲也著)
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