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【特集SHARPのリーダーたちに聞く】~IT部門データセンター推進編~データセンター立ち上げから7年。大きな変革の中、さらに未知の領域へ!目指すはDC・サーバ運用の完全自動化

シャープは数年前より、“全社システムを内製化する”という一大プロジェクトを推し進めています。そのベースとなるのが、自社で運営するデータセンター。今回、データセンター推進グループの部長を務める森下さんに、その役割やセンターの未来像などについて聞きました。

【第1章:全社サーバーの移設、運用内製化を完遂!】外部依存からの脱却に成功

2017年、シャープは関西にデータセンターを立ち上げ、それまで外部委託して運用していたサーバーを移設・内製化するという、一大プロジェクトをスタートさせました。これはシャープの“IT構造改革”で、外部に依存していたITシステムの業務全般、設計・開発から構築、運用・保守までを内製化することでコスト最適化を図ることです。この内製化はコスト以外にも、社内の技術力を押し上げる狙いもありました。シャープのITとして大きな方向転換であり、社運をかけた大改革。そのなかでも一番のベースとなるプロジェクトがデータセンターの内製化でした。

プロジェクトのリーダーを任されたのはIT部門ではなく、入社以来、商品開発や研究開発部門にいた私でした。当時はAIoTスマート家電向けのクラウドサービス開発に携わっていました。このプロジェクトは3つのフェーズがあり、第1フェーズは「データセンターの立ち上げ、サーバー仮想基盤の構築」、第2フェーズは「外部クラウドからのサーバーの移設」、そして第3フェーズは「業務系基幹システムの移設・運用内製化」でした。

第1フェーズ「データセンターの立ち上げ、サーバー仮想基盤の構築」ではデータセンターやサーバーといった物理的な設備の導入設置と、サーバー仮想化基盤などソフトウェアの整備をしなくてはなりません。これまでクラウドを利用していた立場から提供する立場になったわけです。最初は何も分からない素人、データセンター内製化とは何をしていいのやら、という状態でした。データセンター・仮想基盤について様々な知識を吸収する日々。台湾の鴻海メンバーからもサポートをもらいながら、ホワイトボックスサーバー上にオープンソースの仮想基盤を構築。最初は10台程度のミニマム構成ながら、本格始動してから3か月たたずのうちに、何とか立ち上げることができました。色々な事がもの凄いスピード感で進んだ。いま振り返ると多少の無茶はあったかなかもしれないですが、無我夢中だったのでしょう。

第2フェーズの「外部クラウドからのサーバーの移設」。サーバー基盤の準備ができたら次は使ってもらわないといけません。AWSなどの外部クラウドで稼働するサーバーの移設を進めることになります。ただ、出来立てほやほやのデータセンター基盤に対して、不安が全く無いわけがありません。まわりからも「大丈夫なのか?」という意見は多々ありました。現場では予想に反せず課題やトラブルは積み上がったわけですが、ひとつひとつを潰していくしかない。そこは、もともと開発畑にいたエンジニアの私として「技術の問題は解決できる」、そういった課題こそが醍醐味だと思っているんです。オープンソースを使って大規模なサーバー基盤を作るということ自体に面白さ、やりがいを感じていました。移設プロジェクトに難色を示すメンバーもいたり、衝突もあったりするわけですが、それぞれ説明、調整をしていきました。移設を進める中で苦労は山ほどありましたが、内製化をすることでベンダー提案丸呑みのアプライアンス構成でなく、オープンソースを活用するケースも増え、IT全体の技術力もグッと高まったと思います。

第3フェーズは「業務基幹システムの移設・運用内製化」。これは長きに渡る内製化プロジェクトの最後の大きな山。業務系基幹システムのサーバーを移設するだけでなく、運用業務も外部業者からすべて移管する必要がありました。これまで基幹システム運用はアウトソーシングされ、外部への依存が非常に多く、運用業務の中身を十分に把握できていませんでした。そういった状態から、ひとつひとつを精査、無駄なものを排除し、IT全般統制も含めた運用基準を策定、基盤や共通システムを増強、また体制も整備しながら、当初の計画どおり、2023年3月に移設プロジェクトを完了することができました。


【新たに始まる第2章:その1】7年間でサーバー規模は40倍に。次に目指すは、完全自動化!

このプロジェクト、サーバー移設・内製化で大きく貢献してくれたのは、プロジェクト立ち上げ時からキャリア採用で迎えた経験豊富なインフラエンジニアの方々です。データセンター経験者が居ないと実現できるものではありません。開設当初はセンター内にわずか数ラックでしたが増床・増設を経て、現在は約40倍のサーバー規模まで増加。データセンターが大きくなる中、若手エンジニアも着実に成長し、今ではほぼ全てのサーバーを自社で運用できるまでになっています。

「内製化」という目標はクリアしたわけですが、運用管理するサーバー数が数千台を超え、それに伴って増えた業務負荷が課題となっております。そこで目指しているのは運用の完全自動化!インフラエンジニアの業務につきもののトラブル対応。平日であってもトラブルは避けたいですが、深夜休日にもトラブル対応に入ることがあります。トラブル要因は様々ですが、こういったトラブル対応を無くしたい。運用負荷の削減もありますが、何より品質改善が必要です。自動化に関しては最近、各種自動化のツールやソリューションが出てきていますが、現場レベルでいうと、世界中どこも未だ実現できているところはないんじゃないでしょうか。DevOpsやSREといったキーワードで運用業務への取り組み方も変化してきており、私たちもどこまで自動化できるのか、AIの活用も含めて挑んでいきたいと思います。

シャープのデータセンターで働くメンバーには、手順書を作って作業する、といった従来型の“運用”で留まらず、その先、ツール化による運用の効率化・自動化を期待します。日々のSE業務自動化はもちろんのこと、システム障害を起こさないための仕組み、そしてシステム障害が起きた時に迅速に復旧する仕組みをつくる、そういった改善意識の高いSREチームを目指したいと思います。今のところ、若手エンジニアを中心に取り組んでいますが、キャリア採用で迎える方には、そのプロジェクトを牽引するリーダーとして活躍していただきたい。


【新たに始まる第2章:その2】データセンターの東西広域冗長化、ハイブリッド化 

サーバーインフラのトレンドはクラウドが中心であって、AWSやGoogle、Azureなどのパブリッククラウドをお使いの方も多いでしょう。実は、シャープはオンプレ⇒クラウド⇒オンプレ、一周して戻ってきた状態ですが、内製化のフェーズが終わった今は、BCP対策をテーマに掲げております。現在、東西データセンター、オンプレでの広域冗長化、更にパブリッククラウドを組み合わせた「ハイブリッドクラウド基盤」を構築するプロジェクトを推進中です。オンプレ、クラウドのそれぞれに利点はあると思いますが、オンプレ、クラウドのどちらか一方ではなくハイブリッドで良いところ取りをして最適化する。東西データセンター、クラウド3つでのハイブリッド化することで、シャープの社内システムから社外サービスまで、多種多様な要件に応えることができます。今回の基盤刷新に際して、私たちの部門はサーバーインフラ部門として、システムのハイブリッド化、BCP対策を含めたサポートをシャープ全社に提供、シャープの事業に貢献したいと思っています。

最近はAWSなどのパブリッククラウドに特化したスキルアップ、キャリアプランを描く方が多いようにも思います。けれど、パブリッククラウドと自社内製のオンプレサーバーを組み合わせ、さまざまなシステムの要件にあわせてどう設計するか、またどういう運用にしていくのかを考えるのは、かなり面白い。チャレンジしてみる価値は大いにあると思います。広域冗長・ハイブリッドクラウドの基盤立ち上げから業務システムのBCP対策まで、幅広い領域で業務経験ができる、とても貴重な機会だと思います。


インフラエンジニアとして市場価値を高めていける好環境。向上心高く、好奇心旺盛なエンジニアを迎えたい!

運用自動化・ハイブリッドクラウド化を目指すデータセンター。インフラエンジニアは幅広くかつ深い知識を身につける必要があり、最新技術もキャッチアップしなくてはいけません。知識は座学で身に付きますが、実際の技術スキルは経験が伴わないと身に付きません。私たちのデータセンターではオンプレ、クラウド、いろいろな環境に携わることができるので、本物の技術スキルを見に付けることができる、これは大きな魅力です。業務はサーバーインフラ領域だけではありません。私たちDC推進グループは、本社組織であるITソリューション推進部の一員。IT部門の他のグループ、たとえばERP推進やDX推進などと連携して行うプロジェクトも多々ありますので、サーバー以外の業務領域に携わることも可能です。向上心が高く、好奇心旺盛なエンジニアであってほしい。基幹システム等アプリケーション領域、あるいは社内ネットワークやPC管理等々、テクニカルなスキルはもちろんのこと、IT部門エンジニアとして会社の仕組み、さまざまな業務経験を積むことができるでしょう。「IT部門として、会社、全社員にどういった貢献ができるのか」と広い視点を持てるITエンジニアを目指して欲しい。

また、IT部門ではシステムの新規導入、統合や刷新等、複数の様々な“プロジェクト”が推進されていることも、魅力のひとつです。エンジニアと別に、プロジェクトマネージャーとしての立ち居振る舞いなども学んでいける。部門単位のプロジェクトから関係部門との連携が必要なものなど、様々な経験を積みながら、ゆくゆくはITソリューション推進部全体や全社規模のプロジェクトを動かせる人材になっていただきたいと思いますね。そこを目指してキャリアアップができる環境が、ここにはあります。

提案すればカタチにできる。大企業らしからぬ柔軟さが魅力

シャープはチャレンジするという点でとても面白い会社だと思います。もともと、まだこの世にない斬新な商品を生み出すのが得意な会社。私自身、商品開発や研究開発部門に在籍していた頃、新しい事業・新しいジャンルの商品開発をするための「緊急プロジェクト」に参画していた時期があります。世の中にまだないような商品、最新技術を取り込んだ商品、エンジニアの領域に限らず企画の視点が必要だったり、他社ではやらせてもらえないような経験をさせてもらいました。全社で新しいビジネスを生みだそうと考えていて、作りたいものを実現するチャンスをくれる会社だと思います。

現在、全社員からの事業提案を募集しています。今、シャープは従来の家電メーカーから脱却しようとしています。ハード・ソフト・サービスを融合させた商品やソリューションを世の中に提供する企業に変革しており、世の中もシャープもこれからまだまだ変わり続けます。そのなかで、私たちのデータセンター・サーバーも大きく貢献できると思っています。もちろんデータセンターも私たち一人一人も、ビジネスや技術のトレンドが変わる中でどんどん進化していく。ITの領域に限らずとも、いろんなことに興味をもって取り組める方であれば、必ず面白い仕事ができるはずです。新しい挑戦をしていくためのさまざまなチャンスがあります。シャープの変革を支えるため、データセンターのハイブリッドクラウド化、そして運用の完全自動化を実現させましょう!

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