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検証フェーズは終わり、Co-LABO MAKERが目指す研究開発現場のアップデートとは

日本の研究開発現場のアップデートを目指す株式会社Co-LABO MAKER。研究開発実験のシェアリングサービス、LaaS(Lab as a Service)という概念を広めて、日本の様々な大学や研究機関をつなぎ、イノベーションを起こそうとしています。代表取締役の古谷優貴さんとCOOの杉ノ内萌さんに今のCo-LABO MAKERの実情と、抱えている課題について聞きました。

古谷優貴(ふるや ゆうき)
株式会社Co-LABO MAKER 代表取締役 / 株式会社C&A 主任研究員 / 東北大学工学研究科博士課程/東北大学特任准教授(客員)。
大学ではシンチレータ(放射線検出用結晶材料)を研究した修士の2年間で、査読つき主著論文8本執筆(他に特許5本、国内外学会発表・共著論文多数)。2011年より昭和電工株式会社にて、パワー半導体結晶(SiC)の研究開発・事業立ち上げに従事。第2回MVPアワードにて最優秀賞を獲得。趣味は釣り。

杉ノ内萌(すぎのうち もね)
早稲田大学卒業、名古屋大学大学院数学専攻中退。AI教育を普及させる東大発ベンチャー、株式会社Aidemyでの事業開発を行い急拡大フェーズを経験。東急不動産ホールディングス株式会社の新規事業の立ち上げ・プロジェクト・マネジャーを経験した後、2021年より株式会社Co-LABO MAKERに参画。業務改善と資金調達をリードし、現在は組織拡大に伴って採用活動に奮闘中。スタートアップの「1→10」を作り上げることが強み。

――古谷さんから見た杉ノ内さんに最初に会ったときの印象ってどうだったのか、覚えていますか?

古谷:杉ノ内さんが入ってくれたのは2021年の秋頃です。それまでも学生インターンやエンジニアなど手伝ってくれる方はいたのですが、働き始めてすぐ「この人は違うな」という感覚を持っていましたね。馬力が違うし、ロジカルだし、視点も違う。ちゃんとCo-LABO MAKERの理念もわかった上で動いてくれて、現場にいるというよりも、経営に引き上げた方がいいと思い、COOの役職をお願いしました。

検証フェーズが終わり、よりオペレーションを改善していくフェーズへ

――今のお二人の役割分担はどのようになっているのでしょうか?

古谷:Co-LABO MAKERはいわゆるスタートアップ初期に行うべきPMFまでの検証フェーズは終わっています。また、事業がサクセスするためのストーリーも見えています。ありがたいことに毎日少なくとも5件、多ければ10件ほど問い合わせが来ている状況です。

ただ、オペレーションの構築はまだまだ未熟な部分も否めないのが実情ですから、社内は忙しいけれどいろいろな観点から見直しが必要です。私はこれまで新規顧客開拓や新サービス開発を行ってきましたが、さらに開発が必要なところを伸ばすのが私の役割かなと思っています。

杉ノ内:私は2022年後半からは主にラボの調達部門を立ち上げ、サプライチェーン構築を行ってきました。今後は、売上の管理や営業の効率化も担っていきたいと考えています。

直近ではシステム面での改善案件も多いです。また、受注をしやすくするために「安全面を高めるために規約を改善した方がいい」や「購買のプロセスをシステマチックにしたい」「WEBサイトの検索性が悪いから直したい」などの課題があります。まだ、事業は未熟なので常に課題はでてきます。

「LaaS」「ラボシェア」という常識を作り出す

――お二人からみて、この事業のやりがいについて教えてください。

古谷これまで実験室や施設はあくまでコストセンターで売り物ではなかったんですよね。「ラボのシェアリング」という概念がなかった。ですから、関連する方々には「LaaS」という共通認識はないんですよね。むしろ、これからCo-LABO MAKERが「LaaSで、これからラボはシェアする時代です!」と“常識”を作り上げるフェーズなんです。一旦仮に設定して、すでに関係するステークホルダー同士にはある程度幸せな状態が作れていますが……。今は100点満点中50点くらいだと思っています。

杉ノ内:いくつかの大学の研究室で年間数千万円の研究費にコミットしていたり、小さな企業で資産数億円の機材を購入し、数千万円の売上にCo-LABO MAKERがコミットする事例もできていたりします。あとはX線を使用するので技術職員さんが付いていないと稼働できない装置や、オートサンプラーがない装置、保有している研究室の先生は自分の研究で回っていない場合などは、Co-LABO MAKERが入れば先生は指示だけ出して技術職員さんが研究を回すというパターンができるようになります。研究力バリューで外貨を稼ぎ、人員・装置もバージョンアップして、もともとの先生の研究もレベルアップできる。そんな未来が現実になってきました。

古谷:私立大学の小規模な研究室には、予算が少なくて試薬や消耗品を買うための資産がないので、装置を十分に稼働できないという例もあったりします。そこをCo-LABO MAKERを通じて予算を持って回るようになれば、もちろん研究成果にもですし、教育面でも非常にインパクトがあります。これを回し続ければ、日本の研究のレベルアップにも繋がります。すでに、Co-LABO MAKERきっかけで論文が何本書けたという事例も多くあります。

さらに言えば、研究開発のスタイルがもともとのウォータフォール型からアジャイル型になり、すぐに足りない資材は調達できて実験を試すことができ、その結果を次のフィードバックに載せて論文を書き……という私自身が経験した成功体験 が当たり前の状態になることを目指していきたいと思っています。

杉ノ内:業界が研究のアジャイル化に困っているのは私も感じています。SGDsに根ざした環境課題もあるので、既存の材料はリプレースしなきゃいけない状況になっています。また、医療の問題も人が長寿になったので、寿命を伸ばすだけでなくクオリティ・オブ・ライフを高める医療やライフサイエンスにも注目が集まってより難易度は増しています。そのなかでは、海外は非常にスピードが早い。新型コロナウイルスのワクチンを思い出してもらえればですが、ファイザーやモデルナといった製薬会社を有するアメリカは非常に早く動けており、日本はひたすら買うことしかできなかった。それを変えていきたいですね。

古谷:また、装置の遠隔操作も増えています。東京に居ながら、北海道や沖縄の研究施設を機械作業ロボットが入って動かすことができるようになる。すると、最先端の研究プロジェクトを回しながら、地方の地域活性化にも貢献ができます。

大企業“だけ”では解けない、構造を変えていく

――これからのCo-LABO MAKERの展望についても教えてください。

古谷:本来の日本は2000年代から2010年代かけて製造業からピボットしなければいけなかった。しかし、できなかったという課題感があります。テレビの液晶や半導体などがそれにあたるでしょうか。過去の栄光にすがっていたと思います。これは日本の大企業の課題ではあるのですが……。大企業が1社だけでは解決できない構造的な課題だと思います。広く横断的に考えて動いていくことが必要です。

杉ノ内:直近では、四半期ごとに5大学ずつほどCo-LABO MAKER利用大学が増えていくといいなと思っています。3~4年後には全国100大学と連携している状況になればいいいと思います。全国800大学ありますから、それを繋げていきたいですね。

また、大学の研究室発のベンチャー企業も非常に増えています。バイオベンチャーも多く資金力がある。新薬を創造するための大学ベンチャーが病院の施設を借りて……といったことも今は話し合って動いていたりします。

古谷:今、日本に残っている課題は簡単に解決できない難しいモノばかりです。でも、それを変えていかないと日本の未来はない。そこを立ち回っているのがCo-LABO MAKERです。すでにCo-LABO MAKERがあることで価値は非常に提供できていて、毎日いろんな会社さまや大学の研究室から感謝されています。これは嬉しいですね。ぜひ、気になる方はメッセージを下さい。お待ちしています。

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