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「進化していけるブランドでありたい」 - BAKE INC.の新ブランド「架空のパティスリー しろいし洋菓子店」開発の裏話(後編)

BAKE INC.(以下、「BAKE」)は2023年10月10日に新ブランド「架空のパティスリー しろいし洋菓子店」を発表し、10月12日より販売開始いたしました。

後編では「しろいし洋菓子店」のテーマである「没入感」を表現するクリエイティブ、そしてこだわり抜いた商品開発について聞きました。

没入感を表現するクリエイティブとは

― 続いてクリエイティブについて教えてください。クッキー缶のデザインが特徴的だなと思ったのですが。

山田:蓋を開けたときに、とにかく驚きのあるクッキー缶にしたくて、まずはクッキーの形からデザインを始めました。ブランドコンセプトにある「没入」を演出するために、「遠近感」と「連続性」のある形を追求した結果、中心に渦を巻いていくような形に仕上がっています。

缶のグラフィックは、クッキー型の設計図をさらに抽象的にグラフィックとして展開することで、どんな中身になっているのか、連想させるような役割になったらいいなと思ってデザインしました。ロゴやパッケージのデザインだけではなくお菓子の形までデザインできるのはBAKEならではだなと感じましたね!

― ブランドカラーについても教えてください。

山田:ブランドカラーはインディゴブルー、オレンジ、グレーベージュの3色です。

インディゴブルーには「没入」に通じる瞑想や集中、オレンジにはパティシエが愛情を持って手作りするパッション、グレーベージュには北海道素材の持つ優しさといった意味を込めて設定しています。


― ブランドロゴは、童話のタイトルに使われていそうなフォントだなと感じました!

山田:そうですね!一見クラシカルな印象を持たせながら、あえて細部にうねりやにじみのクセを感じるフォントを使いました。しろいし洋菓子店の持つ手作り感と、ちょっと不思議な世界観を表しています。

日本語のほうは「貂明朝(てんみんちょう)」というフォントを元にしているのですが、これは『鳥獣戯画』で描かれている小動物の姿にインスパイアされて作られたフォントなんです。「貂(てん)」というのはイタチの仲間で、北海道に生息している小動物です。そこも関連性があるなと思って採用しました!

思考錯誤を重ねた焼き菓子たち

― では続いて、商品について伺いたいと思います。「しろいし洋菓子店」のメイン商品はクッキー缶。ここ数年クッキー缶はブームとなっていますが、今からそこにチャレンジすることにリスクは感じなかったのでしょうか。

北村:クッキー缶だからリスクということは感じなかったです。自分たちがお菓子を通じてどのような価値を提供したいかが大切だと思いました。

コロナ禍でそれまで以上に自家需要が増えて、「セルフトリート(自分へのご褒美)」としてのお菓子が求められるようになりました。BAKEが掲げていた「1ブランド=1プロダクト」のブランド戦略ではお客さまは選ぶ楽しさを得られない。いくら好きなお菓子でも毎日は食べたくないなと。

それなら1つで色々な味を楽しめるクッキー缶、そしてこのブランド自体を焼き菓子を中心とした様々なお菓子が楽しめる架空のパティスリー業態にしようと決めました。


― さまざまな焼き菓子、それぞれの住人の ”推し” のお菓子たちですね。

北村:クッキー缶の1・2段目は「没入」を表現すべく、味や食感の異なる4種のクッキーがスパイラル型に敷き詰められています。3段目は一面に広がるフロランタン、そして4段目には雪が降り積もったあとの真っ白な世界を思わす口どけなめらかなブールドネージュ。

缶を開けたときの驚きや食べ進めていく楽しさを見た目からも味からも演出できるよう、植村さん・山田さんたちと試行錯誤を重ね「しろいし洋菓子店」のアートなクッキー缶が誕生しました。


― ではもう少し商品について深堀りさせてください。開発する中で苦労したポイントや推しポイントなどあれば教えてください!

植村:全商品について解説したいところですが、、いくつかピックアップしてお伝えします。笑

まずクッキー缶の1・2段目の「501号室 夜更かしのためのクッキー」は発酵バター、チョコ&カカオニブ、アールグレイ、アーモンドの4種類の商品があります。

チョコ&カカオニブは、ザクザクとしたクッキーとガリガリとしたカカオニブの食感を楽しんでいただけるかと思います!甘すぎずビター感も感じられ、個人的にクッキーの中では一番気に入っています!

アールグレイは製法にこだわっています。生クリームにアールグレイを煮出したものと、茶葉単体の2種類の入れ方をすることにより、味・香りの両方でアールグレイを感じられるように仕上げました!

フロランタンは、工程に本当に手間がかかっていて、実は一つ一つを手でカットしています。クッキー缶の中で最も大変な作業で、工場のメンバーが毎日頑張って作っています。

ブールドネージュは食感に驚いていただけると思います!一般的なブールドネージュはほろほろと崩れていく食感なのですが、「しろいし洋菓子店」のブールドネージュはほろほろ感に加え、まるで雪のように溶けていくような食感もあるんです。

ただ、そのため商品化するまでには苦労しました。オンラインで販売する商品となるため輸送テストを行うのですが、初回は全部割れてしまったんです。でも妥協はしたくなくて。何度も配合を変更し、テストを重ねて、口どけなめらかで割れにくいブールドネージュが完成しました。

北村:どの商品についても何度もテストを重ねて、ブラッシュアップさせていってくれました。

私がびっくりしたのはパウンドケーキです。パウンドケーキって割とパサパサした食感のものが多いと思うんですが「しろいし洋菓子店」のパウンドケーキはとてもしっとりしていて、まるでフィナンシェみたいだなと思っています。植村さんが今までに作ったお菓子の中で3本の指に入る自信作だそうなので、ぜひ食べてみてほしいです。

植村:自信作なのでぜひ!

山田:今回のブランドのコアのひとつは「北海道」だなって本当に感じます。北海道の原材料を使い、北海道工場のパティシエたちが丁寧に手仕事で作り上げるお菓子。実は「しろいし洋菓子店」の「しろいし」は、北海道工場の住所 “北海道札幌市白石区” からとってるんですよ。

北村:「しろいし洋菓子店」のお菓子はクラフト感、手仕事感を大事にしました。工場のラインで作られる大量生産のお菓子では作れない手の掛け方をしています。手にとったお客さまに食べることにも没頭していただける、「記憶に残るアートなお菓子」になったと思っています。

自分たちの可能性を信じたからこそ生まれたブランド

北村:OMOならではの楽しみ方という点についても考慮しました。

今回お話した「マンション・インディゴ」とその住人たちの詳しいストーリーはブランドサイトやSNSで詳しく見ることができるようになっています。お客さまにはオンラインで注文し手元に届いた商品と、オンライン上で繰り広げられるストーリーを一緒に楽しんでいただけます。

山田:ブランドサイトは訪れた人が「マンション・インディゴ」の世界に入り込めるよう、下から上へとページスクロールすることで、1階の『しろいし洋菓子店』から上の階の住人の部屋に上がっていく感覚を得られるような構成にしています。 ※ブランドサイトは後日アップデートされる予定です。

「マンション・インディゴ」やその住人を表したコラージュは、アーティストの Naoさんに作成していただいています。架空のパティスリーの世界観をいろんな形で楽しんでいただけたら嬉しいですね!

北村:「しろいし洋菓子店」はオンラインを基軸としたブランドではあるのですが、リアル店舗での販売も見据えています。そのときも「ただ店舗で商品を売る」ではなく「マンション・インディゴが現実世界にあらわれる」、そんな売り場にしたいと思っています。

オンラインでの販売開始に合わせて10月12日から全国のBAKE the SHOPでも「しろいし洋菓子店」の商品を販売しています。11月末までの予定ですので、ぜひ店舗にも足を運んでいただけたら嬉しいです。


― 最後にプロジェクトマネージャーの北村さんから、一言お願いします!

北村:創業からずっと「1ブランド=1プロダクト」の工房一体型の専門店業態で拡大してきた私たちにとって、オンラインのブランドを作るというのは大きなチャレンジでもありました。

でも、これまで私たちの強みであった「1ブランド=1プロダクト」が、逆に自分たちの可能性にキャップをかけてしまっているのではないかと思ったんです。もっと振り幅を出して、わくわくを提供できるブランドづくりをしたいなって。

キックオフで社長の山田も話していましたが、世の中は急速に変化していて予測することが難しくなっています。だから私たち自身も変わらなくてはいけないし、ブランドだって変わっていけることが求められていると感じます。

この時代に作ったブランドだからこそ、進化していける、アップデートさせていけるブランドにしたかったんです。お客さまに商品を、ストーリーを楽しんでいただけて、長く愛していただけるよう、生まれたばかりの新ブランドをこれからBAKEの仲間たちと一緒に大切に育てていきたいです。

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