「学チカ」という言葉があるように、誰にでも社会人になる前に力を入れてきたものがあるのではないでしょうか?
部活動、アルバイト、ゼミなど、今の仕事に繋がらないように思える経験でもビジネスに活きることは多いです。
この記事で紹介する田中 将太は、5歳から始めたサッカーに熱中し、一時期は選手を目指すまでに。20年以上たった今でも続けています。
そして、本気で打ち込む中で、周囲と関係性を築く力、定めた目標を達成する力、ビジョンで周囲を牽引する力、様々なスキルを得ることができたと言います。
その経験は社会人になってからも発揮され、
・2021年11月、コンサルタントとしてMVPを受賞
・2022年1月、マネジメントするメンバーがMVP、ユニットがMVGを受賞
・2022年2月、全社キックオフにて田中のプロジェクトが全社の顧客感動賞に選出
と、サービスチームのリーダーとしてマネジメントに従事しながら、プレーヤーとしても大きく活躍しています。
この記事では、そんな田中のサッカーの原体験に触れながら、高い成果を出すに至った背景や、チームの運営で心掛けていることを紹介していきます。
MVP:月間で最も高い成果を出したコンサルタントに送られる賞
MVG:月間で最も高い成果を出した組織に送られる賞
顧客感動賞:半期に一度、最も印象的な顧客成功を生んだプロジェクトに送られる賞
1. 相手へのリスペクトを忘れない
田中 将太(たなか・しょうた)|プロシェアリング・コンサルティング本部 東京支部 サービスチーム リーダー
東京学芸大学大学院卒業後、新卒で人材紹介業のエージェントとして従事。 サーキュレーションに転職後はサービスチームのリーダーとしてサービス業界の開拓とマネジメントにて活躍。2021年11月に月間MVPを受賞し、2022年2月の全社キックオフでは顧客感動賞を受賞。
プライベートでは1児のパパとして家族に向き合っている。
ーー 田中さん。11月から2月にかけてのMVP・MVG・顧客感動賞と数多く受賞され、本当におめでとうございます!
田中:
ありがとうございます!これらの賞は僕だけで取れたわけでなく、サービスチームの仲間やカスタマーサクセスチームの仲間、そして何よりプロジェクトをご一緒させていただいているお客様がいてこそと感じています。
ーー 社内外の様々な方との密な関係性、とても尊敬します。田中さんと言えば「関係構築力」が強い印象です。何か工夫していることはありますか?
田中:
よくそう言っていただけますが、正直あまりピンときてないんですよ。笑
特別工夫をしていることはありませんが、社内外を問わず「相手をリスペクトすること」は大切にしていますね。自分の尺度で相手を見ず、相手を知って、相手の立場になって関わるようにしています。
ーー 詳しく教えてください!
田中:
コンサルタントの仕事をする中で、お客様に対して「会社を経営するのは偉大なこと」と尊敬の念を忘れず向き合っています。
なぜなら、経営を維持するために必要な知見を身に付けたり大きな責任を持ちながら意思決定を繰り返すって、もし僕が社長なら到底できないと思うんですよね。
ーー 大切なことですが、その視点を忘れてしまうコンサルタントもいると思います。なぜそうなってしまうのでしょうか?
田中:
当社に限らず世の中の「コンサルタント」の一部は、一般論としての「理想型=あるべき姿」を追いがちだからではないでしょうか。世の中の良しとされる成功事例を模範に、目の前のお客様の課題解決に向き合おうとします。
ーー 理想型を追うのは正しいように思えますが、リスクもあるということでしょうか?
田中:
もちろん必要なことではありますが、それだけを軸にしてお客様を見るのは危険です。一般的な理想やセオリー通りに実行・意思決定しないお客様に対して、「なぜ取り組もうとしないんだ」と思ってしまうことにも繋がりかねません。
その状態ではお客様の本質的な課題を見落とし、信頼関係も構築ができないままご支援ができず、誰もハッピーにはならないと思います。
ーー 確かに、コンサルタントの正論がお客様にとって正しいものとは限らないですよね。
田中:
はい。企業様によって目指す方向性や価値観が違う中で、その背景を理解することがなにより大切です。僕自身も、お客様を知って、お客様の会社の一員のつもりでプロジェクトを推進しようと心がけるようにしています。
2.「想い」に共感し、背中を押すべきところは諦めない
ーー 先ほどの話で何か印象に残っているお客様とのエピソードはありますか?
田中:
そうですね。顧客感動賞のプレゼンテーションで社内に共有させていただいた内容ですが、地方の金融機関のお客様とのお話をさせてください。新規事業を推進するプロジェクトの中で、お客様特有の困難がありました。
ーー ありがとうございます。このインタビューの読者にもお伝えできる範囲で教えてください。
田中:
まず、新規事業をやらなければならない危機感はある一方で、新しいことに柔軟に対応できる体制や、トライアンドエラーする文化が無かったです。
また、金融機関は「信頼」が重視されるので個人情報の取り扱いに非常に慎重であったり、地方の全ての顧客企業にフラットな存在でいなければなりません。つまり、顧客データを活用したり、ターゲットを絞る(=特定の顧客を優先する)ような新規事業開発の定石として確立されていることが、業界の特性によって実行できないという壁がありました。
ーー 金融機関としての「社会的意義」と「ビジネスを拡大させる意義」をどう両立させるか。難しいところですね..。
田中:
でも、売上よりも地域の顧客に貢献したいというお客様の想いは素晴らしいですよね!僕自身も強く心を打たれまして、なんとしてもその想いに応えようと覚悟を決めました。
ーー 素敵です。しかし、困難はそれだけでは無いと思いますが、いかがでしょうか?
田中:
はい。金融機関として先ほどのような想いはある一方で、新規事業を任せられた現場の方々は目標・KPIを立てて運用することに躊躇されていました。「目標を定めると未達が発生するリスクが出る」という理由で、未達の評価を避けるために今までもKPIを設定したことがないとのことです。
彼らだって目標を立てる必要性は理解しているのですが、これまでも経験が無く文化的にハードルが高かったのです。
ーー 目標を立てないとは、一般的な会社員には驚くようなことかもしれませんね。どう対応されたのですか?
田中:
まずは目標を定められない背景を詳しく聞きました。そして、このお客様の地域に対する存在意義やプロジェクトの目的を整理しました。
この件に限らずですが、僕はお客様と向き合うときは「想い」がどこにあるかを把握するようにしています。問題の事象だけを捉えるのではなく、会社の社風や業界の商慣習、会社の成り立ちやお客様の生い立ちなどを知るよう心がけています。
ーー なるほど。それを把握した上で田中さんはどのように動いたのですか?
田中:
プロ人材と連携しながらお客様にとっての最善の提案を考えました。そして、「金融機関の顧客である地方の企業様に貢献するために」と、目標を立ててコミットする必要性は伝え続けながら納得いただけるやり方を模索しました。
結果、お客様も少しずつ受け入れてくださり、前向きな気持ちで目標を持ちながらプロジェクトを運営できる状態にできました。
代表取締役の久保田(右)と顧客感動賞で優勝した瞬間の田中(左)
ーー お客様を理解することがコンサルタントの一歩目だと感じました。その金融機関のお客様とのプロジェクトは、最終的にどのような結果になったのですか?
田中:
決して甘くない目標を立てていましたが、120%以上の達成をすることができました!
そして何より嬉しかったのが、プロジェクトに関わった方々から「地域の企業様にお役に立とうとする意識が以前より高まった」とのお言葉をもらったこと。また、プロジェクトの現場担当の方からは以下のようなメッセージもいただきました。
信頼できるプロ人材の方と良好な関係を築く中、プロジェクトを遂行できたことは、田中さんが担当コンサルタントであったからこそと思います。
初対面のWEB面談では気さくに笑顔で私どもに目線と言葉を合わせて説明してくださったことをよく覚えています。こちらの話を真摯に聞くだけではなく、よく引き出し、曖昧であった依頼内容を整理して、当方の要望としてまとめてくださいました。この方にお願いすれば道が拓けるかもしれないと感じました。
見えない課題まで含めて整理し、コミュニケーションの中から必要とされるスキルや性格を総合的に勘案した人材を選出した上で、支援期間中は軌道が正しいかを常にご配慮くださいましたこと感謝しております。
これからも多くの企業を支援され、高い能力に加え、にこやかで誠実なお人柄で、ますますファンを増やされることと思います。
引き続き宜しくお願いいたします。
ーー こちら、コンサルタントとして泣けるほど嬉しい内容ですね。
田中:
本当に嬉しいお言葉です・・!この経験からお客様目線の大切さと、お客様にとって耳が痛いことでも勇気を持って伝えることの重要性を改めて感じました。
コンサルタントにとって「ひとつの案件」であってもお客様にとっては「社運を掛けたプロジェクト」かもしれず、ひとつひとつが顔と名前があるプロジェクトです。お客様の想いも自分の想いも大切に、これからも多くのお客様のお役に立てるよう成長したいと思います。
3.サッカーで身に付けたビジネスマインド
ーー 関係構築の背景には「相手の想いに向き合う」という田中さんの共創心があることがわかりました。社内のメンバーとのやり取りでも同じように意識されているのですか?
田中:
はい。直属のメンバーに対しても同じようにリスペクトをもって関わりたいと思っています。これまでどういう生き方をして、どういう経験をして、仕事に何を求めているのか、それを知って彼らの成長に向き合うよう心掛けてます。
ーー 素敵ですね。これらのスタンスは、どうやって身に付けたのでしょうか?
田中:
5歳から今でも続けているサッカーのお陰ですね。僕の人格形成の根幹はサッカーからできていると言って過言でありません。笑
ーー サッカーは仲間と意思疎通しながら臨機応変な動きが求められるチームスポーツですよね。コミュニケーション力が鍛えられるのも納得です。
田中:
はい、チーム視点はかなり養えました。例えば、「メンバーが最大限パフォーマンス発揮するためにリーダーは何をすべきか」など、有難いことに小学校6年生で気づきました。
ーー 小学生って、早すぎません???
田中:
ですよね。笑
きっかけは、所属していた団体での合宿で3〜6年生でチームを組んで試合するイベントでした。僕はそのチームで中心選手だったからキャプテンをやることになったんですよ。
他の下級生も優秀で、周囲から見ると優勝候補のチームでした。でも負けたんですよね。
小学生の頃の田中
ーー 何があったんですか?
田中:
僕のチームは連携ができずバラバラで、まともなプレーができませんでした。
優勝したのは幼なじみがキャプテンをやっていたチーム。戦力はこちらが勝っている印象でした。ですが、相手を見ると僕と友人の試合中の立ち振る舞いが大きく違いました。
友人はメンバーの下級生に気を配ったり、ミスしても励ましあったり、全員が安心してパフォーマンスを発揮できるような場を作っている。一方、僕はチームの下級生が思うようなプレーができないことに苛立ち、それが下級生に伝わり萎縮して、チーム全体の雰囲気が悪くなっていました。小学生ながら苦い経験です。
ーー フレンドリーな今の田中さんからは想像できないですね…。
田中:
強さを履き違えていましたね〜。で、この経験から「チームで勝つ」を強く意識するように変わりました。
その後のサッカー人生では、チームのスローガンやルールを整えることも大切にしたりと、「どのような方向に進もうか?そのために何をするか?」それを考えることが当たり前になったんです。
ーー ビジネスにおいてもビジョンが大切とされますが、6年生でそれを知ったのですね。
田中:
はい。全員が同じ方向を向いて走ることを意識していました。
そのために、試合をするメンバーだけでなく、ベンチのメンバー、ベンチに入れないメンバーのモチベーションをどうやって上げるか。チームで勝つために、高いモチベーションで臨むことにこだわるようになりましたね。
4. サッカーで身に付けた成果の出し方
大学4年生。競技の結果だけでなく、学生主体のチーム創りにもこだわっていた。
ーー 体育会系出身のビジネスパーソンは多いですが、田中さんは本当にサッカーからビジネスを学んでいたという印象を持ちました。
田中:
ありがとうございます。サッカーを通して人と関わる中で成長してきたと、心から思っています。
また、常に競争環境の中で真剣に取り組んできたからこそ、成果を出すためのプロセスも身につきました。
①成果を出すために課題を分析する
②課題解決に必要な計画を考える
③成果に繋がるまでコツコツ実践する
これが自然とできるようになったことも大きな経験だったと感じます!
ーー この経験も今の成果に繋がっていそうですね。サッカーから多くを学んでますが、その他に何か学んだことはありますか?
田中:
マインドセットとして、新しい環境になっても「これまでの経験を持ち込まない」ことを徹底するようになりました。
例えば、転職をしても前職までの実績や評価に依存しない。変な意味ではなく、環境に期待しない。今いるフィールドでベストを尽くすことだけ意識しています。
ーー 成果に驕らない、とても素敵なマインドですね。ただ、サッカーでどうそれを身に付けたのですか?
田中:
長く同じスポーツをしていると、チームが変わったり、監督が変わったり、当然のように変化があります。そして環境ごとに「活躍できるプレーヤー」の尺度も異なります。
あるチームでは自分がエースだったとして、次に行ったチームでは全国の猛者が集まっていて二軍になる。こんなことがあるあるでした。
なので、これまでの評価やプライドは捨て、どうやって一番になるか。それをいつも考えていました。
ーー なるほど。元々いた人材紹介会社からサーキュレーションに入社された時も同じような気持ちでしたか?
田中:
そうですね!人材を扱う点では近しいですが、人材紹介とプロシェアリングではお客様へのアプローチが全く異なる中、驕ることなく行動量と成果に向き合うようにしました。
また、想いを共にできる強いチームを創ってお客様への提供価値を最大化すると同時に、働く仲間が幸せになれるチームを創ることにイチから向き合おうと覚悟しましたね。
5.お客様の想いを理想を超えて形づくり、世界に誇れる業界を共に創り出す
年始恒例の全社書き初めをサービスチームメンバーで取り組んだ1枚。
ーー チームについての話がありましたが、田中さんのチームについて教えてください!
田中:
サービス業界のお客様を担当するコンサルタントの組織です。新卒から中途のメンバーまで男女様々なバックボーンのメンバーが集まるチームとなります。
ーー 先ほど「想いを共に」という話がありましたが、どのような想いをチームで掲げているのですか?
田中:
「お客様の想いを、理想を超えてカタチづくり、世界に誇れる業界を共に創り出す」です。
メンバーが増えていく中で同じ方向を向いて仕事する必要があったため、チーム全員で議論して固めました。
ーー 素敵ですね!どんな背景があってこの内容になったのでしょうか?
田中:
これを定める前のチームのコミュニケーションは、どうしても商況・KPIが達成しているかどうかに目がいきがちでした。
僕から発するメッセージも含め、短期的な成果を求める傾向が強くなり、結果的にそれがお客様との関わり方にも影響し、自分勝手な振る舞いからクレームが発生することもありました。
ーー 先ほどの金融機関のお客様の話でもあったように商況・KPIを追うことは必要不可欠ですが、伝え方って難しいですよね。
田中:
はい。顧客視点の欠けた仕事をさせる結果となってしまい、メンバーにも申し訳なく思っていました。
そこから、全員で議論を重ねて根本を見直し、「私たちの仕事は、誰のために、何の仕事をしているか?」ひとりひとりが考えて言葉にする必要がありました。
そこで各メンバーが熱い想いを出して決まった共通言語が「お客様の想いを、理想を超えてカタチづくり、世界に誇れる業界を共に創り出す」でした。
ーー 熱いですね!ひとつひとつのワードにもこだわって選んでそうです。
田中:
はい、これを考えるにあたり各ワードにおける意味までこだわりました。例えば「理想」という言葉には「期待」という案もあったのですが、
期待 = お客様から当社に対しての感情
理想 = お客様が自身に対して描くありたい姿
であり、想いを向けるベクトルが違うのと、「期待よりも理想を超えたい」と思って「理想」にしました。
プロシェアリングであればお客様が描けていないところまで「理想」を形にすることができると信じています。
ーー ふとした時にも原点に帰れる素敵な言葉ですね!これを考えてからチームは変わりましたか?
田中:
はい、嬉しいことに少しずつ変化が見られます。成果へのこだわりが強すぎる故にクレームをいただきがちな新卒メンバーがいましたが、この方向性を定めた後からお客様への関わり方が大きく変わりました。
そして、とあるお客様でコンペになった際に「他のコンペ先と比べて自分たちの話を一番良く聞いてくれた」というお客様から嬉しい言葉をもらうこともありました。結果的により大きな成果を出せるようになり、新卒に関わらず1月のMVPを取っていましたね!
ーー お客様に信頼されるパートナーになることができたのですね!
田中:
そうですね。お客様と関係を築くために僕たち自身がどうお客様に向き合うかを考えるきっかけになりました。
改めて、お客様もチームの仲間も幸せになれるように頑張っていければと思っています。
ーー 素敵です!最後に、田中さんはこれからどのような仲間と一緒にチームで働きたいですか?
田中:
二つあります。まずは、顧客成功を願い、そのために自己変革し続けられる人、です。
「顧客成功」は言葉にするのは簡単ですが、実行し成功まで導くのは簡単ではありません。本気でそれをやり遂げようと思ったら、今の自分の考え方ややり方、取り組み方では不十分なことが多いと思っています。
なので、常に今の自分のままでは足りない、という感覚を持ちながら、自分を変えていく意識を強く持つ必要があると思いますし、その方向が「顧客成功」であって欲しいと思っています。
ーー 自己変革し続けられる、大切ですね。二つ目は何ですか?
田中:
もう一つは、チーム創りに主体的である人、です。
どんな仕事でも同じだと思いますが、チームで仕事をしている以上は、全員が何かしらチームからの恩恵を受けています。その状況にあるのならば、自身もチームに何か還元しようという「利他の精神」があってほしいなと。
今のチームメンバーだったら社内でも最高のチームを創れると確信しているので、相互にGIVEし合うことにも面白みを感じられる人に加わっていただきたいと思っています。
ーー 最高ですね!これからのご活躍も楽しみにしております!