今、厚生労働省が「紅麹使用製品への対応に関する関係省庁連絡会議」を設置するなど社会的話題になっている健康食品に関する問題。
薬じゃない!食品です!
サプリメントの問題? そう単純なものではなさそうです。
まず、サプリメントは「栄養補助食品」といわれます。そう薬じゃない!食品です。
サプリメントに関しては、下記のような情報があります。
「2013年12月にアメリカの研究者らによって、ビタミンやミネラルなどのサプリメントは健康効果がないばかりか、むしろ健康に害がある可能性が高いと結論づけられた」(参照Wikipediaより引用)
いわゆる健康食品
今回問題になっているのは「機能性表示食品」といわれるもの。
厚生労働省のwebサイトに、いわゆる健康食品のページがあります。
「いわゆる『健康食品』のホームページ」(以下_厚生労働省のWebサイトより)
消費者庁Webサイトにも「健康食品」のページがあります。(以下_消費者庁のWebサイトより)
「機能性表示食品」とは一体なに?
「身体の健康維持や増進が期待できる」といった機能性の表記が可能な食品です。
- 販売事業者の責任のもとに販売予定日の60日前までに消費者庁へ届出の義務
- 安全性や機能について国の審査は無い → 科学的根拠は販売事業者の責任において表示
- 消費者は、信頼できる企業であるか製品であるかを自身で見極める必要がある
そもそも機能性表示食品は、健康な方を対象としているものです(病気にかかっている方、未成年者、妊産婦・授乳婦は対象外)。
責任の所在、という問題
国は審査しない=安全性や機能の臨床データも不要。なので消費者はその食品と食品を販売する企業を自分で見極めてくださいね、ということになります。
消費者が「健康食品」を理解した上で使用するのはもちろんなのですが、別の問題もあります。当該企業から発信されるべき情報の遅さ、それにより社会の混乱を招いている状況です。問題の把握から2か月公表せず、調査結果や原因物質についても明確にしないモヤモヤ状態。
厚生労働省は、当該企業の記者会見と時間が重なるように「紅麹から『プベルル酸』が同定された」と発表しました。
同定
厚生労働省他によるこのWeb会見、ようやく一歩進んだ感じで個人的にはファインプレーだと思っていますが、みなさんはこの情報をみて(聞いて)、わかりますか?「同定された」って。
「同定」=何かと同じ、特定の一つの物質であると決定すること
成分分析では、「同定」とするには「定性」と「定量」という言葉が必要です。
私たちの生活の安全を考える上で、身の回りにある科学をより分かりやすく多くの方に知っていただきたく、当社Webサイトでは「定性、定量の違いは? 同定??」を「TJ博士」が解説しています。
その他にも「細菌とウイルス」「ジェネリック」「抗体・抗原」「発酵」などの解説、ぜひご覧ください。
「アベノミクス」はここにも・・・
この問題は、制度自体にも原因がありそうです。
「機能性表示食品制度」とは、2015年のアベノミクス:経済成長戦略で、規制緩和の一つとして導入されたものです。「中小企業に成長のチャンスを!」と大きく謳っていましたが、安全性への懸念が当時から指摘されていた中での、今回発覚した健康被害。
目先を優先した結果、問題の種を将来に・・・
私たちは、業務や活動を推進する上で、目指す成果になかなか結び付かなくて悩むときもあるけれど、「何のために」「誰のために」を見失わない行動を選択できる人と企業でいよう、そう考えています。
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