つい先日、2020年のノーベル化学賞が発表されました。
受賞対象は、ゲノム編集方法:クリスパーキャス9「CRISPR-Cas9」
「CRISPR-Cas9」とは:DNAの二本鎖を切断して細胞のゲノムを変化させる(ゲノム配列の任意の場所を削除、置換、挿入することができる)新しい遺伝子改変技術
▶ゲノム編集
この技術が登場したことで、“ゲノム編集”という言葉が使われるようになりました。それまでは、遺伝子を操作することに、“遺伝子改変”というような言葉が使われていました。
では何故、クリスパーキャス9 の登場によって “ゲノム編集” と用語が変わったのか?
これまでの遺伝子操作方法では、遺伝子操作が「どのような方法で」行われたのか、を見ることができました。つまり、ゲノム内に痕跡(足跡)が残っている状態だったのです。その為、痕跡を調べることで“どの様な操作が行われた”のかを知ることが出来ました。
ところが、クリスパーキャス9の技術によって研究者は、高等生物のゲノムを、
研究者の計画通りに!
痕跡を残さず!
操作できることになったのです。さらに、課題であった「操作に必要な膨大な時間」も大幅に減少させたのでした。
▶遺伝子操作
クリスパーキャス9の技術は、これまで膨大な時間を掛けて進められた各種の遺伝子操作を、容易に行えるようにしました。このことは、「難病の治療」や「異常気象に強い農作物の作成」を短期間で実施できるという、大きな展開をもたらしました。
しかし、「遺伝子操作を容易に行える」という事実は、生命倫理に反するような遺伝子操作もまた行えるようになった、ということでもあるのです。
このような「諸刃の技術」であることを認識して頂きたいと思います。
T J 博士 / 2020.10.16
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