【#109】企業不動産のソリューションを通じて、日本の経済・産業に貢献したい|宮寺 之裕(ククレブ・アドバイザーズ株式会社) - ベンチャー.jp
ククレブ・アドバイザーズ株式会社 宮寺 之裕氏 ククレブ・アドバイザーズ株式会社は、不動産を上手く活用できてい
https://venture.jp/news/2024/02/13/6109/
ベンチャー.jpに宮寺社長のインタビュー記事がアップされました!
ぜひご一読ください。
ククレブ・アドバイザーズ株式会社は、不動産を上手く活用できていない企業と購入希望者をつなげるマッチングシステムを開発し、企業の価値や株価を上昇させ、日本経済の回復をミッションに掲げています。また、企業の開示資料を分析したAIが企業の売買ニーズを可視化し、それをもとにコンサルティングを行っているのも大きな特徴です。
今回は「CRE戦略」に対して多岐にわたる事業展開を行うククレブ・アドバイザーズ株式会の代表 宮寺 之裕氏に、具体的な事業内容や強み、今後の展望について伺いました。
本日のお話では「CRE」という単語が複数出てきますが、これは「Corporate Real Estate」の略であり、日本語に訳すと企業不動産という意味になります。CREの分野では企業が不動産を売買したり賃貸したりするのですが、そこをソリューションするのが当社の事業内容です。
具体的には、企業が出す経営の開示資料を分析調査しながら、各企業が何%の確率で不動産取引を行うかを数値で表すAIツールを自社開発して、サブスク販売をしています。そのAIツールを自社でも使用して、AIが導き出した売買ニーズをもとに、当社の営業担当が企業にアプローチをし、コンサルティングを行い不動産売買・賃貸仲介、不動産ファンド組成などを手掛けています。
当社は「不動産テック事業」と「CREソリューション事業」を掛け合わせたハイブリッド企業である点が特徴です。通常、企業の不動産ニーズを調べるには人手と多くの労力を要しますが、当社の場合はその部分をAIが手掛けることにより少数での運営を可能にしています。
実は前職で同じような仕事をしていたのですが、企業が出す経営の開示資料を探し出すこと自体とても大変です。開示資料が出てくるサイトそのものから検索したり、Googleで検索したりするなどの方法があるのですが、日本の上場企業は約4,000社あるため人間の手で調べていると相当な時間を要します。
しかし、AIであれば経営資料を自動的に取得し、「この企業は不動産を売却しそうだ」と分析まで行ってくれるため、たったの5分ほどで約4,000社の経営動向がまとめられます。つまり、我々が1年かけても終わらないような作業を、AIが非常に短い時間で終わらせてくれるのです。
そうですね、分析はAIにもできますが、1番大事な営業はAIには代えられません。企業にアプローチする部分(営業)はどうしても人間にしかできないので、いかにAIで分析を早く終わらせてお客様のもとへ行くのかが大事です。AIを活用できた分、その他に使える時間が長くなっています。
もともと金融機関で法人営業を担当していましたが、そのなかで「不動産」という商材を扱う機会があり、1つとして同じものが存在しない不動産に興味が湧いていきました。その後不動産を極めたいと思い、「不動産鑑定士」の資格の勉強を社会人3年目くらいに始めました。金融機関に勤めながらでは合格が難しいと考え、一度仕事を辞め、1年間ほど資格勉強に集中した結果合格できました。
そこから不動産の分野に舵を切り鑑定士として働いていたのですが、不動産を比較するプロセスよりも自分自身で投資を行いたい気持ちが強くなり、前職の法人営業に戻って投資の手助けができる楽しさを改めて実感しました。
そのような中で、先ほどもお伝えした通り人力で資料を探すことに疲れてしまい、全部自動化できないかと思っていた時、ちょうど「AI」という言葉が話題にあがっており、私自身理系ではないためコードをかける方と組んで起業しました。
もともと資料を取得するプロセスとして「こういうシステムをつくりたい」といったイメージをもっており、2019年に開催されていた東京ビックサイトのようなイベントで、「こういうシステムつくりたいけど作れますか?」と各会社に聞いてまわっていました。
そこで「作れますよ」という話だったので見積もり金額を見て、自分が行っていた投資と掛け合わせて事業ができるのではないかと考え、起業しています。そのときに「作れますよ」といってくれた方が当社の社員になっています。そのため、たまたま出向いた場所に縁あって出会えた感じですね。
そうですね。私が手動で行っていたときは取得した経営の開示資料をパワーポイントに落とし込み、パソコンで見ていると疲れるため印刷し、大事な部分を蛍光ペンでマークして、不動産を売却する可能性があるかどうかを分析していました。これらすべてをAIにやってもらいたいと考えていましたね。
常に自分の中にある想いは「人の役に立ちたい」というところで、綺麗ごとかもしれませんが人の役に立つことを継続していると最後は自分にもプラスで跳ね返ってくる、そういう想いがモチベーションにもつながっています。
前職でも不動産取引をする際に相手方企業の担当者さんが悩みを抱えていて、それを解決したことによって、極端な話、相手方が出世したこともありました。その方とはご縁があり、今でも食事に行くことがあるのですが、その方が「私が出世できたのはあの取引があったから」という話をしてもらえたときに僕自身とても嬉しいですし、ちょうど今悩んでいるお客様企業の課題をどれだけ解決できるかといったところを改めて考えるきっかけになります。
最近はニュースで「PBR1倍割れ」という言葉が金融市場で出てくるのですが、これは本来の会社の価値と株式市場での価値にギャップがあることを意味します。本当はもっと価値があるはずなのに株式市場で評価されないのは何が問題なのかを考えたときに、バランスシートや投資が上手く回っていないことが挙げられます。
本来はもっと儲けが出るはずなのに、例えば不動産を持っているだけで何もしていないなど、そういうシーンに当社が企業価値を創造する手伝いをすることがこだわりであり、モチベーションになっています。
当社の企業理念も「すべての企業不動産のソリューションを通じて、日本の経済・産業に貢献する」というものにつながっています。どんな時も「これは人・企業の役に立つのか?」という想いに立ち返り、単に「儲かる」などの目先の利益だけを優先するような仕事は好きではありません。
仕事をしているときは、常に「これもう少し自動化できないかな?」と思ってしまうタイプなので、長年のやり方みたいなものも壊してしまいたくなるタイプです(笑)
不動産業界だと契約時の電子化もまだ進んでいないですし、過去に起きたさまざまなことは自分の記憶にありますが、それを社内でも共有できるように早くからデータ化していれば、楽に提案やアクセスなどができたのではないかと思っています。
「これをやりたい」という強い気持ちはなかったのですが、20代の頃からとりあえず独立したいと考えていました。30代になって今の仕事を本業でやって自信がついてきたときに「この仕事だったら生活していけるかも」と思いました。
ただ、1人でやるのではなく、やるなら会社を大きくしたいという思いがあったため、ヒト・カネ・モノが集まった40代で起業しています。20代・30代はヒト・カネ・モノがついてこなかったので、そういう意味では起業を思い立った理由として大きかったと思いますね。
起業し始めの頃はベンチャーキャピタルが何かもよく分らずにとりあえず資金調達したいと考えていたのですが、そこで当社の事業内容である「CRE」の説明をしても相手に伝わらず出資を受けられませんでした。そのときは壁というより「資金調達はそんなに簡単ではないんだな」と感じました。
ビジネスのほうはメンバーに恵まれ、マーケット自体もまだまだ未開拓な分野のため、大きな壁には直面していないと思います。ただ、会社を大きくしていくとなると人材採用が必要です。ある程度は知っている人間を集めていたのですが、新しい人材を採用するには当社の理念にマッチする方を見つけなければなりません。そこが今後の壁になってくるかなと思います。
そうですね。人材を増やせば取れる仕事が増えるところにきているため、まさに採用に力を入れている最中です。採用時はバリバリの経験者を求めているのではなく、法人営業が基本になるので、一般的なビジネスマナーが身についている方であれば良いと考えています。
また、ベンチャーなので1人ひとりに与えられる仕事が多く、スピードも求められます。そのようなベンチャーカルチャーに馴染める方でないと難しいかもしれません。「言われたことだけやります」で入社してしまうと、ギャップを感じて辛くなってしまうと思うため、自分から積極的に学びたい方が合っています。
パッと見たときのフィーリングは大事にしていますが、それだけを重視するわけにはいかないですよね。採用経験もまだ少ないので、教えてほしいくらいです(笑)
人からはよくストイックな性格だと言われますが、この会社を起業して特に立ち上げの頃は休みもなく夜中までAIシステムの企画や情報収集などを行い、日中はお客様とのお仕事をしていましたが、やはりこの会社を大きくして将来的に仲間と一緒に上場もしたいという想いが今のモチベーションかもしれません。
とにかく何か新しいことをやるのが好きで、日々が変わっていく楽しみが人生のモチベーションでもあります。
今後は、不動産から日本経済により貢献していきたいと考えています。企業が所有する不動産を単純に足すと、日本の不動産のストック数は500兆ほどあるのですが、そのうえで当社がターゲットとしている企業だけでも160〜170兆ほどの不動産数が存在します。
最近は、企業が本来持っているはずの価値が減っているといわれ、その原因の1つに不動産を上手く活用できていないことが挙げられると思っています。企業が上手く活用できていない不動産は、他の方から見れば使ってみたい不動産かもしれません。
当社は不動産売買動向を予測するAIシステムのみならず、顧客の不動産ニーズを登録しておくと自動的にマッチングを行うマッチングシステムも開発しています。そのマッチングシステムに両者が登録していれば、Win-Winの関係をつくりあげていけるはずです。そうすると日本の会社の価値や株価が上がり、日本経済も良くなっていきます。
また、今後もこうしたシステム開発によって効率化を進め、この業界の経験がない社員でもすぐに企業向けの提案やコンサルティングにキャッチアップできる仕組みをどんどん生み出していきたいと考えています。そうすることで少数精鋭で収益性の高いビジネスがより完成していくと思います。
私が起業したのは40代と決して早いほうでもなく、むしろ遅い部類かもしれません。それでも、20代の頃からサラリーマンとして定年まで働くイメージがなかったことから、どこかで自分で会社を経営してみたい、という想いがありました。
そういう意味では、常に起業するイメージをもっておくことと、あとは「タイミングと縁」だと思います。
常にアンテナを立てておかないとそうした縁やチャンスにも巡り合うことはできません。最後はその縁とチャンスを実行に移す「行動力」、これに尽きるかなと思います。
当社ファウンダー。2019年当社設立前は、大手リース会社、デベロッパー、REIT運用会社にて一貫して法人営業とアクイジション業務を経験。
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