なにをやっているのか
【魂と共に踊るまちの、彩と幽。】
顔を隠して生者も死者も一緒に踊る、
日本三大盆踊りのひとつ、西馬音内盆踊り。
にぎやかで幻想的。鮮やかで幽玄。「彩」と「幽」が混じり合う、異界。
2025年春、この盆踊りから着想を得た新たな滞在拠点が誕生します。
場所は西馬音内盆踊りが行われるメインストリートの一等地。
外から来る者も、内に住む者も、境界を越えて、
めぐり、ゆらぎ、つながる場所へ。
2025年4月、旧柴与家は「盆宿U」としてリニューアルします。
なぜやるのか
秋田県羽後町で180年以上にわたり経済・社会・文化の中心を担ってきた旧家「旧柴与家」を観光施設として再生するにあたって外すことができないのは、日本三大盆踊りのひとつである「西馬音内盆踊り」。
顔を隠して踊ることがその特徴とされますが、これは顔を隠すことにより「死者も生者も一つになり一体化する」ことや、「垣根をこえてまざり、繋がっていく」という意味があるとも言われています。
そういった西馬音内盆踊りの特徴から着想を得て、「死者と生者の境界が揺らぐお盆のように、利用客や宿泊客などの【ソト】と、地元の人々の【ウチ】が自然と混ざり合うような施設」を目指しています。
た、お盆は、「死」をきっかけとして、土地や家族とのつながりを再確認し、「生」の活力と安心感を取り戻す機会であると捉えています。
都市部で暮らす人が増え、孤独を感じやすい昨今。今を生きる人々にお盆本来の意味や過ごし方を伝える意義があるのではないかと考えています。
どうやっているのか
「西馬音内盆踊り」「お盆」というテーマをどのように施設に落とし込めばいいかを議論していく中で、浮かび上がってきたのが「U」というキーワードでした。
西馬音内盆踊りを表現する際によく用いられ、奥深くて測り知れない、趣が深く味わいが尽きない、という意味を持つ「幽玄」の「幽」。
バラバラになったものを結ぶ、人との関わりをつなぐことを意味する「結」。
人間が心のおもむくままに行動して楽しむことを意味する「遊」。
また、羽後町のUでもあり、友人の「友」、癒すの「癒」、優しいの「優」、悠久の「悠」などにも広がりを持たせることができることから、施設名にアルファベットの「U」を用い、エリアごとに「幽」「結」「遊」というテーマを設定し、敷地全体を使って”西馬音内盆踊り”と”お盆”の体現を目指しています。
具体的には、母屋の奥にある2棟の蔵を宿に、さらにその奥にある3棟目の蔵をサウナに改修するエリアは幽玄の「幽」をテーマに、西馬音内盆踊りをイメージした幻想的な空間をつくり、盆踊り衣装をモチーフにしたオリジナルサウナグッズなども展開していくことで、ここでしかできない滞在体験を提供していきます。
もともと米蔵として使われていた建物を改修するレセプション棟は結ぶの「結」をテーマに設定。親戚が一堂に集まる「お盆」のように、ソトから来る人と地元の人との交流が生まれるよう、宿とサウナのレセプションにカフェ&バーを併設して、宿泊客と地域の人が一緒に食事をするコミュニティダイニングなども開催していきます。
また、西馬音内盆踊りが開催される本町通りに面した母屋と、本町通りとの境界にあった塀を撤去して整備する「ひろば」と合わせてテーマを「遊」に設定し、地域の人も、外から来た人も気兼ねなく心おもむくままに楽しむことのできる場所にしていきます。