これまで勉強カフェでオープンスタッフを務め、3年経とうとしています。
アルバイトから始まり、現在マネージャーを務めるまでに支えて下さった方々の中に「お客様」という存在は切っても切り離せないほど大きなものでした。
時には私を褒め、叱ってくれ、楽しんだり、苦しんだり、勉強カフェに来て下さるお客様はスタッフをとても大切に思ってくださるのが本当にかけがえのない存在です。
恐れ多いながらも、我々はそんなお客様にサービスを施す身として日々精進しなければなりません。
オープン当初の私は本当に未熟でした。
オープンにあたり東京にある本社(株式会社ブックマークス)へ研修にも行きましたが、たったそれだけで勉強カフェの本質を理解した気になっていて、実は全く違うことに気が付いたのは2年経ってからでした。
オープンしてしばらくの私は「お客様にイベント主催を任せるなんて…。忙しい方にそんなお願いしてしまっていいのか…?」と考えていました。
これをご覧いただいている方も同じように考えているかもしれません。
なんだか「良いモノ持ってるんですから~、イベント開催してくださいよ~(勉強カフェのために)」なんて伝わってしまうんじゃないだろうか、そんな失礼なことお客様にできない…と常々思っていた私は元々セミナー講師を目指して入会して下さった方以外にどうしてもイベント主催をお願いすることができませんでした。
そんなことをしている内にマネージャーとなり、相変わらず方針が変わらなかった私の身の回りではイベント開催が徐々に減っていったのです。
そりゃ当然スタッフから声をかけないのですから、増えるわけはありません。
それでもお客様に「イベント開催してください」の一言が言えずにいました。日々忙しく勉強されているお客様に、なんのメリットがあって…。そればかり考えていたのです。
そこで私は集客のために自らイベント開催することを始めました。そうするしかなかったというのが正しい表現かもしれません。
その内お客様から「あれやってください」「次はこれを」なんてたくさん注文をいただきましたので、休みの日を減らしてでもイベント開催をしなければならないという状態まで陥ったのです。
その当時の私のキャパシティを越える業務量を誰にも任せず抱えていた私は、いつもピリピリしておりました。
そんなピリピリした私を見かねてか、ある会員様が「仕事が多いんだったら、周りに任せたらいいんだよ!周りを巻き込むの。俺なんていつも仕事人に任せちゃってるよ(笑)」と思いがけない一言を私に贈ってくださったのです。
その方は私よりも人生経験値が高く、入会された時からその陽気なしゃべり方とは裏腹にお堅いお仕事をされているので”ただものじゃないな…”なんて密かに信頼しておりました。そんな会員様からいただいた言葉を私なりにかみ砕いたとき、初めて勉強カフェの持つ本質が見えてきたように感じました。
「学びを通じて幸せになる大人を増やしたい」
私はこのビジョンを達成すべく、全国の勉強カフェグループの一員として働いていたはずですが、「学び」の最終目的が私には明確に見えていなかったのだと思います。
「学び」を「幸せ」へ繋げるために働いていた私達は決して「イベント開催してください」とお願いすることに躊躇する必要がなかったのです。
「イベント開催」することによる「幸せ」の掴み方は「多様な人と知り合えること」「多様な価値観に合わせた立ち居振る舞いを意識できること」「主催するという経験」など自習だけでは得られない「学び」が得られるところにあります。日々の仕事を柔軟にこなすための「学び」が「イベント開催」では得られるのだと気が付きました。
しかも、「教える」という行為は最も学習定着率が高い状態です。せっかく合格した試験も使わなければ忘れてしまう経験を誰しもが通ってきているでしょう。「イベント開催」では当然「教える」ことが求められます。この「教える」状態は、普段仕事をしていてサービスを受けに来るお客様に「お伝え」する行為と同じことを行っておりますので、我々が同じ仕事をするのにどんどん速く効率よく活用できるようになることにも納得です。
生活を豊かにするため、人はインプットを求めますがせっかくインプットした知識や経験もアウトプットしなければどんどん記憶の隅に追いやられてしまいます。
社会人になって、意識的に時間もお金もかけて得たインプットが自分のものではなくなっていることに気が付いた時、どのように感じるでしょうか。
決して「勉強カフェのためにイベント開催」を求めるのではなく、心から「お客様のためにアウトプット」をお勧めできることがマネージャーとして「勉強カフェ」の本質を理解しているということなのだと気が付きました。「イベント開催」はあくまでアウトプットの内の一つです。
幸い勉強カフェには「学び」に対して意欲の高い大人の方がたくさんおります。本人にも必要だと感じられるならば「イベント開催」は快く行ってくださり、様々な見識をご自身の糧として蓄積できているように感じます。
不思議なことにスタッフだけがイベント開催に積極的である時よりも、お客様から知識の共有に積極的な姿を見せて頂けるとたとえイベントの数が多くはなくてもより楽しい雰囲気が伝わってきます。
勉強カフェは会員制のためお客様との関係性が強くなりやすいのが特徴的です。
お互いに礼儀を尽くしながら良い関係を築き、少しでもお客様のインプットをより深く前向きに導くことが私達の職務だと考えています。
そんな関係性の中で、お客様がアウトプットの一環として最も大変な「イベント開催」を選択して下さったならばそれはとてもココロオドル出来事なのです。
そんな瞬間に立ち会えたことが私の中でも大きな糧になっていることは間違いありません。
これまで勉強カフェで働いた3年間をハッシュタグ#ココロオドル瞬間をランキングにして振り返ってまいりました。(2位・3位)
勉強を頑張っている方に届いてほしいと思います。
そして、あわよくば「勉強カフェ」の良さが伝わりますようにと願いをこめて締めくくります。