今回は株式会社beads取締役落合にインタビューを行いました。
▼落合経歴
高校卒業後、18歳から勤労学生として福岡市内の有床診療所に勤務しながら看護学校へ通学。
准看護師を経て看護師の資格取得後は大学病院、訪問看護ステーションと、勤務場所を変えながらも一貫して終末期患者の看護に従事。福岡から上京後は大学病院での看護師勤務と平行して、ウェブデザインの学校や日本政策学校に通学。東京都内でWyL株式会社を共同創業したあと、福岡にUターン移住。
自身も訪問看護事業をしながら、医療看護介護業界で教育や広報、採用などの仕組み構築のコンサルタントや講演活動を行う。2022年7月に、代表取締役山﨑と共にbeadsを創業しました。
Q.なぜホスピス住宅を作りたいと思ったか
結論からいうと、病院でも自宅でもない場所が必要だと思ったからです。日本の現在の医療って、「在宅医療」と「施設医療(病院や高齢者施設など)」があって、もちろん看護も同様です。その2つが分断されているように感じています。
例えば、自宅で顔なじみの訪問看護師さんや訪問診療のお医者さんが来る。そんな生活が日常だった方が、人生の最終段階に入院や施設に移ったら、場所が変わるだけではなく、今まで診てもらったお医者さんや看護師とはまったく別の人と新たに関係を作っていくことになる。ヘルパーやケアマネも同じ。担当してた方とはまた別の方が担当することになる。
老いや病みのプロセスの中で、人生の最終段階は一番身体や心が不安定になるリスクがある時かもしれない。自宅での生活が難しくなった際に、生活のスタイルや人間関係など、これまでの自宅でのそれとは異なる場で過ごすことになる。自宅でなくても日常を感じられる場があったら良いな、と。そんな「病院」でも「自宅」でもない場を創りたいなと思ったんです。
ー 「ビーズの家」がその中間的な場所にあたるんですね。
そうです。beadsがやりたいホスピス住宅は、制度上は家だけど自宅ではないし、もちろん施設でもない。病院でもない。「家」だから、訪問診療の先生はそのままお願い出来るし、家族の出入りを制限する理由がない。老いや病気によって、自宅での生活が不便になっていったり、大変になっていた本人や家族にとって、自宅での生活は「日常」でなくなっていたかもしれない。だけど、便利に暮らせる工夫があり、日常を支えてくれる人もいる「ビーズの家」の方が利用者や家族にとっては「日常」を感じられるかもしれない。そんな場が必要になってくるんじゃないかって思う。
だから、「ビーズの家」を作りたいと思って。そんな時に大輔さんと出会って、いま形になっているというところです。
あとは、看護師のキャリアの可能性を広げるためにもホスピス住宅っていう新たな環境は必要だと思う。病院や施設看護でもなく訪問看護でもない、ナーシングホームの看護師の働き方をもっと確立したいとも思います。
「訪問看護と介護」で特集記事を担当した落合
ー患者の主体性を尊重するために、自分の専門性を発揮出来る人と働きたい
一緒に働きたい方をあえていうとすると、「患者の主体性を尊重するために、自分の専門性を発揮できる方」です。相手を尊重する、優先する、主体性を奪わない。その上で、専門性を発揮する。そういう人がいたらいいなって思う。
例えば、「ご飯を食べてほしい」という場合。それって、患者が食べたいのか、こちらが食べさせたいのか。看護師は患者さんを見たらこの人には何が必要だって、判別的にわかっちゃうくらい仕事をみんな頑張って来ているから、食べさせたいっていう気持ちが強くなってしまう時もある。そんな時に、患者の主体性を奪うのではなく、主体性を尊重するために質問や対話ができる。そんな人が良いなって思ってます。
ー看護の仕事が初めの方でも、始められる環境
訪問看護は、1人で利用者の自宅に行き、仕事をするものなので、どうしてもハードルが高く見られることがあります。地域で働きたいけど1人で訪問するのは孤独を感じるし、ハードルが高い。だけど在宅の仕事がしたい。そんな方にとって、在宅だけど、仲間が近くにいるホスピス住宅はピッタリな働き方だと思う。自信がなくてもちゃんとサポートするので、新卒の看護師さんにもぜひ来て欲しいなって思ってます。
とはいえ、僕が言うと専門性が高く見られがちだし、大輔さんがいると会社・組織っぽく見られがち(笑)だけど、あくまで作りたいのは「施設」ではなく「家」。その人の日常や暮らしを一緒に一生懸命支えてくれるような人と一緒にやっていきたいです。意識は低く、専門性は高く。その人が最高の人生を送れるよう一緒にサポートしましょう。