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【インタビュー】カンヌライオンズ審査員:インダストリークラフト審査を終えて(Erick Rosa)

Publicis WorldwideによるErickカンヌ審査員インタビュービデオをご紹介します。
https://www.instagram.com/p/By7akjJAmPe/

Q. 審査を務められたカテゴリーにおける、今年のトレンド/イノベーションはどのようなものでしたか?

A. ンダストリークラフトは、正直に言って、タイポグラフィー、パッケージ、本からアートディレクション、イラストレーションなど多岐に渡るカテゴリーです。4年前にはディレクトマーケティングの審査員を務めましたが、そちらの方がとても明確に、審査する作品がどのようなものであるか分かりやすかったのですが、何がクラフトであるかというのは広範囲に及び、これ、というものではありません。私が言えるのは、恐らく、とても際立っていた作品は、目的を持ったクラフトがなされていたものです。クラフトが技術的に素晴らしいということではなく。例を挙げると、コピーライティングクラフト部門に、とても⻑いコピーを応募してくる人がいます。コピーに目的がないと、単にその文字数の多さが印象に残ります。クラフトで目的があるものは目を引きます。受賞セレモニーの直前に話していたのですが、最近受賞するのは、広告よりも、背景にそれ以上の大きな何かがあるアイディアを持つ作品だと思います。

Q. 最も気に入った作品はどれでしたか?

A. 審査員⻑が記者会見でお話しされたと思うのですが、2作品あります。両方とも大変エモーショナルなものです。一つはグランプリを獲った、ナイキの、舞台がシカゴの作品ですが、大変すばらしく、審査員全員が感涙しました。シカゴで、治安の悪い地域に住む子供たちに、いかにして安全に遊べる場所を提供できるか、という素敵なアイディアでした。私はブラジル人なので、共感できるんです。リオ出身なのですが、外で遊ぶのはかなり難しいことだったので、審査員として大変感銘を受けました。クラフトとしてもとても入念に作り込まれていて、また教会の中ということもあり、敬意も示されていました。もう一つのアイディアは、グランプリまであと一歩のところまで来ていた、Black Boxという作品です。さきほども言いましたが、私はブラジル出身です。現在、ブラジルはとても難しい状況にあります−権力を持った人々、人種問題など全てにおいて。Black Boxは、ブラジルの大学によって見事に作り上げられた本で、それにより、学生たちはこれまで知らなかった情報にアクセスする機会を得ることができます。その情報とは、ブラジルにいる黑人たちが大昔に、いまや私たちが当たり前と思っている多くのことに関する知識を持ち、そして影響を与えていたか、というものです。それは実際には、誰かがたまたま見つけたのではなく、その情報を必要としていた人たちが発見したのです。

Q. 今年の受賞作品が、インダストリークラフト部門に今後与える影響はどのようなものですか?

A. 先ほどもお伝えしたように、クラフトは素晴らしいものです−タイポグラフィーから、ニューヨークの壁面にあるミューラルまで、多岐に渡ります。カンヌへの参加は、いつでも楽しいものです。カンヌは常に私に、これが新しくて新鮮で、こういうことを考えなくてはならないんだ、と教えてくれるからです。常に故郷に立ち戻って考えるのですが、現在では可能なのに、全く思いもつかなかった、というようなものがあるのです。そして、インスピレーションがあります。クラフトもそうですが。皆さんが作品にとても⻑い時間をかけてきたということが分かります。例を挙げます。小さいことですが、素晴らしいことです。私は審査員室の中で、45分間も鰯の缶を握りしめ、イラストレーションがどうデザインされているか、市場でいかに目立つか、ということを評価していたんです。このようなエージェンシーの同僚に話せるようなこと−鰯の缶やタイポグラフィーにどれくらい時間をかけた、とか。他の例を挙げると、影を⻘か紫どちらにするかで、何日、何週間、何か月と話し合った、とか。こういうことが大事です。ですので、私にとってクラフトというのは、とにかく作品への思いやり、情熱、愛がどれだけ大切か、ということなのです。それが最も重要なんです。

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