営業はモノを売るだけの仕事だと思っていた私の、人生を変えた2人の営業マン～2人目～

サーフィン教室から始まった一生涯の付合い

私の人生を変えた営業マン2人目の話。彼との出会いの場所は、ビジネスの場ではなく、ちょっと海の男を気取りたくなって通い始めた、サーフィン初心者教室の海辺でした。レッスン中、たまたまペアになった彼が、帰りに車で送ってくれたことが始まりでした。お互いに自分の仕事のことは大して話すことはなく、近場に車で行けるちょうど良いご飯屋さんもなく、日を改めて飲みに行きましょう、と約束した程度でした。

彼は保険の営業マンで、独立を視野に入れた別の保険会社への転職をする前の休暇中に、帰省している最中だそうでした。保険の営業と言えば、まずは自分の友人から紹介する、ということはよく聞く話で、実際、転職したばかりの別の友人から保険を勧められたこともありました。サーフィンで知り合ったその保険の営業マンBさんも、きっと保険の話はするんだろう、くらいには思っていたものの、同じ趣味で知り合った仲、1ヶ月ほどして飲みに誘われ、保険の話はそこそこに聴こう、くらいの気持ちで、再会をしました。

聴くに徹する営業マン

Bさんは保険会社から保険会社へと転職したばかりで、新しい保険の勉強をしているので、その話を聴いて欲しい、という申し出が事前にありました。飲みに行く前に、1時間ほど、カフェで保険の話を聴きました。まだ練習中なので、ということで、いくつかの質問をさせてもらいながら、私自身は既に保険には入っていたので、ただ、話を聴くだけ聴いて、お店を移動しました。そこで押し売りされることもなく、移動した後、Bさんは保険の話は一切しませんでした。

お店を移動したあとは、気づいたら、私ばかりが話をしていました。営業にも慣れてきた私自身は、聴き上手だと思っていました。自分自身が話すよりも、相手に話してもらうことが得意だと思っていたのですが、Bさんはその上の上をいっていたようで、彼の質問や相槌、ちょっとしたリアクションに乗せられて、普段、人には言わないような自分自身の人生について、まだ会って2回目のBさんに、気付けば沢山、話をしていました。

この人に頼りたい、と思わせる何か

ちょうどその頃、私は、会社でどんなステップアップをしていくべきか、悩んでいた時期でした。上司から言われている期待と、自分自身が何をやりたいと思っているのか、整理がつかない時期にありました。そういう悩みは、違うステップを歩んでいる会社の同僚には相談しにくく、友人にも会社の内情まで詳しく話さないと理解しにくい内容で、なかなか核心に迫った相談に乗ってもらえる相手はいませんでした。ところがBさんは、そんな私の迷いを、上手く聴きだしてくれて、アドバイスをくれるというよりは、はじめから私自身の中にある答えを上手く導き出してくれて、背中を押してくれました。翌日私は、Bさんと話したことで、上司との面談で大きな一歩を進めることが出来ました。

そんなBさんと、ただの友達でもなく、上辺だけの仕事上の付合いでもなく、今後も頼りにさせてもらいたい、と思った私は、既に入っている保険を解約してでも、Bさんに担当になってもらおうと、無意識のうちに思っていました。

もちろん、Bさんも、保険の契約をしたいという気持ちは少なからずあったはずです。でも、Bさんがそこまで計算していたわけでもなかったと思います。大前提として、カフェで1時間話した際に、新しい保険のことは勉強中とは言え、保険の営業マンとして、信頼できるだけの知識があったのも事実です。それ以上の信頼を、自然に勝ち取ったBさんの姿は、営業マンとして、見習うべきことがたくさんあり、営業の先輩としても、お付合いを続けさせてもらい、これからもお世話になっていきたい、と思わされました。

人生の節目に必ずアドバイスをもらう程の信頼感

金谷のライフプランナーです、なんて偉そうなこと、Bさんは決して言いません。ですが、このときの上司との面談前の相談はもちろん、その後の私の人生の岐路のたびに、話を聴いてもらったり、必要な人を紹介してもらったりして、お付合いが続いています。しかもその相談は、直接保険とは関係のないこと方が大部分を占めています。もう5年くらいお世話になっているような気になりますが、実は、もうすぐ丸2年が経つ程度です。その間、本当に何度も頼りにさせて頂きました。私自身のことはもちろん、私の友人のことにまで相談に乗ってもらったことがあるくらいです。

保険の営業マンは離職率が高いらしく、また、自分の会社の保険しか勧められない、というジレンマがあるそうです。Bさんは、一生涯、担当として、その人の人生を共にして、そして独立したら、一社だけの保険を勧めるのではなく、複数の保険を扱えるようになり、本当にその人のライフプランにあった保険が提案できる営業マンになりたいそうです。

私もそんな、お客様と伴走し続けるような仕事をする人間になりたいと思っています。