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「オンライン模試」リリースから1年。 プロダクトチームの進化の軌跡。

写真左から鈴木、鵜飼

鵜飼 一平/日本の進学校から高3の夏にカナダに留学。英国エディンバラ大学で言語学と情報学を学び2008年卒業。 学生時代から幅広いエンジニア経験を積み、言語学を活かした英語学習サービスの開発等を経て、近年は『教育』にフォーカス。教育への想いとアジャイルなプロダクト作りへのこだわりからマッチする転職先が無く迷っていた時に、創業前のatama plusに出会い「これしかない」と参画。 認定スクラムマスター、認定スクラムプロダクトオーナー

鈴木 宥史/千葉県出身。新卒でLIFULLへ入社し、不動産情報サービスの運用・開発、新規サービスの設計・開発を担当し、スクラムマスターも経験。atama plusには、全社的なアジャイル開発の実践、およびプロダクトに対するDevとUXのチーム構成に惹かれ、2020年4月に入社。自身の受験時代をどうにか思い出しつつ、勉強が少しでも楽しくなるようなユーザー体験を届けたい。

3ヶ月でつくり上げた新規プロダクト「オンライン模試」

― 「オンライン模試」のプロジェクトはどのようにスタートしたのでしょうか?

鵜飼:新型コロナウイルスの状況を受けて、2020年4月に「駿台さんと7月の共通テスト模試を共同でオンライン実施できないか」という話が持ち上がり、プロジェクトが始まりました。

もともと自分はエンジニアとして「atama+」を作っていたのですが、急遽「オンライン模試」のタスクフォースを担当することになりました。

鈴木:私は入社直後だったので、オンボーディングが終わった後、すぐにタスクフォースに入った感じです。当時はちょうど緊急事態宣言中だったので、ずっとフルリモート勤務をしていて。初めてメンバーと対面したのは、7月初旬でした。笑


― それは大変でしたね!他にどんなメンバーが参加したのでしょうか?

鵜飼:プロダクトオーナー兼タスクフォースオーナーが1人。私と鈴木さんを含めてWebエンジニアが4人、UXデザイナー1人、QA1人、他チームと兼任のインフラ担当エンジニアが1人の体制でした。

4月下旬にキックオフしましたが、模試の実施は7月27日と決まっていました。数万人規模が同時に受験するプロダクトの開発をたった3ヶ月でやりきる。チーム一丸となって全速力で走る日々のスタートでした。


― なかなか凄まじいスケジュールですが、まず何から手をつけましたか?

鈴木:プロジェクトの目的や背景を、チーム全員で目線合わせすることからはじめましたね。何を成功と定義して、何を目指すのかを議論して。第1回目のオンライン模試については「無事にオンライン模試を成功させること」を目指すことにしたんです。

鵜飼:早い段階から全体計画を作ってそれに沿って動くことより、リスクが大きいところから実装していくことを常に意識しました。もし状況が変わったとしても、その都度、優先順位の立て直しができるようにしたいと。


― 短期間でプロダクト開発する中で、優先順位の見直しはどのように行っていたのでしょう?

鈴木:スプリントのリズムに合わせ、最低でも週1回程度で見直していたと思います。プロジェクトが佳境を迎えてからは、都度、必要なタイミングで声を掛け合いましたね。

鵜飼:「全員がオンラインで模試を最後まで受験できる」状態にするために、諦めることや捨てることを見極めながら、本当に必要なことにフォーカスすることを心がけました。

― タイトスケジュールのプロジェクトでしたが、大きな問題は発生せず順調に進んだのでしょうか?

鈴木:いえ、ここには書ききれないことも含め、大小様々な問題・トラブルだらけでした。いま振り返ってもよく乗り越えられたなと...。

鵜飼:全員でプロジェクトの目的や背景をしっかりと共有できていたこと、個々人の責任感と技術力・スキル、そういった諸々がうまく噛み合ったことが大きかったのかなと思います。

新規プロダクトも、全員でつくっていきたい

― 開発の中で、印象的だったできごとはありますか?

鵜飼:やはり、全社員がベータ版のテストに参加してくれたことでしょうか。挙がったフィードバックはなんと1,300件以上。それらをもとに改善を重ねたこともあり、ベータテスト前後でユーザー体験は格段に進化しました。

atama plusには、全員でプロダクトをつくるカルチャーがあって。それは、既存プロダクトだけでなく、新規プロダクトでも同じだなと実感しました。

鈴木:あれは、本当にありがたかったですね。早く作って、フィードバックをもらいながら品質や体験を磨いていったあの経験は、今もチームの土台になっています。

個人的には、最初からカスタマーサポートの体制があったことも印象的でした。ビジネスチームの方が体制構築を主導してくれて。基本的なパソコン操作のような問い合わせも多いのですが、めちゃめちゃ親身に対応されていました。N=1のユーザーに喜んでもらうために、できることを全部やろうという精神は、すごくatama plusらしいなと。

鵜飼:本当にみんなの総力戦で完成させた感じでしたね。開発の途中で他チームにヘルプをお願いしたり、採点データの作成でコンテンツチームに奮闘してもらったりと、本当に色んなメンバーが関わってくれたおかげで、実現できました。


タスクフォースから「プロダクトチーム」への進化

― 難易度が高いプロジェクトをやり遂げたことは「大成功」と言えると思うのですが、タスクフォースとしてはどのように捉えていたのでしょう?

鈴木:リスクの高いところを見極めながら、短期間でもやり遂げられたこと、全社一丸となって取り組めたことはよかったと思います。成功の事実は、私たちにとっても会社にとっても大きな自信に繋がりました。

鵜飼:一方で、第1回のオンライン模試は「完成させることがゴール」になってしまったという反省があって。期限までに実施することに全力投球してしまい、オンラインならではの価値といったことに目を向ける余裕がなかったんです。典型的な「ビルドトラップ」に近い状況だったな、と。

― それはまた随分とストイックですね(笑)。しばらくは成功の余韻に浸りたくなるような気がしますが...

鵜飼:半年後の12月には次回模試の実施、また翌1月には新たなオンラインテスト立ち上げが決定していたこともあり、タスクフォースの「正式チーム化」が決まったんです。

「チーム」として「プロダクト」を作り上げていく以上、ビルドトラップに近いことを繰り返すわけにはいかない、継続的な価値・成果を生み出せるように変化しなければいけない、という危機感をみんなが強く感じていました。

鈴木:実際、初回の模試後に取ったユーザーアンケート結果は、嬉しい意見だけではなかったんです。「国語のページの行き来が大変で、そこに時間を取られてしまった」「いつも通りの解き方ができないので、模試の役割を果たしていない」「紙の方が何倍も解きやすい」など、率直で辛辣な意見もたくさん届いていました。

なので、これはまずいよねと。8月に3ヶ月間の総括・振り返りを行い、「アウトプット」ではなく「アウトカム」を追い求める「プロダクトチーム」になろうという話し合いをしました。


― プロダクトチームへの進化に向けて、具体的にどのような取り組みをしたのでしょうか。

鵜飼:まず『INSPIRED』という書籍の読書会を行い、真のプロダクトチームとは何か、アウトカムを追い求めるとはどういうことかの共通認識を作りました。書籍を鵜呑みにしたわけではないですが、冷静に客観的に、今の自分達に不足していること、これから目指していきたいことなどを明確にしていきました。

― 読書会を通じて、チームにどんな変化がありましたか?

鵜飼:端的に言うと、プロダクト開発に対するマインドセット、「全員でプロダクトをつくる」ことへの理解が深まったと思います。ディスカバリーと呼ばれる、アイデアの妥当性検証に対する意識が高まったことも大きな変化でした。

鈴木:私はディスカバリーに関する経験が浅かったので、読書会で認識をあわせられたのはとてもいい機会だったと思います。

フォーカスする課題に対して、アイデア出し・第一歩目のアプローチ選定・低コストでのプロトタイプ構築・ユーザーテスト・その観察を通じた学習・プロトタイプや課題そのものへのフィードバック...そんな一連のサイクルに、職種を超えて文字通り「チーム全員」で取り組むようになりました。

鵜飼:最初は手探り状態でしたが、「小さく早く検証する」というサイクルを重ねるうちにやり方も洗練されていって。やみくもに多くをアウトプットするのではなく、成果に繫がる確信が持てるような「確かなアウトプット」を着実に積み上げていく。本質的な意味で「プロダクトチーム」に近づけている実感を、全員が持てるようになってきました。



― 正式にチームとして発足してから約1年が経過しようとしています。現在のオンライン模試及び模試チームの状況を教えてください。

鈴木:オンライン模試の状況としては、「共通テスト模試」は年3回、2021年1月から始まったオンライン限定の「学力判定テスト」も年6回開催されています。少なくとも隔月ではいずれかの模試が行われていて、なかなかハードです。

鵜飼:模試チームとしては、それらすべてを確実に運用していくことはもちろん、重要な課題には取り組み続けなくてはいけません。結果的に、プロダクトには毎回何らかのアップデートが加わっていますが、総じて「打率」が高い状態を保てているかなと。打ち手の妥当性を事前に検証し、確度を高めて世に出すことがうまく機能しているのではないでしょうか。


― プロダクトチームとして順調に成長を遂げられている感がありますね。チームとしての最近の取り組みやチャレンジについて教えてください。

鵜飼:開発プロセス自体の改善やボトルネック解消など、より価値創出にフォーカスするための基盤整備にもチームが自律的に動けている実感があり、チームとしての成長を感じます。直接的な機能やユーザー体験の改善だけでなく、課題を整理したり、成果を挙げるためにどの課題に取り組むかを考えたりすることにも、チーム全体で取り組んでいます。

チームでMissionに向かえる人と、働きたい

― 模試チームでの仕事において、atama plusらしさを感じることってありますか?

鵜飼:メンバー全員がプロダクトオーナーシップを強く持っていることでしょうか。チーム全員がプロダクトに対して適切なオーナーシップを持ち、チームとしてプロダクトをマネジメントする。これは非常にatama plusらしい一面かもしれません。

創業時からatama plusにいますが、「理想のプロダクトチームってなんだろう」「atama plusらしさってこうあって欲しい」と、あるべき姿にこの1年間向き合った結果、実感として他のどのチームよりもatama plusらしい「プロダクトチーム」に近づけたと感じています。

鈴木:本当にそう思います。プロダクトを良くするために、チームの一員として自ら仕様を考えながらコードを書いて、モノづくりができる働き方はとっても楽しいですね。



鵜飼:とはいえ、チームとしてもプロダクトとしてもまだまだ至らない点だらけなのも事実。これからも成長の歩みを止めることなく前進していきたいです。


― これから一緒に働くとしたら、どんな人とご一緒したいですか?

鈴木:atama plusのMissionやValuesに共感してくれる人ですね。プロダクトを通じて、生徒に喜んでほしいという思いが強い人が集まっています。あとは、チームとして成果を上げることが好きな人は、特に向いている環境だと感じます。

鵜飼:すごく尖った人と一緒に働きたいですが、一方でただ尖っているだけではなくて、「一緒に同じところに向かうぞ!」と、力を合わせられる人が良いなと思います。atama plusは、プロダクト作りに本気で取り組んでいる会社です。そこがベースにあって社会を変えようとしているので、興味ある方はぜひ一緒に働きましょう!


※この記事は、2021年6月時点のインタビュー内容をもとに、2022年7月に再編集しています。

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