株式会社アスコエパートナーズは、ソシオメディア株式会社、トッパン・フォームズ株式会社と連携して、パブリック・エクスペリエンス・アワード運営委員会を発足し、令和元年5月10日、「パブリック・エクスペリエンス・アワード2019」を開催しました。
東京23区と全国の市、計815自治体の公式ウェブサイトを対象に、ユーザビリティの面から専門的かつリアルなコエによる利用者目線で評価し、6賞7選を表彰!
調査期間は2018年10月から11月、毎日100以上の自治体ウェブサイトをチェックするリサーチャーが、東京23区と全国の市の計815自治体のサイトを対象に、下記の基準で評価しました。
(1)利用者視点で見た際に、直観的に好感を覚えるか
(2)行政サービス制度が、説明項目ごとに整理され、理解しやすく書かれているか
(3)構造的合理性の観点による、ユーザビリティ(使いやすさ)とファインダビリティ(見つけやすさ)
さらに、得票数上位30自治体を対象に下記の評価を行い、受賞自治体を選定しました。
・乳幼児医療費助成サービスの充実度
・シニア向け見守りサービスの充実度
・情報量・視)線の動き・色使い(色弱者への配慮)の観点による「ファインダビリティ(見やすさ、探しやすさ)」
■受賞自治体と受賞理由
◆みんなのコエ賞」:埼玉県川越市(※得票同数1位)
小江戸の風景を大写しにしたトップページや、イメージ写真を多用したメニューページなど、雑誌のようなデザインが好印象。行政サービスを説明するページでは、「概要」「サービスを受けられる人」「サービスの内容」「手続き方法」と、読み手が知りたいと思う順に文章が書かれています。読み手にストレスを与えない作りが得票につながりました。
◆「みんなのコエ賞」:滋賀県甲賀市(※得票同数1位)
行政サービスの説明は見出し付きで項目分けされていて、一つ一つが短文で、"頭の疲れない文章"が読者の理解を促します。また、スマートフォンからのアクセスが多い近年、短文で構成されたページは小さな画面でも読みやすく、利用者の実態にも則した作りと言えます。こうした利用しやすさが好感を得て、票を集めました。
◆「UMカバレッジ賞」:茨城県笠間市
弊社が開発した「ユニバーサルメニュー(UM)」の設計思想に基づく情報網羅性に関するサイト評価を行いました。「児童手当」や「家族介護慰労金」など市民目線で関心の高い69種類の行政サービスについて情報掲載状況を調査し、サイトに対象行政サービスについてのページがあった数で、815市区をランキングしました。笠間市のサイトには69種類中59種類の行政サービスについてのページが存在し、単独1位となりました。
◆「子育て制度コンテンツ賞(乳幼児医療費の助成)」:石川県小松市
「乳幼児医療費の助成」は、お子さんが健康保険を使って病院などにかかったときの医療費を負担する行政サービスです。石川県小松市では、入院・外来を問わず、18歳のお子さんまで助成が受けられるほか、所得制限が無く、自己負担も不要。小松市にお住まいの子育て世帯を支えています。
◆「シニア支援制度コンテンツ賞(シニア向け見守りサービス)」:茨城県笠間市
「シニア向け見守りサービス」は、家庭内における急病や事故等に備え、緊急通報装置を設置するなど、高齢者の精神的な不安を解消し、日常生活の安全を確保するための行政サービスです。茨城県笠間市では、すべての高齢者を対象に、月に1回安否確認を実施するほか、24時間いつでも医療や介護に係る資格を持った職員に相談ができるなど、充実したサービスを提供しています。
◆「ファインダビリティ(見やすい・探しやすい)賞」:茨城県笠間市
ソフトウェアを用いて、情報量・利用者の視線の動き・色使い(色弱者への配慮)を中心に審査しました。メニューアイコンの適切な配置と大きさにより、視線をしっかり誘導できていること、大小の見出しの区別が明確で利用者が階層を理解しやすいこと、の2点において特に高評価で、見やすく目的の情報を探しやすいサイトであると評価しました。
◆「ユーザビリティ(使いやすい)賞」:大分県別府市
ウェブサイトは情報システムと情報メディアとしての2つの側面を持ったコミュニケーションツールです。そのため、コンテンツの前提としてのユーザビリティが欠かせません。別府市のサイトは、情報構造が明快かつ統一的に整理されており、堅実で合理的な情報アクセスを優先している点、デザインがひときわシンプルで一貫性のある点、レイアウトもレスポンシブで閲覧環境への適応性が高い点を評価しました。
イベントでは、自治体ウェブサイト部門の表彰のほか、「行政におけるデザインシンキング」をテーマにした、総務省行政管理局調査官、大西一禎様の基調講演と、滋賀県職員によるサービスデザイン実践、Policy Lab. Shigaの事例紹介も行われました。
■アワード開催の背景
近年、行政に関わるさまざまな取り組みの中に、「サービスデザイン」や「デザインシンキング」といった、実際の人々の行動や考え方を起点としてモノゴトを創り上げる実践がなされてきています。国や自治体など「公共」部門に関わる行政機関が、住民や地域に密着した姿勢をもってエクスペリエンス設計を推進している活動のベストプラクティスを広く共有することによって、新しい公共のあり方を共に創っていく。こうした想いやビジョンを、国や自治体、そして民間企業や利用者の方々と共有していくことを目的としています。今後はアワード内容を徐々に拡大し、毎年開催していく予定です。本イベントを通して、新しい「パブリック・エクスペリエンス」を創っていく機運を高めていきます。