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社員数約200人の地方住宅ベンチャーが新卒で職種別採用やスクラム採用やってるってよ

創業25年を迎えるアーキテックスでは、2005年から新卒定期採用を行っている。東海エリアの学生を中心に約2,000名のエントリーを数える同社は新卒採用では珍しいスクラム採用や、完全職種別採用等のユニークな採用手法を採用している。2021年度からは次世代人材の採用を目的とした「事業家人材コース」の採用にも着手。首都圏と比べ人材流動性の低い地方都市での採用、人材育成のアップデートは会社経営のコア領域である。事業責任者としてけん引するキーマンにアーキテックスの新卒採用に対する想いを聞いてみた。

話者プロフィール

太田茂孝 愛知県出身。大学では建築学を専攻し、当時十数名しかいなかったアーキテックスに新卒で入社。賃貸物件の退去修繕リフォームや新築、賃貸リノベーション事業の営業・現場監督を歴任。2015年に本社がある岡崎市でエンドユーザー向けリフォーム事業(カナルリフォーム)を立ち上げ、事業責任者として成長戦略、マーケティング、組織づくり、人材採用から育成までを一手に担う。


太田さんはリフォーム事業部の責任者をしながら採用チームも兼任していらっしゃいます。今回はアーキテックスの採用、特に新卒採用に特化して色々とお話伺います。

太田:新卒採用は今年で18年目を迎えます。実は私自身が新卒採用1期生 として入社しました。大学では建築学を専攻しており新築戸建の施工管理の仕事がしたいと考え就職活動をしていました。当時は創業事業である“アテイン事業”しかないアーキテックスでしたが、今後新規事業として新築を手掛けるということや、代表の近藤さんに魅力を感じ当時15名ほどしかいなかった会社に飛び込みました。念願であった新築の事業にも携わり、現在では立ち上げメンバーとして携わったリフォーム事業部の責任者をしながら、採用の責任者も兼務しています。

新卒採用の大きな特徴として選考開始から、希望の職種だけでなく事業まで選択できるようになっています。

太田:現在では大きく分けて5つの住まいに関わる事業展開をしています。アーキテックスでは6年前から職種だけではなく、所属する事業部も選考から配属まで学生に選んで頂くという採用方式を選択してきました。個人の志向性が多様化してきたことや、人材の確保、定着の課題感から、最近では一部の大手企業でも総合職採用から職種確約やエリア限定採用なども増えてきましたが、我々は個人のやりたいことに極力寄り添って新卒採用を行ってきました。

いわゆる総合職として採用をして、配属時に何をするかわかるという仕組みと比べると手間のかかる部分も多いと伺いました。

太田:当然総合職採用にして、配属時に振り分ける方が採用効率は圧倒的に良いと思います。それぞれの職種ごとに魅力訴求することも容易ではありません。例えば“営業職”ひとつを取ってみてもBtoBモデルであるアテイン事業と、BtoCのその他の事業では営業手法は全く異なります。BtoCでも私が携わるリフォーム事業では売り上げの多くは数十万~百万円程度の金額帯ですが、新築事業部では数千万円が建築費となります。当たり前の話ですが利用頻度が異なりますし、営業が顧客一人当たりと向い合う時間や接点回数も異なります。コミュニケーション能力や、やり切る力等求められるスキルやスタンスは共通化できるものも多くありますし、学生の見極め自体は自社でセットアップできるものの、説明会やメディアを通じて事業や職種の理解をしてもらい、学生自身に選んで頂くのはかなり難易度が高いと感じています。

太田:ただ、「キャリアの最初からこの仕事で自身の自己実現をしたい」と強く思ってくれる学生には良い仕組みだと思っています。実際にこの採用フローを確立した2017年以降、選考開始時に希望をした職種での配属率は約95%です。もちろん会社組織として異動がゼロというわけではありませんが、3年以内の別職種や事業部への異動は約10%という実績です。この異動もスキルアップや、別職種へのチャレンジの異動であり、本人の申し出や意思を尊重して行います。現在では異動によりその職種におけるトッププレイヤーのメンバーも出ています。


もう一つ個人的に驚いたのがスクラム採用と呼んでも良いかと思うのですが、事業部側がかなり主体となって採用活動に関わっているなということです。

太田:おかげさまで創業から25年で売上84億円という事業規模まで拡大することができました。各事業部でカンパニー制を採用し意思決定スピードを早め、各ブランドを磨き続けることでバーティカルに各事業を成長させてきました。半面、個別最適を“やり過ぎた”部分もあります。先ほどもお話した通り、事業毎に営業手法が全く異なります。競合が比較的少なく、事業フローを確実に実行することが求められる営業もあれば、競合が多く競争の激しい事業では2の手、3の手を次々に仕掛けていかなければすぐに淘汰されてしまう領域も存在します。こういった事業では、確実性よりも提案能力やクリエイティビティが強く求められることもあり、事業部毎に“色”ができてしまい、欲しい人材が全く異なるという状態になっていました。

太田:ただ、事業や会社の成長と比例して毎年エントリーして頂く学生の数も増えていき、先期は2,000名を超える学生にエントリーをして頂きました。もちろんより多くの方とコミュニケーションを取らせて頂きたいですが面接官の人数にも限界があります。総合職採用のよう入り口を一括に切り替えることも検討しましたが、学生の「やりたい」や「叶えたい夢」に寄り添ってきた我々の意地のようなものもありましたし、時流を見てもより個人の指向性に沿った採用をすることは競合優位性にもなると考え3年前から事業側も巻き込んだスクラム採用に舵を切りました。

事業部側と採用チームの役割について教えて頂けますか。

太田:これまでは書類選考や1次面接を人事側で対応し、2次面接、最終面接を各事業部から選出した管理職メンバーや代表で選考を行っていましたが、複数回のインターンシップ後の選考フェーズからは書類選考のみを人事側で担当し、その後は学生の希望に沿った事業部側のリクルーターを学生に付け、複数回の面談を行い、選考官の面接を経て、またリクルーターによる面談、そして最終面接というフローにしています。

太田:リクルーターには選考から切り離された存在とし、学生のキャリアについて徹底的に寄り添ってもらいます。もちろん、社会人の先輩として自身の仕事や経験を話してもらいますが、学生からすれば希望職種の先輩社員なので、より仕事の内容や人柄も含めた部分の解像度が上がると考えています。また、事業部毎に採用定例を行いリクルーターの所感を他のリクルーターや選考官も交えて共有します。そうすることで、選考官毎に属人的な目線であった評価基準の目線合わせをすることが出来ます。もちろんまだ仮説と検証をしながらの状態なのでこれがベストではないかもしれませんが、評価シートのフィードバックだけでは伝わりづらい温度感をチーム全体で共有することで、誰が選考をしても評価のブレが少なくなってくると思っています。結果、元々各事業部では異なるとされていた人材要件にも多くの部分で共通化できるものも見えてきましたので、採用チームにフィードバックし書類や初期選考、または魅力訴求の導線にも活かすことができています。

「事業家人材コース」ということで新たな採用経路も設けられました。背景や狙いを教えてください。

太田:2年ほど前から今後の非連続な成長を目的に、より挑戦的な人材採用に着手しました。今期はこの経路からも内定者の方が出てこられました。もちろん新卒採用はどの企業もそうだと思いますが、全員が「幹部候補生」や会社の根幹を担ってくれることを期待して行っています。我々も同様ですし、入社されてからの成長度や活躍された方が次世代を担う人材としてしかるべきポジションに登用されます。入社してからの期待値に違いはありません。ただ、期待している方向性については違いがあります。アーキテックスの事業である“住まい領域”において新たな価値創造をしてもらえる、そんな強い事業家志向を持った学生と出会いたいと思っています。



太田:住宅や建設業界はコロナ渦以降、ウッドショックを皮切りにロックダウンやウクライナ情勢等もあり住宅建材や設備の高騰、品薄が相次いでいます。また、十数年ぶりの円安水準や為替介入によりローン金利上昇等様々なリスクを抱えています。また、建設業は職人の高齢化や不足が長期的に課題とされていますが、解決の糸口は見えていません。しかし、どんな状況下にあっても家や住まいというものは人生において切っても切り離せません。我々のような地域密着企業だからこそ、細やかなサービスやスピード感のある課題解決等できることは多くあると考えています。例えば、私の担当するリフォーム事業は岡崎市だけで年間1500件ほどの実績があり全て自社で請負い施工していますが、新築のオーナー様がすべてのリフォーム機会で我々のサービスを利用していない現実もあります。各事業部で独自のブランドを磨いてきたため、ブランド名が違うと違う会社だと思われ利用機会の損失ということもあります。これが100%の利用率になれば、集客コストを価格に転用することも可能ですし、顧客にとっても同じ会社に任せることで金額だけでなく、探す手間やコミュニケーションコストを省略することもできます。また、ToCの両事業では顧客や物件管理にSaaSを導入しており、新築を我々で建てて頂くとで設備の仕様や、構造もすべて把握することが可能です。極端なお話ですが、こういった技術を活用することで現地調査を無くし、自社データと顧客が撮影した写真のみで翌日にはリフォーム工事を着工することや、人が介在しない工事の手配まで可能な未来が作れるかもしれません。このような仮説の設計、実行を多角的な視点で行える、そんなチャンスが今のアーキテックスには沢山あります。


最後に出会いたい、お話したい学生像があればお聞かせください。

太田:「しつこく考えて、しつこく実行する」という人こそが、活躍し成長していくと考えています。仕事というのは、簡単なことばかりではありません。特に若いうちには、自分が満足のいく成果が出ないということも珍しくありません。そんな中でも、現状に満足せず、健全な自己否定を繰り返し、変化することができる。そうした思考・行動の習慣がある人こそが、社会で価値を生み出せる人財になっていきますし、そうした習慣を育てていくことがアーキテックスグループの教育の根本でもあります。

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