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インフラエンジニアってなんだろう?詳しそうな人に話を聞いてみた

お久しぶりです。

コロナ禍で働き方やその探し方が大きく変わったという方が多いことと思います。これまでにも時代の変化の速度は日に日に増していっているように感じていたのですが、思いもかけないきっかけで世界が大きく様変わりするところを目の当たりにし、筆者は不思議な気分です。

さて、皆さんはインフラエンジニアという仕事をご存知ですか?

よく耳にするインフラ(infrastructure, 「基盤」の意)という言葉は、一般的には道路や水道や電気などのいわゆる社会基盤を意味します。一方、システム開発においてインフラとは、サーバネットワークOSなどを指します。
つまり、インフラエンジニアは「サーバやネットワークやOSなどといったシステムの基盤になる部分を専門に扱う技術者」ということになりますが、ネットで検索してみても「つまりどういうことをしているの?想像がつきにくい…」と思った方もいるのではないでしょうか。

今回は「インフラエンジニアってなんだろう?」というテーマで、インフラエンジニアそのものではないもののインフラ系のプロジェクトにて活躍中の樋口さんにお話を聞いてみました。


Q. ご自身の職種について、どう表現されますか?

A. Sierです。

お客様からの要件を整理し、確定した要件からシステム設計、設計からテスト、リリースまでの工程管理、リリース後のシステム保守の仕事をしています。実際のプログラムの作成は開発部隊(協力会社など)に依頼しています。
私はお客さんと開発部隊の間で受け口になっているかたちです。

現在携わっているのは、インフラに近い部分のシステムを作るプロジェクトです。実際にはSEともプログラマとも少し違います。今の仕事内容には要件整理、設計、プログラム製作、テスト、リリース、保守と作業の流れ、作業工程での知識・経験が必要です。プログラムの作成は行いませんが、言語自体はどのような言語でもよいのでプログラム知識は必要と考えています。

Q. これまでのキャリアについて教えてください。

A. 社会人になって23年間、プラント関係のシステム開発をする会社に勤めていました。

機械の自動運転、操業管理などといった部分に繋がる領域を担当していました。
実際に自らプログラムを作る場合も、他社に依頼する場合もありました。規模が大きな作業の場合は、メーカと連携していたこともあります。
業務内容はSEに近いもので、工場の操業について知らないといけません。電気、機械、土木、輸送、そういった幅広い知識を元に工場の自動制御・管理を行う必要がありました。

次に、ECUの組み込み系エンジニアとして別のところで5~6年勤めました
FlexRay(フレックスレイ)という次世代通信規格の基準書、機能安全(ISO26262)の解説書の作成、それをどうやって日本自動車企業の標準仕様とするかを考える、というような仕事をしていました。

今の現場に入ってからは6~7年ほどになります。

Q. 現在の主な業務内容について教えてください。

A. カード会社のコールセンター業務で使用している電話基盤システム(受架電業務、自動音声装置、コールセンター業務管理など)の開発、保守作業を担当しています。

カード会社のコールセンターは、盗難紛失、資料請求、ポイントの案内といった問い合わせが会員から届きますし、逆に支払い督促をするために会社から会員へ連絡することもあります。

一般の人(顧客)がかける番号(公開番号)は何種類も存在していて、例えば、資料請求がこの番号、盗難紛失はこの番号、というように分かれています。それらの番号ごとに繋ぐためにオペレータの電話への制御を行っています。

コールセンターには何十人ものオペレータが待機しています。同じオペレータにばかり繋がってしまうと大変なので、満遍なく全員にかかるような仕組みも必要です。また、待機人数の表示もしています。

上記の制御システムは、自前ではなかなか作れません。メーカなどが製品化したシステム(サーバ)を使って構築していくことになります。
目的によって必要な機能が微妙に違うので、その内容をカスタムしていく必要があります。我々はその設計や発注内容をお客さまと相談しながら決め、問い合わせるところを担当しています。製品を構築していく作業は、また違うシステム開発会社が担当します。

製品化されたシステムは中身がブラックボックス化されており、詳細な仕組みを知ることはできません。「こう使いたい時はこうしてください」というマニュアルに沿って、こちらで設定して動かすだけです。したがって、トラブルが発生したときは、ログを取得し製品メーカで調査、調査結果報告からトラブル事象の原因を判断し、対応策をメーカと協力しお客様に報告・対応を行っています。

トラブルにも、ネットワークなどの環境が悪い場合と製品(ハード、ソフト)が悪い場合があり、環境構築が悪いとシステム開発会社の責任になってしまいます。製品メーカに問い合わせする際にはその辺りの調査を行い、環境・ハード・ソフトの切り分けをしながらトラブルの原因を考えるため、ソフトウェアの構造や動き方も知らないといけません。

お客さんとお客さんの間で板挟みになったりもしますが、人との繋がりが好きな人にとっては向いている業務だと思います。インフラやネットワークなど幅広い領域の知識は必要です。目的・要件・制約・前提などを整理する能力、システム構成を理解しどのような技術を用いるべきかを判断できるレベルの経験・知識があれば大丈夫です。
逆に、技術力を駆使してものづくりをバリバリやっていたいという人には面白くないかもしれませんね。

Q. インフラエンジニアとはどんな仕事といえるのでしょうか?

A. アプリの画面は、ネットワークがあって初めて完成します。

アプリの開発を設計からリリースまで経験していないと想像しにくいところだと思います。自分の環境だけでアプリは作れても、それをどこにどうつないでどう表示するか、そこがインフラエンジニアの領域です。

現状、プログラマはサーバやインフラ面について理解していなくてもプログラミングはできるし、食べていけます。そこから踏み出して、例えばOSやドライバを自作できるようになっている人は強いです。さまざまなアプリやサービスを調べて、「何故こういう構造になってるのか?」と考えられるような視点を持てると良いですね。

今後は、ミドルウェアを作れるような技術力を持っている開発者でないと厳しくなってくるだろうなと予想しています。人間が設計さえすれば、コーディングは人工知能がやってくれてしまうでしょう。既にそういう方針をとっている会社はあります。

インフラについても、最近はクラウド化が進んでいます。企業が自前のサーバを使うというケースは減っていっています。サーバの代わりにクラウドの箱が必要なので、元々のインフラ担当者はそういった方向の技術に特化していくことになるかもしれません。また、クラウドを使用できない理由がある案件では、やはり自前のサーバが必要です。今後インフラエンジニアの需要がどうなっていくかは、まだ読めません。

Q. インフラ担当者はいつ呼び出されるか分からない、というイメージがあります。

A. その通りです。

「何もしていないのに壊れた」といってネットワークや構築に疑いをかけられ、対応を求められることはあるあるです。もっとも、お客さまの営業時間や稼働時間があるので、大抵そういう対応は日曜日の夜などに行われます。今のプロジェクトのお客さまはコールセンターで24時間365日動いていますから、その限りではないですが…。そういう意味で、不規則な勤務形態になってしまうことが多い仕事です。

「サーバがおかしい」「メールが飛ばない」というようなトラブルは会社として致命傷ですから、それを解決するインフラエンジニアは会社にとって大事な存在です。
このような負担や作業の重要度を考えると、それなりの対価(手当など)があるといいように思います。




ありがとうございました。

ITシステムは、PC・スマホのアプリからカーナビ、ATM、クレジットカードシステムに至るまで、あらゆる分野で生活に密着しています。その基盤を支えているのが、サーバエンジニアやネットワークエンジニアなどのインフラエンジニア(インフラ系エンジニア)と総称される人々です。

最近は樋口さんのお話にもあったように「サーバレス」「クラウド化」という考え方が流行っていますので、ハードウェアにはなかなか手を出せない…と思っている人にも挑戦しやすくなってきた職種といえるかもしれません。

筆者も改めて、いろいろなシステムに支えられて生きているんだなあと実感しました…。
今度ネットワークの仕組みについて少し勉強してみようと思います。


それでは。

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