【メンバー紹介】オリンパスを辞め社員4人のスタートアップに飛び込んだハードウェアエンジニアから見たアイリス

安見 卓志（やすみ たかし） / アイリス株式会社 エンジニアリングマネージャー

東京大学大学院工学系研究科にてヒューマンインターフェースの研究を行う。2015年3月修了。その後オリンパス株式会社に入社、機械系エンジニアとして次世代内視鏡の研究開発に従事。2018年7月、当時創業8ヶ月のアイリス株式会社にジョイン。エンジニアリングマネージャーとしてプロダクト設計開発およびチーム・プロジェクトのマネジメントを担う。

Hardware is hard

「ゼロからモノをつくるのは本当に難しい」と、つくづく思います。

アイリスでは、AI・ソフトウェア部分だけでなく内視鏡カメラなどハードウェアの部分も社内で開発しています。医療機器なので法規制などに基づいて作る必要があり、安易に設計変更できないのがハードウェア開発にとっては特に難しい点。これまで何度も試作を繰り返し、カメラは4種類、撮影の肝となる診察器具は20種類以上トライしてきました。思いついたモノをすぐに試したい場合は、自分で3D CADでモデルを作成して社内の3Dプリンタで作成することもあります。

スタートアップのスピード感でつくる

開発においては、タイムマネジメントがハードになることもあります。医療機器は通常、半年〜数年、もしくは大手なら数十年といったレンジで研究・開発することも多いですが、スタートアップではスピードが命。例えば6ヶ月はかかるプロジェクトも、チェックと作業の工程を効率的に進められるようガントチャートを半日刻みで管理して、想定の半分以下の2.5ヶ月で作り上げたこともありました。

世界一のものづくりに携わりたくて入社した1社目のオリンパスでは、内視鏡世界シェアNo.1に繋がる長年蓄積された知見・情報から多くを学ぶことができました。アイリスでは、自分たちが作ってローンチしなければ立ち行かないプレッシャーの中でスピードを意識しながら開発にあたることができ、オリンパス時代とは違った圧倒的な学びがあります。

試作から量産へ、0→1から1→10へ

また、量産化も必要となります。試作機はあくまで「試作」なので、言い換えるとまだ世の中には何も価値を提供できていません。量産機の開発体制を整えていく過程の、自分たちで0から作り前に進む面白さと難しさを感じながら、早く世の中に価値を創造していきたいと思っています。

ただ、この段階でもやはり難しいことがたくさんあります。複数のパートナー企業とやり取りし生産体制を作っていくのですが、信頼関係を構築しお互いにとってより良い着地点を見つけることの大変さを痛感しています。パートナー企業の期待を裏切らないよう、できることとできないことの線引きをうまく伝えるコミュニケーションを心掛けています。

29歳のマネージャーとして

エンジニアリングマネージャーの仕事は、大きく分けて2つ。

1つは、現在開発中の医療機器のプロジェクトマネジメント。パートナー企業との交渉や仕様取り決めを行いながら、社内の他部署のマネージャーとも議論しプロダクトのローンチに向けて奮闘しています。

2つ目は、チームマネジメント。現在このチームには5名の社員とインターン・副業が5名の計10名在籍しており、一人ひとりのスキルや性格から適材適所にアサインしてプロジェクトを推進しています。

自分の経験や知識が足りないと感じることもあります。 例えば社内でミーティングをしている時、ほかの出席者からは問題解決の選択肢が次々出てくるのに対し、自分はなぜ思いつかなかったのだろうと悔しい思いをすることがあります。

社内にも経験豊富なプロフェッショナルが揃っていますが、いい意味で何も教えてくれません（笑）。質問をしてもまずは必ず自分がどう考えているかを聞かれるので、質問は自分の意見を述べた上でするように心掛けています。わからないことはネットや本で調べながら、調べた内容を前提に社内のベテランエンジニアやパートナー企業と議論するようにし、常に周りの方から学び吸収するようにしています。また、業務上、年上の方と議論をすることが多いので、特に礼儀には気をつけていますね。

身近な課題に取り組むからこそのやりがい

アイリスが開発しているのは、インフルエンザの早期診断機器。インフルエンザは誰にとっても身近な課題なので、作り手としてのモチベーションも高く保てると思います。

クリニックで医療事務をしている妻からもよく「患者さんがインフルエンザで辛そうだった」といった話を聞きます。自分の取り組んでいる仕事が家族にとっても身近な課題に繋がっていること、家族も自分の仕事の意義を理解してくれていることが、大きなやりがいです。