新型コロナウイルスで、弊社の事業も多くの企業同様に経営危機に陥っています。東京での仕事(マルシェのプロデュース・運営)は全て中止(以前再開目処たたず 5/14時点)。北海道で展開している「SouseiMarche」2店舗も、商業施設に入っていることもあり、集客は激減、札幌店は商業施設全体での休業で店舗も休業(5月末まで少なくとも休業決定)。
日本政策金融公庫や信用金庫などに借入打診をしていくばくかの借り入れで時が過ぎるのを待つしかないのか、廃業までいくのか、今やれることはあるのか?とお先真っ暗な中、倒れるとしても前のめりに倒れたい。そんな状況を2月、3月と過ごしていました。
そんな中でこれまでの経験とつながりをフル稼働させられるプロジェクト「スマイルマルシェプロジェクト」が始動しました。急展開、大注目、少数運営、広がる輪と応援・・・本当に目まぐるしい一か月が経過し、ようやく少し落ち着いてきたので自分自身でも忘れないように備忘録として、概要編と裏側編の2本でまとめておきます。
<プロジェクト概要>
スケジュール
3月29日 イオンモール旭川駅前とヤマト運輸北海道支社の2社と初打ち合わせ
3月30日 事業計画書を作成し両社へ提出
3月31日 事業計画承諾をいただきスタート
応援団候補事業者へ連絡・打診など
AMAYADORIさんへロゴ製作打診
4月3日 SmileMarcheのロゴ完成
4月7日 オンライン北海道物産展仮設サイト完成
4月8日 SmileMarche店舗区画準備開始
4月9日 プレスリリース配信
4月10日 SmileMarche及びオンライン北海道物産展開店
各種メディアでの取り上げとSNS拡散(1日で注文件数5000件)
4月12日 受注件数が増え、発送体制などの見直しへ
4月19日 オンライン北海道物産展のアクセス数が100万PV突破
12,000件の注文で受注をストップ
4月30日 新サイトをOPEN/第2弾リリース
5月1日 第1弾お楽しみセット12,000件発送完了
スマイルマルシェプロジェクトとは?
はじまりは、イオンモール旭川駅前(以下イオン)とヤマト運輸株式会社北海道支社(以下ヤマト)の方々との打ち合わせからでした。3月下旬に「何かしたい」という打診があり、ちょうど旭川に入るタイミングだったこともあり、打ち合わせを行いました。
「何かしたい」の内容は、ヤマトがつながりのある全道中の食品事業者が全国での物産展の中止や観光客がほぼとまって販路が減り、食品在庫が積みあがっている状態にあり、これをイオンと組むことで何か解消ができないかということでした。そこで、2時間ばかり打ち合わせを行いディスカッションをしてだいたいの方向性や協力体制などを確認したうえで、これは時間との勝負だということが見えてきたので、「明日には企画書書いて出しますね」とお伝えしお開きとなりました。信じられていなかったのか、担当者たちが月曜日普通にお休み?で返信は無かったというオチでした(笑)
冒頭にも書きましたが、コロナの影響で私の事業もほぼとまっており、時間はありました。
コンセプトは、ペイフォワード
早速企画づくりを始めましたが、新企画で最初に考えるのがコンセプト。コンセプトというとそれっぽく聞こえてしまい、コンセプト=かっこいいキャッチフレーズ的なニュアンスで使われていたり、なんとなくふわっという感じでもありますが、私が尊敬するプロデューサーに昔教わったのは、
「コンセプト=何をしたいか」
というものでした。当時、何を=活動そのものでは?という風にも考えていましたが、ビジネスでもどんな活動でも、何かをするということは、
どんな価値をその活動で提供するのかということだと気が付きました。
今回の活動では、北海道の食品事業者を応援する(=取引を活性化させる)ことだけが決まっていたので、そこからどう膨らませていくのかを考えました。困っているから買ってほしいという活動は、他の事業者や活動でも先行している事例もありましたし、商品の品質や魅力にこだわりすぎると今度は事業者を選定して有名どころに偏って本末転倒だし、とぐるぐる考えている中で、この活動を通じてどうありたいか、なりたいかというのを考えていった時に、売買取引ではなくもっと広がりをもたせられる応援につながらないかなということにいたりました。
その応援も、応援される側と応援する側の2つに区分されるのではない形にならないかなと。というのも、東日本大震災後にも色々な活動をさせていただきましたが、明確に応援する側と応援される側とに区分され、大きな被災でもあったので短期間で戻ることなどもない中で、時間の経過と共に応援疲れが見え始めました。もちろん、困っている方を助けるというのはとても大切なコトですが、精神的に疲れ果てて応援ができないという思考にいたっては本末転倒だなとも思います。特に今回のコロナは全人類にとっての災害であり、全員が応援される側に回っている状況でもあり、そもそも明確に区分ができません。そうした中で応援される側も応援する側に、応援する側にも何かメリットがというのを考えていました。
そんな時に、ふと思い出したのが映画『ペイ・フォワード 可能の王国』です。日本では2001年に公開された映画でもう19年も前のことでしたが、『シックス・センス』や『A.I.』で主役を演じた当時天才子役と言われた、ハーレイ・ジョエル・オスメントさん(あれ、今調べたら4歳しか違わないのか・・・凄いな)が主演をつとめた映画で、簡潔に言えば、他人からの恩を受けたら3人に良い行いをする。そしたらきっと広がっていって世界は良くなる。というような映画で衝撃のラストシーンも鮮明に覚えているのですが、これだ!と。(※見たことない方は、是非一度見てほしいです。)その恩を送るということに、コロナでうつむき加減な中で笑顔を増やすというのも考えて
コンセプト=提供する価値=ペイフォワード(恩がつながる)
プロジェクト=スマイルマルシェプロジェクト
となりました。
▼ペイフォワードイメージ図
いつもプロジェクトはそうですが、コンセプトが固まれば後は早いもので、今回は各社の持つリソース、予算0で始められること、そしてとにかくスピーディーに出来るコトを加味して、さらにこれまで培ってきたネットワークや事業構築をフル活用させて、、、ということで一夜漬け企画書が完成しました。(なぜスピード感が大事かなどは次回に記載予定)
▼企画書(当時)の一部を掲載
リアル店舗とオンライン店舗の展開へ
今回のプロジェクトの事業活動としては、イオンモール旭川駅前1Fでの特設店舗「SmileMarche(スマイルマルシェ)」(※5月7日からは弊社店舗SouseiMarche内に移行)での販売と、オンラインサイト「スマイルマルシェ/オンライン北海道物産展」での展開の2つとしました。
店舗だけではリーチできる方が限られていますし、自粛要請の中でしたので大々的に宣伝や集客ももちろんできないので、オンラインを同時に立ち上げました。
▼店舗準備の様子(ちゃんとした店舗の写真を1枚もとれてませんでした)
▼最初の仮設サイト画面
第1弾=送料無料「お楽しみセット」4種類のみ販売
オンライン北海道物産展の第1弾商品は、中身が分からないお楽しみセットというものだけを販売しました。これは、多くの食品事業者が困っているという中で、商品を決めて販売してしまうことで応援できる事業者にバイアスがかかってしまうこともあり、なるべく様々な事業者への応援ができるようにと中身を伏せて販売を行いました。実際に、リリース時点では食品事業者へも同時進行で声掛けをさせていただいていたので、どんな内容になるのか運営している我々も分からない状況のまま進んでいたというのもあります。当初は、3000円・5000円・8000円の3段階でしたが、途中から12000円セットも追加で販売して4種類を販売としました。
そして、実際、これはそこまで売れないだろうなという風にも思っていました。中身が分からないのですから。100箱でも売れればいいのかなと、話していたのを覚えております。
10日で12,000件の受注/12日間で100万アクセス
さて、4月9日に準備も整い、PRtimesを活用してプレスリリースを配信しました。個人のFBやTwitterなどSNSでも展開しましたが、この反響が我々応援団の想像のはるか上をいくことになりました。10日から事業スタートといいいつつ、プレスリリースをうった手前、9日の時点ではサイトが閲覧・購入できるようにしており、9日の時点でこのお楽しみセットへの注文が500件近くはいりました。そこから、10日に各種メディアで掲載していただいたことで、翌日10日には約28万PVにつながり、1日で5000件近い受注をいただきました。あれよあれよとSNSやメディアで拡散していただき、10日間で12000セット販売となった時点で、発送体制の限界と初回の送料無料での利益度外視販売ということもあり限界を感じ一旦販売をストップしました。
▼アクセス数の伸び
WEB記事やTV、新聞など50媒体以上に掲載をいただき、人生で初のスマートニュースに取り上げていただき、様々なメディアで合計4回も掲載となりました。
受注後はとにかく12000件を発送しなくてはいけない為、各事業者の商品・在庫リストと価格と内容とにらめっこしながら発送体制や商品構成を考えながらひたすら作業をすすめていきました。(この辺の裏話?は次回に詳しく書きたいと思います)
そうして、5月1日に12000件の発送が終了しました。
第2弾展開、新サイト構築とようやく物産展らしく、そしてさらに様々な事業者からの連絡も
第1弾がおちつきつつある4月下旬、最初に利用していたサイト(STORES)では限界があった為、オンライン事業会社を目指していたわけではないのですが、ちゃんとしたサイト構築(STORESがダメなわけではないです。小規模小事業でやるにはうってつけです!)をするべく、Makeshopに切り替え、そしてようやく北海道物産展らしくさまざまな商品を展開できるようなカタチへともっていきました。
そして5月に入るとさらに多くの事業者からお声かけいただき、抱えている在庫の販売へ向けてなんとか売り切れるように新しいチャレンジをしているところです。
▼新サイト http://smilemarche.online/
ひとり親家庭と飲食店支援プロジェクトの準備も
当初のプロジェクトの一環として、コンセプトでもあるペイフォワード(恩送り)の概念で、ひとり親家庭の支援と飲食店の支援を1つのカタチで実施したいという考えがありましたが、コロナの影響も色濃い中、気軽に飲食店でひとり親家庭を招待しての食事会とはいかない為、こちらは安全面などに考慮しつつ売上の一部を充当して今後活動展開をしっかりと行っていきたいと考えております。拠点がある旭川や札幌もそうですが、他の地域へ出向いていって道産食材を食べる支援活動などをしても面白いかなと考えています。(コロナが落ち着きをみせて移動しても大丈夫になればです、もちろん)
プロジェクト立ち上げの裏側・裏話へ
スマイルマルシェプロジェクトの概要は以上となります。こちらは、割と表面的なお話として書かせていただきました。次回は、裏話?というほどの話ではありませんが、実際に運営していく中での葛藤や気付きなどノウハウという程ではありませんが、自分自身の振り返りとしても使えるような内容を書いていきたいと思います。
ここまでお読みいただいた方は、よろしければ下記も丁寧にまとめていただいておりますのでお読みなってみてください
東洋経済オンライン「ネット上の「北海道物産展」に注文が殺到した訳」