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農家や地域の方々と、よそ者プロデューサーで会社をつくり学びの場をつくってみた(後編)

前編では、株式会社東神楽アグリラボを設立したきっかけについて書きました。
今回は、その会社の第1弾事業、HAL・Marketについて書いていきます。

▼2017年6月に開業したHAL Market(ハル・マーケット)
※下の写真は2期目の店舗の開始時の様子(撮影2018年5月)



第1弾事業で考えたコト、達成したいと思ったこと

経営者としての成長を目指す株式会社東神楽アグリラボとしての最初の事業は、八百屋の経営です。

その理由は、
出資者の農業者に、
「流通経路や価格形成の仕組み、価値の見せ方などを体感してほしい」
と考えたからです。
稲作中心の農協出荷形態の場合、農家が向き合う日々の相手はJAとなります。
よく言われる話ですが、そうすると出荷した農産物がどこへ流通して、いくらになって、誰が食べたか分かりません。
流通経路としてこのJA出荷のスタイルに私は否定的ではありません。

ただ、経営者として、JA出荷だろうがそうじゃなかろうが、
流通・価格・価値への理解は深くしっておかなければ、
万が一何か既存の事業モデルに問題が生じた時に対処が遅れるかできないと考えています。
そのため、まずは地元で八百屋を経営し、これらを学んでほしいと感じました。

偶然にも、東神楽町には道の駅もJA直売所も無く、農家別に軒先直売所が十数件、週3日午前中だけ営業する直売所があるだけで、地元町民が気軽にいつでも地元の野菜を買える場所が存在しなかったこともあり、事業としても勝算は十分にあると考えました。


何故、直売所ではなく八百屋なのか?

当店は「直売所」ではなく「八百屋」です。
メディアでの掲載でも絶対に直売所と表記をしないでほしいとお願いをしています。
そこの違いにどんなこだわりがあるのかと不思議に思われますが、お客様には何の関係もありません。
事業を行う我々が、直売所ではないというポリシーをもり事業をやっていることが、学びにつながるのです。

下の図に記載していますが、いわゆる一般的なJAなどが運営している直売所では、
販売店舗としてみた時に、商品構成や価格形成、訴求ポイントなどがコントロールされていないことが多いです。
その為、お客様も直売所=安いという認識がつき、結果として安物競走の場づくりになってしまっていることをよく見かけます。

弊社の場合は、あくまで「小売店舗」として、お客様に価値を届けたいと考えており、
その為に農家などから必要な農産物を仕入て販売しています。
もちろん、このお店側の経営者=出資・出荷農業者となっています。
野菜を出す側、仕入れる側、双方の視点から運営することで、より学びになるようにと考えています。


「価値」の出し方への試行錯誤

では、どんな価値をだすお店にすればよいのか。
事業開始前に出資メンバーに長い時間をかけて考え続けてもらったのが、この部分でした。
事業をやる際には、コンセプトが重要です。私の考えでは、「コンセプト=やる理由」です。
なぜ、それをやる必要があるのか?ここをしっかり決めていかなければいけません。
今回の八百屋をやる理由は最初の述べた通りですが、その次に大事なのは、
その八百屋でお客様に何を届けるか=価値提供となりますので、
その部分を時に夜中の1時過ぎまで会議をしながら知恵を出し合いました。
そうした中で出てきたのが「できたて野菜」をお届することでした。
そしてそれを基に、量り売りスタイル、野菜を美味しくする調味料などの展開へと続いていきます。


この価値を考えぬき、お店の軸にしたことで、
全員の中に八百屋をやる理由と八百屋で表現すべきことの2つがセットされました。
これらがぶれると、事業の向かう方向性や議論のようで議論ではない話し合いなどへ道がそれてしまいます。
また、例えばこうした価値をつくった結果、価値にあてはまらないことから当店ではドレッシングは一切扱っていません。

1年やってみたメンバーの感想

こうしたことを考えながら、事業をスタートさせ、もちろん事業スタート後も課題は常に起き続け、今なお課題はたくさんあります。
しかし、優秀なスタッフに支えられ、またSNSでの議論によって高速PDCAサイクルになるように議論が進みつつあり、
間違いなくどんどんと良いお店になっていってると思います。
もちろん、大勢が関わっているので、意見が食い違うことも多々あります。
しかし、コンセプトや価値がそもそも無く、ぶれぶれで進めてはいませんので、前進をするための議論ができる場になってきているとうのも、学びであり成長ではないかなと思っています。

>>1年目の活動報告会での農家メンバーのコメントの様子はこちら<<

メンバーで一番口下手な中村くんですが、しっかりと自分の考えを述べているので嬉しかったです。
活動報告会を開いたのも、この活動(起業から八百屋の経営)において、東神楽町をはじめ近隣市町村の多くの事業者、人々のご支援と声援があり出来上がったこともあり、そうした方々にお忙しい中ご出席いただきて、開かさせていただきました。

3年目開始、お店とメンバーのさらなる成長へ

1年目の営業を昨年11月7日に終え、活動報告会などを終えたあと、
隣町旭川市で開催された道北ビジネスプランコンテスト にエントリーしたところ、最終審査プレゼンテーションに残り、大賞は逃したものの、会場にいた全員の投票で獲得する「来場者賞」を受賞いたしました。
弊社としては、お客様に評価を一番いただけたこともあり非常に自信につながる結果ともなりました。

そして、第2期は今年5月14日にOPEN。休みの間も含め、出資メンバーやスタッフらと会議を重ね、昨年よりお店も広くし、アイテム数も増やし、スタンプカードや臨時土曜日営業など様々な工夫をしてより地域に求められるお店作り、学びと成長につながるお店作りになりました。

そして2019年4月5日に3期目の営業をオープン

1年目(6月7日)、2年目(5月14日)そして3年目(4月5日)と徐々に前倒してお店を開店しております。4月では潤沢に農産物があるわけではなりませんが、出始める野菜やアスパラ、他地域からの農家直送果物を楽しみにしてくださるお客様もおり、早め早めに開店しています。

まだまだ課題も多く、理想のお店とはいえませんが、
昨年のリピーターの方もご新規のお客様も増えてきていますし、
何より近隣市町村の飲食店舗やペンションなども仕入に使ってくださるようになってきて、手ごたえをつかみつつあります。

もし、旭川空港へ降り立つもしくは乗ることがあれば、空港から車で15分ぐらいですので、立ち寄ってみてください。

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